2022年11月23日。Netflixで全8話が一挙配信された”アダムスファミリー”の長女・ウエンズデーを主役に描いた、スピンオフ・ホラーコメディTVドラマ「WEDNESDAY」に登場。

 

 

ウェンズデーは、高校で弟のパグズリーをいじめた男子生徒達に復讐したことが問題になり退学に。
 

 

今まで5年で8回転校していたウェンズデー。

彼女の両親”ゴメズとモーティシア”は、かつて自分達が通っていた”ネヴァーモア・アカデミー”にウエンズデーを入学させる。

そこは、特殊な能力を持つ為に社会から追放された子ども達  "アウトキャスツ" (Outcasts)の為の学校だった。

一方、ネヴァーモア・アカデミーの近くでは一般市民が未知の怪物に殺される事件が起きていた。

ウェンズデーは謎の人物に命を狙われる事で、怪物の事件に関わっていく。



キャプチャー6「Quid Pro Woe」"悪意の代償"にて。



ある夜、ウェンズデーは何者かに呼び出され学園敷地内にある”ジョセフ・クラックストーンの霊廟(お墓)”へ向かう。

その際に使用していたのがこの懐中電灯。

 

 

もはやLEDにとって代わりつつある昨今では、なかなか見かけなくなった昔ながらのシルエット。

しかも、かなり手の込んだゴシック感溢れる造形で、今時の物ではない事は容易に想像つく。

 

オフィーリア寮のウエンズデーの机の上には、小説執筆用の古いタイプライターやこれまた古い電気スタンドにニキシー管時計など、昔から自宅にあった物を持ち込んで使っているようだ。

 

この懐中電灯もきっとそうなのであろう。

 

アダムス家によく似合う。

場面が変わって、ご先祖様のお告げによりあるお屋敷を調べに行った際にも同じ懐中電灯を使っています。

 


 

かなり強めの暖色系光源のもよう。

 

 

イーニッドからの誕生日プレゼントでもらったスヌードを頭からかぶっているウエンズデー。

 

 

移動のする際のシルエットはまさにライトセーバーを持った若きジェダイ!

 

なんともかっちょイイ~♪

 

 

こうなると、その魅力的なシルエットを持つ懐中電灯の素性を追及したくなる悪い持病が出ちゃうのであります。

 

関連しそうなワードを織り交ぜ検索しまくります。

事前に、あらゆるシーンをスクショして細かいディテールを把握してから臨むほど、お病気度MAX。


かなり時間がかかりましたが、メーカを特定出来た事により同品に似た物をeBayやEtsyで物色!


ようやくその中でも唯一ドンピシャ!と思われる物をEtsyにて発見!

 

第三話にて、「ピルグリムワールド」に展示されている”影の本” が、実はEtsyで購入したレプリカだった・・・というくだり。  なにか因縁を感じる。

Etsy・・・決して人の名前じゃないのよ~(笑)


状態は悪くないものの、点灯しないジャンクという事でお値段8ドル。

そもそも、昔の懐中電灯の仕組みなんて小学生でも理解出来る簡単な構造。


液漏れで端子が腐って欠落してたとしても、直せないハズがないと妙な自信の上購入を決定。

商品代金より何倍もの送料を取られる・・・・

 

早速、届いた物をスクショした画像と比べてみる。

 

 

クラックストーンの霊廟(れいびょう)内にて。

 

 

私のうっかりでスイッチを入れ忘れているものの、シルエットは酷似。

 

本体の黒い筒状パーツには細かいスジが入っている。

 

 

ハトメの位置も全く同じ。

 

調べに行ったあるお屋敷の門を解錠中。

 

 

陰影がつき凹凸が強調されて違った雰囲気にも見えるが、同品と断定出来る。

 

 

時同じくして、何とインスタグラムにウエンズデーのメイキング画像が公開。

"あるお屋敷"内でのイーニッドとのツーショット!

ナイスタイミング!
 

とてもこんな笑顔でピースしてる場面じゃないんだけどね~(笑)

 

 

もー間違いない!!

って事で、全景です。

 

 

画像の物は、「YALE ELECTRIC CORPORATION製」"YALE Focusing Spot Light" NO,3201 Fibre です。


電池 "YALE MONO-CELL NO.102" ×3

   ※現在 3xD(単一×3本)

    当時のお値段 $1.50.

※バリエーションの一つに 2xD(単一×2本)の NO,2201も在る。 

 

 

で、このエール エレクトリック コーポレーションっていう会社は、1912年に設立された企業で、年代によって会社の名前が変わっていきます。

"COMPANY NAMES"
Interstate Electric Novelty Company (1912-1919)
Franco Electric Corporation (1919-1922)
Yale Electric Corporation (1922-1928)
Bond Electric Corporation (1928-1955)
会社は1955年に解散。

 

 

上記の事から、この懐中電灯は1922年から1928年のエール時期である7年間の間に製造・販売された物だと判る。

おいおい・・・初期の物だったら102年前って事?

 

まじか~~!

 

そんなに古いものだったの・・・(@@;)

そもそも、102年も前にアメリカでは今の規格でいう単一乾電池と同サイズの物があった事実にも驚愕!

エールは電池と懐中電灯の製造・販売が主な業務。

この懐中電灯に使う電池の名称は"MONO-CELL NO.102"。

当時、大正時代の日本では有り得ない電池のサイズ感と懐中電灯だった事でしょう。

 

 

状態は比較的綺麗でしたが、メンテ&保護の意味合いでメッキのプロ「NAKARAI」が開発した「サビトリキング」「ミガキング」「メッキング」を使ってメンテ完了!

 

 

ピカピカに仕上がりました。
 

そこで、どこが故障しているのか?テスターで導通確認してみます。

底蓋から上部の電球ソケット(マイナス側)間でスイッチを含む回路が生きているか試したところ、異常はありませんでした。
 

 

画像上: OFF
画像中: 待機状態 丸いボタンがライブになり、押すと点灯
画像下: ON

 

 

って事は、電球のおへそ(プラス)と電池のおへそ(プラス)の接点に問題があるようです。

 

電球ソケットの中を見てみると ありゃま!

 

電球のプラス端子が入る程の穴が空いてるだけで何もない!

試しに電池を入れてみると、穴から5ミリ奥くらいに電池のおへそ(プラス端子)が見えます。


電球をねじ込んでみましたが、わずかに届いていないもよう。

 

これが原因だ!

よく観察してみると、どうやらココには電池と電球のプラス端子同士を受ける板バネ状の金属のプレートが付いていたようですが取れて無くなってます。

ハトメの裏側がのびてるトコロをみると、電球を絞め込み過ぎて金属プレートを押し外しちゃったようですね。

そこで、一考を案じます。
金属プレートを自作してハトメで固定し直すのが一番なのでしょうが、電池と電球の隙間はほんの少しなので、お手軽な方法で修理してみます。

まず、本当に点くのか? 電球プラス端子に短く切ったバネをハンダ付けして電池と接触させてみる・・・。

 

おお~~っ! 無事点灯しました!

画像左手前のLED電球がソレです。

 

 

電球と電池の端子が接触すれば良いのが分かったので、電球ソケット底部の穴を広げて電球がもう少し内部に潜るよう改造し、電池と直接接触するようにしてみました。

結果、上手くいきました!

 

 

無水エタノールにてスイッチ&本体内部を洗浄後、接点復帰剤を塗布しこれにて修理&メンテ全て終了。


ウエンズデー相棒の”Thing(シング)”もご機嫌!

 

ちょっと見ないうちに、アンタ随分傷だらけになっちゃったのね~

 

何があったん?

 

 

ちなみに、シングの後ろから見た手首切断面の縫い目が省略されてるな~とお思いの貴方!


実は、一部繋がった腕の皮を後ろから前に被せ縫合してあるのでこれが正解なのであります。

 

 

話をもどして、この懐中電灯「YALE Focusing Spot Light」

という名前なのです。

 

フォーカシングスポットライト・・・・。

既に取説みたいなモノなど無いし使用説明してるようなサイトもないので想像で実験してみます。

 

 

妙に作り込まれた先端部分は八角形のハンドルの様でもあります。

本体側のネジ部分も長いストロークがあるので、クルクル回してピンスポから広角まで調整出来るのかも知れません。

 

実験結果はご覧の通り。

 

上:絞った状態   ピンスポット。
中:数回回した状態 やや広角に。
下:更に回した状態 広角。

 

 

おそらくフォーカシングスポットライトとは、この事をいってるのだと思う・・・。


フィラメント両端の足の影が出たり、ガラスのムラが光の線を曲げちゃったりしてますが、102年前にはかなり独創的な懐中電灯だったのでしょうね。素晴らしい。

現在のLEDフォーカシングライトが余りにも凄い性能なので比較にならんのですが、100年で懐中電灯はえらく進化したものだと・・・

ちなみに、インスタグラムにUPされた"あるお屋敷"内でのイーニッドとのツーショット・メイキング画像のお蔭で、Netflixを観ていない世界中の懐中電灯マニアにも知れ渡る事となり、とあるフラッシュライト・フォーラムでは、「WEDNESDAY」シリーズ・セットデザイナーの「Mark Scruton」と直接連絡を取るツワモノまで現れました。

 


そして、Markからライトがヴィンテージの「エール」ブランドの2xDインカンであると教えてもらい、また、彼のチームが元の内部を取り除き、LEDに置き換えて劇中に使用した事も明かしてくれました。

どうりで、劇中 スイッチがOFFなのに光ってるシーンがあったのは、そういう事だったのね。

納得。

ただ、2xDインカンではないよー! 3xDインカンね~!

これがきっかけで、eBayやEtsyからこの懐中電灯は姿を消したのでした。

 

最期に、EP4ルークのライトセーバーと。

 

 

ルークのライトセーバーはグラフレックス・カメラのフラッシュ「Graflex 3 Cell」(単一電池×3本タイプ)をそのまま利用して造られています。


      コレ↓

 

単一電池×3本のウエンズデーの懐中電灯とは握り心地が似ています。

オビ・ワンのライトセーバーも加えて。
 

 

オビ・ワン テイストも漂っていますが・・・・

 

ん~やっぱり懐中電灯かぁ~

 

 

こっちの仲間に加えておきましょう。

 

 

素敵な登場人物も紹介したかったのですが、長くなり過ぎたのでこの辺で。

 

いっちょう さ~け ぽん! な~べのしーた~ が~らがら。