予備的な日常

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31Dec
- 令和５年予備論文成績と総括
  令和５年の予備論文の成績と総括です令和５年予備論文成績と総括｜yobiteki再現答案はこちら https://note.com/yobiteki/n/n4ae9d9166dd7 憲法　C 問題文を読み間違って３者間（２者間）で書いていないが、内容的にはCくらいいけているのではないかと思っていた。憲法は対立利益を意識した基準を設定して、「メイン事実」を拾って評価していれば、細かい事実を落としていてもCで守れる印象。ただしABを目指す…note.com
23Sep
- 令和5年予備試験論文試験再現答案作成完了
  令和5年予備試験論文試験の再現答案の作成が完了しました。今年は趣向を変えてnoteに書きました。以下のリンクからどうぞ令和５年予備試験論文再現答案リンク｜yobiteki令和５年予備試験論文試験の全１０通の答案の再現が完了しました。こちらの記事は各科目へのリンク一覧と、現時点での簡単な感想コメントとなります。細かい分析はこれからですが、試験全体の感想などを最後にまとめています。再現答案へのリンクとコメント憲法　https://note.com/yobiteki/n/n2ad48e561b53 X、反論、自身の見解、と…note.com
21Aug
- 令和５年予備試験短答成績表＆論文受験票到着
  短答成績表と論文受験票が到着しておりました伊藤塾より刑法が２点上がり刑訴が２点下がってプラマイゼロでした昨年は短答が良すぎて論文でゴボウ抜かれしてしまいましたが　今年は上を目指していくのみです　論文で関係のない一般教養を差し引けば実質もう少し上の順位からの巻き返しとなります昨年よりは法的三段論法、事実の摘示と評価に磨きがかかっていると思いますが、未だに規範と評価が入り混じった答案を書いてしまうことがあります。癖とは本当に怖いものですね。論文まであと３週間を切りました。悔いの残らないようにしっかりやりつくします。
17Jul
- 伊藤塾予備試験短答自動採点の結果
  お久しぶりです　短答受けてきましたで　伊藤塾の自動採点の結果です予備校によって割れている解答もあるみたいですので一応伊藤塾を基準に話をしますが昨年運ゲーの一般教養(36点）が実力相応に戻ったのは仕方ないにしても法律科目も83パーセント(174点)から75パーセント(157点）に落ちたのはちょっとショックでしたただ　微妙な肢に惑わされた一面もあり　必ずしも論文の点数と相関関係はないと思っています明日から早速論文試験の勉強を再開します　短答合格予定の皆さん　お互い頑張りましょう
09Nov
- 方向性に誤りのない努力を　またお会いしましょう
  この２年間　私は一体何をしていたのだろうやり場のない自分自身への怒り努力を怠ったわけではない方向性を誤った努力は報われることはない　ただそれだけのことである一度でいいから　方向性を誤ることなく努力してみよう撤退はそれでも結果が出なかったとき考えることである自分の中に限界はまだ見えないまだまだ伸びしろはあるそう思える限り受験をやめることはない方向性を誤ることなく努力する　ただそれだけである合格のその日まで　　このブログですが、今回を最後に一旦更新を休止しようと思います。　もともと自身のモチベーション維持の目的で始めたのですが、記事を１本書くのに結構時間がかかる場合もあり、はっきりいって、こんなブログ書いている暇があったら勉強しよう、という思いが強くなっています。試験関係以外のプライベートなことを書くつもりはないので、正直いってもうネタも尽きてきました。　今後このブログは、再現答案や成績表を載せるだけのシンプルなものにしようと思っています。今後も受験生であり続ける限り、再現答案と成績表は、合否にかかわらず公表していこうと思っています。それが、自分自身の受験生としての進化の証となるからです。　自分が何をなすべきかはもう自分自身でわかっています。あとはやるだけです。　それでは　またお会いしましょう。
07Nov
- 令和５年予備論文に向けて　なぜこの２年間で「退化」してしまったのか
  １　令和4年予備論文総括　令和２年の論文不合格から、昨年の短答落ちを経て、今年までの約２年間。私はいったい何をしていたのですかね。令和２年より総得点は若干上がっていたものの、令和2年のボーダー下12点に対して、今年は25点と、ボーダーとの点差は開いており、順位も300番ほど下げています。なぜ私は、この2年間で「退化」してしまったのでしょうか。　一言でいえば、前回の論文の不合格以降、「勉強方法の誤り」を完全に修正できずにいる、ということだと思います。当時、圧倒的に書く分量が不足していると反省し、書く分量自体は増やしたのですが、成績優秀者の再現答案を読み込んだり、自分の答案に何が足りないのかを検討したりする勉強が、まだまだ不十分だったのだと思います。　また、より一層の知識の習得に走ってしまった感があります。あと12点足りなかった理由を、「知識が足りなかったため」、と考えたわけです。確かに知識も足りなかったのでしょうが、それ以上に、自分の答案の欠点の修正こそが重要であったにもかかわらず、それに目をつぶり、知識の習得に励んでしまいました。　特に、昨年の短答落ちを経験して以降、「知識偏重主義」はますます顕著になりました。その結果、今年の短答では、総得点２１０点、３５位という好成績でしたが、論文については、自分の答案の欠点の修正が不十分なままに試験に臨むことになり、２年前より「退化」してしまったわけです。知識の習得よりも、むしろ自分の答案の悪い癖を修正することにもっと力を入れるべきでした。２　何が足りなかったのか、　では、私の答案に足りないものはいったい何なのでしょうか。これについては、すでに再現答案の分析等を通じて、自分自身の中では結論が出ています。それは、①法的三段論法②判例です。　①については、私の答案には、規範定立部分（条文解釈）を省略し、いきなり事実を拾って評価し、それを条文の文言に機械的に当てはめる悪い癖があります。法的三段論法の「大前提」の部分が抜け落ちるわけです。　今年の予備論文であれば、民法、商法、刑事実務基礎（事実認定の部分）、倒産法などにこの悪い癖が表れています。前回（令和２年）の失敗から、完全に修正することができていませんでした。　法的三段論法がいかに重要かについては、法的三段論法できちんと書き切った刑法や民訴にＢがついているのに対し、それが足りなかったと思われる民法や商法がいまいちで、倒産法が大きく沈んでいることからも明らかだと思います。　「法律論文」の試験である以上、「法的三段論法」で書くのは当然であり、それが一番重要なことであるはずなのに、その意識が足りなかったのだと思います。現状、法的三段論法ができていない場合の私の答案は、「法的知識の発表会」でしかなく、「法律論文」ではないと思います。　②については、判例を択一の知識としては知っていても、論文として答案上に展開するだけの、知識やテクニックがまだまだ足りないのだと思います。判例の重要性は、今年の予備論文で、憲法の点数がいまいち伸びず、判例に全く触れていない刑訴が壊滅的だったことからも明らかです。３　何をなすべきなのか　　それでは、上記欠点を補うために、私は何をするべきなのでしょうか。　①の対策としては、今まで以上に成績優秀者の再現答案を読み込んで、自分に何が足りないのかを真剣に検討するとともに、普段の答案練習の段階から、法的三段論法を意識して書くことを徹底しなければならないと思っています。　いつも不合格直後は「書いて書いて書きまくるぞ！！」みたいなテンションなのですが、喉元を過ぎるとなんとやらで、時間不足を理由に、実際に論文を書かずに、「脳内答案構成」だけで済ませるようになってしまいがちです。しかしこれでは、上記の「三段論法省略」の悪い癖はなくならない、ということをようやく悟りました。今度こそ、真剣に三段論法を意識して、実際に答案を書く方向に転換しないと、本当にヤバイと思います。　　②の対策としては、判例の事案と判旨の読み込み、暗記をとおして、日ごろから、過去問や答練の問題に当該判例の射程が及ぶか、という問題意識を持って勉強することを心掛けたいと思います。特に、論文対策としての判例の勉強は、判旨を暗記するだけでは不十分で、事案と判旨をリンクさせないとだめだと思います。判旨の暗記だけでは、問題文の事例にその射程が及ぶかの判断ができないからです。　この２年間を振り返ると、本当に、自分の要領の悪さに腹が立ってきますが、要領の悪い人間なりに、合格の方法論がようやく見えてきたような気がします。いや、今までもおぼろげに見えていたのに、それに目をつぶり、十分な対策を怠っていただけだと思います。まさに、「言うは易く行うは難し」です。　法的三段論法を常に意識する、判例を常に意識する、という二つのことの実践で、私の答案はまだまだ劇的に変わり得る要素を持っていると思っています。とにかく実践あるのみです。
03Nov
- 令和4年予備試験の成績・再現答案・科目ごとの感想
  令和４年予備試験論文試験の成績が既に到着しております。１　成績表２　再現答案へのリンク『令和4年司法試験予備試験再現答案　憲法』第１　地方鉄道維持特措法案が、争議行為を禁止し、争議行為のあおり、そそのかしを処罰しているのは憲法28条に違反しないか。第２　憲法28条は、勤労者が団体行動、…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　行政法』第１　設問１１　Dが本件処分について取り消し訴訟の提起を断念した理由は、取り消し訴訟は、処分があったことを知った日から６箇月または処分から１年を経過したときは…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　民法』第１　設問１小問(1)１　BはAに対して報酬減額請求(民法559条、563条2項)をしていると解される。これは認められるか。２　塗料βは塗料αよりも耐久性が高…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　商法』第１　設問１１　Dは本件訴えにおいて、AらがCとの間で本件取引をしたことは、「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をし」たとして、120条1項違反を主張…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　民事訴訟法』第１　設問１１　①の訴えの適法性　①の訴えは、権利能力のない社団であるX自身が、原告となる方法である。Xは権利能力のない社団であるので、「法人格のない社団」（…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑法』第１　設問１１(1)　甲がYに対し、ブドウをお金を払わずにこっそりと持ってきて、と言ってYにブドウを取らせようとした行為につき、窃盗罪の間接正犯（235条）が…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事訴訟法』第１　①の行為の適法性について１　甲の承諾を得ることなく、無施錠の同キャリーケースのチャックを開けて、その中を捜索した行為は適法といえるか。２　刑事訴訟法21…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　民事実務基礎』第１　設問１１　小問(1)　請負契約に基づく請負代金請求権　債務不履行に基づく損害賠償請求権２　小問(2)　被告は原告に対し、300万円及びこれに対する令和4…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事実務基礎』第１　設問１１　小問(1)について　Bは、3月1日の夜、Aから電話で、「家に金をためているばあさんがいるらしい。一緒にその金を奪わないか」と誘われた旨供述して…ameblo.jp『令和4年司法試験予備試験再現答案　倒産法』第１　設問１(1)について１　Gは、Ｂ社に対し、本件登記手続き申請行為を破産法164条1項により否認することが考えられる。これは認められるか。２　本件売買契約…ameblo.jp３　科目ごとの雑感　まだ出題趣旨が出ていないため確かなことは言えませんが、おそらくこういうことなのかな、という現時点での感想を科目ごとにまとめておきます。憲法　D　（自己予想はAからC）　みんなあまりできていないだろう、と強気の予想でしたが、できていないのは自分の方だったようです。いつも通りの３段階審査で書いて問題なかったのだろうと思いますが、もっと判例への言及の分量を増やし、公務員と公共交通機関職員との異同について述べるべきだったのではないか、と思います。ただ、今回の憲法については、他人の再現答案やその評価を見ても、はっきり言って採点はかなりカオスなような気がします。どういう書き方、内容が正解だったのか、早く自分を納得させてくれる再現答案に出会いたいです。行政　C　（自己予想はCからD）　内容的に大きく外してはいないと思っていました。しかし、設問２は、違法が重大かつ明白な場合に無効、という超重要規範を書いてませんし、反論を踏まえて、となっているのに反論を書いていない等、突っ込みどころ満載の答案でした。ここら辺のところができていれば、もっと上を目指せていたかもしれません。特に「反論」については、前回も全く同じミスをやらかしていたような気がします。進歩がなさ過ぎて悲しくなりますが、もっと、問いに正確に答える習慣をつけないといけませんね。民法　C　（自己予想はAからC）　これも憲法同様、試験終了後、みんなの出来が悪そうだということで強気の予想でしたが、結局C止まりでした。ただ、思い当たる節はあります。設問１は、事実の拾い方が足りなかったような気もしますし、設問２についても、１６２条１項の条文解釈をろくにせず、いきなり１８５条の新たな権限の論点に飛びついてしまったような感じの答案になっています。20年の取得時効が認められるか、という問題で162条1項の要件該当性の検討を満遍なく行うという姿勢がなかったのはいただけないですね。法的三段論法が足りていませんでした。ABを逃した理由はそこらへんかな、と思います。商法　C　（自己予想はBからC）　設問１は、完全に解答の切り口を間違えてしまったような気がします。いかなる違法が認められるか、ではなく、いかなる責任を追及できるか、という切り口で書くべきでしたね。この過ちの結果、１２０条１項の違法性が認められるということを指摘しただけで満足してしまい、１２０条３項、４項の指摘まで思い至りませんでした。また、設問１の部分は、法的三段論法で書けていないような気がします。あと一歩というか、惜しい感じのC止まりでした。民事訴訟法　B　（自己予想はCからD）　これはいい意味でのサプライズでした。設問１前段が、多分論点全落ちだったものの、ほかの部分はそこそこ書けていると思っていましたが、まさかBまで取れているとは思っていませんでした。ほかの部分はそれなりに評価されているということでしょうか。法的三段論法で書ききっている、という点も評価のポイントかもしれません。来年に向けては、知識の穴をなくしたいですね。おそらく民訴が一番知識の穴が大きいと思いますので。刑法　B　（自己予想はAかB）　さすがに今回は外していないだろう、と思っていましたが、あれでまだBなのか、という感じです。①共謀の射程の部分が薄すぎたのと、②未成年者との共犯の論点を書いていない点が悪かったのかな、と思いますが、②については全体的な出来が悪そうなので、大勢に影響はなかったのではないでしょうか。むしろ、①共謀の射程の部分の薄さが問題だったのだろうと思います。ただ、民訴同様、法的三段論法で書ききっている点はよかったです。刑事訴訟法　Ｆ　（自己予想はＢかＣ）　ちょっと厳しすぎないか、とも思いますが、まあ、さもありなん、とも思います。　一番の原因は、判例軽視の姿勢だと思います。判例の立場で書いていないのですが、そのことが悪いというよりは、判例を批判し、問題点を指摘した上で自説を書く、という姿勢が足りなかったのではないか、と思っています。判例に一切触れずに自説だけ書いても、説得力がないということです。　設問後段は、判例の立場に立たずとも、宅配便判例を持ち出して、自分の立場では同判例は射程外である、と書くこともできたと思います。また、何よりも判例の立場に立っていないため、羽交い絞めの事例を生かすことが全くできなかったのも痛かったと思います。ここも、仮に令状の効力が及ぶとすると、みたいな書き方で、羽交い絞めの違法性について書くことができたのではないでしょうか。　過去の経験則から、判例の立場に立っていなければ即F、などという採点基準にはなっていないと思うのですが、自説を書くにしても、判例もちゃんと知ってるよ、という書き方をするべきなんだと思います。判例にも確実に配点があるのだろう、と確信しました。このような判例軽視の姿勢は、単純に判例の勉強不足からきているだけなので、来年からは、もっと判例を勉強して、可能な限り判例の立場で書きたいと思います。実務基礎　Ｄ　（自己評価はＢかＣ）　これも、今回は外してしまいましたかね。直前期に倒産法の勉強が忙しくて、一番手を抜いたのがこの実務基礎でした。実質二科目Ｄをとっていることになるので、結構大きいですね。来年に向けては、民事は要件事実と準備書面、刑事は事実認定に磨きをかけてＡ狙いで行けるようにしたいです。また、事実認定のところは、法的三段論法が全然できていないので、そこも要改善です。倒産法　Ｆ　（自己予想はＢかＣ）　え、あれでF？というのが率直な感想なのですが、謙虚に見てみると、まだまだ不十分なところが多い答案であるのも事実です。まず、設問１を中心に法的三段論法で書けていません（実はこれが一番大きい問題なのかもしれません）。具体的には、支払い不能や支払い停止の定義を書いて、当てはめるという作業をしていません。また、設問１(２)は、筋は通っていると思うのですが、判例の立場では書いていません。また、設問２の後段で、破産法の167条や168条という基本条文を上げていませんが、実はこの部分に相当の配点があった可能性もあります。ここは、倒産法が不勉強な人でも、条文だけは現場で何とか見つけ出して書いた、という人も多かったのかもしれず、書いていない自分との間で、結構差がついている可能性もあります。そうすると、結局突っ込みどころ満載の答案を書いた自分が悪い、ということになりそうです。来年に向けては、条文や判例の知識をより一層正確にするとともに、法的三段論法を徹底し、無難に判例の立場で書くことを心掛けたいと思います。　以上、刑訴と倒産はC予想を大きく下回る結果となりましたが、全く書けていなかったわけではないので、Cくらい来てもおかしくないんじゃないか、と思っていました。しかし現実は厳しいですね。　最近思うのは、だれが採点してもAになる答案というのはあっても、だれが採点してもCになる答案というものはないのではないか、ということです。Cレベルの微妙な内容の答案は、出題趣旨や採点者次第では、簡単にEFになり得るのではないか、と思います。全科目、だれが採点してもAとなり得る答案を目指して頑張る、くらいの気持ちが必要なのではないかと思います。
25Oct
- 予備試験＝旧司法試験？
  　予備試験＝旧司法試験　これは、旧司法試験の合格者数が一時期500人程度であり、予備試験の合格者数とほぼ同じであるため、レベル感の話として以前から言われていることである。　予備試験は、司法試験の受験資格を得るための、一歩手前の受験資格試験であるので、両者は比較の対象にならないとも考えられる。しかし予備試験は、ローに通えない人はもちろん、現に通っている人でも、将来通う予定の大学生でも受験できる。　いくらロースクール制度があるからといって、会社勤めの社会人は、いきなり会社を辞めてローに行くのではなく、仕事をしながら受験が可能な予備試験から始めよう、と考えたくなるのが人情だと思う。　また、現状予備試験合格がブランドになっている側面もあり、大学入学時点で法曹志望である優秀で意識の高い学生ほど、ローにはいかず、予備試験合格を目指そうとしているのではないか。すでにローに通っているロー生であっても、ブランドを手にするために、また、学費を抑えるために真剣に目指している人も多いであろう。　よって、少なくとも、合格者となりうる上位層については、予備試験＝旧司法試験という考え方は十分成り立つ話だと思う。これは、予備試験合格者の97.5パーセントが司法試験に合格するという数字によっても、裏付けられていると言える。　そうすると予備試験受験生は、予備試験という名の、旧司法試験と合格レベルがたいして変わらない超難関試験を受けていることになる。事情によりローという選択肢がありえず、予備試験経由でしか司法試験を目指せない人にとっては、これはかなり厳しい現実である。越えなければならないハードルは、非常に高い。　私も、今回の論文試験不合格で、改めてそのことを、まざまざと思い知らされた感じがする。自分が受けている試験は、司法試験の受験資格を得るための前提試験などという、甘っちょろいものではない。合格者500人時代の旧司法試験と事実上変わらないレベルの試験なのである。　予備試験が、真に司法試験の前提試験として機能するように、もっと合格者を増やしてほしい気もするが、現状そうなる気配は全くない。そうであれば、あの旧司法試験と変わらないレベルの、限られた500人弱のエリートスペースに入り込むしかない。それは、相当な困難を伴ういばらの道である。生半可な気持ちで合格出来る試験ではないのである。認識を新たにして、来年の試験に挑むほかはない。
20Oct
- 不合格　あれでまだ足りないのか…
  不合格でした。　発表前に、今年もし落ちていたら、今までとは比べ物にならないくらいにショックだろうな、と思っていましたが、現在その通りの心境です。それくらい今年はギリでも行けているのではないか、と思っていました。今の正直な気持ちは、「え、あれでまだ足りんの？」です。　ただ今後、出題趣旨が出て、成績表が返ってきたら、また違った考えになっているのかもしれません。現時点では、言い訳の言葉も見当たらないので、またその時に何か書きます。とりあえず、論文直後に作成しておいた、再現答案だけ先にアップしておきます。憲法『令和4年司法試験予備試験再現答案　憲法』第１　地方鉄道維持特措法案が、争議行為を禁止し、争議行為のあおり、そそのかしを処罰しているのは憲法28条に違反しないか。第２　憲法28条は、勤労者が団体行動、…ameblo.jp行政法『令和4年司法試験予備試験再現答案　行政法』第１　設問１１　Dが本件処分について取り消し訴訟の提起を断念した理由は、取り消し訴訟は、処分があったことを知った日から６箇月または処分から１年を経過したときは…ameblo.jp民法『令和4年司法試験予備試験再現答案　民法』第１　設問１小問(1)１　BはAに対して報酬減額請求(民法559条、563条2項)をしていると解される。これは認められるか。２　塗料βは塗料αよりも耐久性が高…ameblo.jp商法『令和4年司法試験予備試験再現答案　商法』第１　設問１１　Dは本件訴えにおいて、AらがCとの間で本件取引をしたことは、「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をし」たとして、120条1項違反を主張…ameblo.jp民事訴訟法『令和4年司法試験予備試験再現答案　民事訴訟法』第１　設問１１　①の訴えの適法性　①の訴えは、権利能力のない社団であるX自身が、原告となる方法である。Xは権利能力のない社団であるので、「法人格のない社団」（…ameblo.jp刑法『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑法』第１　設問１１(1)　甲がYに対し、ブドウをお金を払わずにこっそりと持ってきて、と言ってYにブドウを取らせようとした行為につき、窃盗罪の間接正犯（235条）が…ameblo.jp刑事訴訟法『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事訴訟法』第１　①の行為の適法性について１　甲の承諾を得ることなく、無施錠の同キャリーケースのチャックを開けて、その中を捜索した行為は適法といえるか。２　刑事訴訟法21…ameblo.jp民事実務『令和4年司法試験予備試験再現答案　民事実務基礎』第１　設問１１　小問(1)　請負契約に基づく請負代金請求権　債務不履行に基づく損害賠償請求権２　小問(2)　被告は原告に対し、300万円及びこれに対する令和4…ameblo.jp刑事実務『令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事実務基礎』第１　設問１１　小問(1)について　Bは、3月1日の夜、Aから電話で、「家に金をためているばあさんがいるらしい。一緒にその金を奪わないか」と誘われた旨供述して…ameblo.jp倒産法『令和4年司法試験予備試験再現答案　倒産法』第１　設問１(1)について１　Gは、Ｂ社に対し、本件登記手続き申請行為を破産法164条1項により否認することが考えられる。これは認められるか。２　本件売買契約…ameblo.jp
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　倒産法
  第１　設問１(1)について１　Gは、Ｂ社に対し、本件登記手続き申請行為を破産法164条1項により否認することが考えられる。これは認められるか。２　本件売買契約は令和3年9月15日に締結され、令和4年3月1日に所有権移転登記手続きが行われているので、「その行為が権利の移転があった日から15日を経過した後」に行われたといえる。またＢ社は、令和4年2月21日に本件通知を受け取ったあと、上記登記申請手続きを行っており、本件通知は支払い停止の通知であることから、「支払いの停止等のあったことを知ってしたものであるとき」に当たる。３　以上から、Ｇは本件登記手続き申請行為につき否認権を行使できる。第２　設問１(2)について１　本件では、Ｂ社の所有権移転登記申請行為は令和4年2月12日に行われており、これはＢ社が支払い停止の通知を受ける前である。そうすると、「支払いの停止等のあったことを知ってしたものであるとき」にあたらず、ＧはＢ社に対して本件所有権移転登記の申請行為を否認できないとも思える。２　しかし支払い停止とは、債務者が支払不能状態にあることを明示又は黙示に表明することをいう。そうであれば、債権者が、債務者が支払い不能状態であることを知って登記申請行為をしていれば、支払い停止を知ってしたものと実質的に同視できるといえる。よってこの場合は「支払いの停止等のあったことを知ってしたものであるとき」といえる。　本件では、Ｂ社は、令和4年2月12日に甲土地につき登記申請行為をしているが、それ以前の令和4年2月3日に、Ａ社がＤ社に対する買掛金の支払いを遅滞したり、メインバンクに対する借入金の分割弁済ができなかったというような情報に接しており、この時点でＡ社が支払不能の状態であることを知っていたといえる。よって「支払いの停止等があったことを知ってしたものであるとき」と同視できる。　以上からＧは、Ｂ社に対し、本件登記申請行為に対する否認権の行使が認められる。第２　設問２１　甲土地の所有権移転登記手続きを申請する行為が否認された場合、Ｂ社はＧが債務者であるＡ社の地位を承継しており、民法177条の「第三者」にはあたらないので、登記なくして甲土地の所有権を対抗できると主張することが考えられる。これは認められるか。　「第三者」とは登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者をいう。破産手続き開始決定がなされると、破産財団の管理処分権は破産管財人に専属し、開始決定は包括的差押えとしての効力を有する。よって、破産管財人は差押債権者と同様の地位を得るので、破産管財人も、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者といえる。　本件においても、破産管財人Ｇは、差押債権者と同視され、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたる。　よってＢ社の主張は認められない。２　甲土地の売買契約自体が否認された場合、Ａ社は売買代金の1000万円を不当利得していることになる。よってこの場合Ｂ社はＡ社に対して不当利得の返還請求ができる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事実務基礎
  第１　設問１１　小問(1)について　Bは、3月1日の夜、Aから電話で、「家に金をためているばあさんがいるらしい。一緒にその金を奪わないか」と誘われた旨供述している。これは証拠⑪の携帯電話の通話記録から推認できる。　また、Bは、Aから、V方付近のマンション前の車中で、「親父のだから、落としたりするなよ。」と言われて犯行に使ったナイフを渡されたと供述している。そして、証拠⑬でAの父は、このナイフについて、自分のものに間違いないと供述し、Bのことは知っているが、ここ数年は会ったことがなく、そのナイフを貸したこともないと供述している。そうすると、本件ナイフをBに手渡すことができる状況にあったのはAしかいないという事実が推認できる。　以上の事実から、Bの供述は客観的な事実によって裏付けられているので、検察官は、本件被告事件に関与したのはAであるとするBの供述部分の信用性が認められると判断した。２　小問(2)について　(1)より、本件被告事件におけるAの関与が認められ、あとはAが正犯として関与していれば、Aに共謀共同正犯が認められる。　Bの供述によれば、AはBに対して、宅配業者のような服とVを縛る道具を用意するように指示したり、本件犯行に必要なナイフを手渡したりしている。また、Vから奪った現金500万円の分け前はAの方が300万円と多く、これは証拠⑯のAの債務の合計弁済額により裏付けられる。　　以上の事実から、A自身が正犯として本件事件に積極的にかかわる意思があったと推認されるので、検察官はAに共謀共同正犯が成立すると判断した。第２　設問２　公判前整理手続きの制度趣旨は、充実した公判審理を継続的、計画的かつ迅速に行い、また、被告人の防御権を保障するという点にある。本件では検察官はAとBの共謀を証明しようとしているが、弁護人は、AがBと共謀した事実はなく、Aは無罪である、と考えている。そうであれば、被告人の防御の中心は共謀の有無ということになるので、そのための攻撃防御のための判断材料を提供するために、証明予定事実記載書を追加で提出するよう求めた。第３　設問３　検察官は、Aが本件被告事件との関与を否認していることから、Aが自らの共謀を証言する可能性のあるBに対して、第三者を介して自己に有利な証言をさせたり、脅迫をして証言を拒絶させるべく働きかけをすることにより、証拠の隠滅を図る恐れがあると考え、接見禁止の請求をしていたと解される。そして㋒の時点では、まだBが法廷で証言をしていなかったので上記弊害を避けるため接見禁止を請求する必要があったが、㋓の段階では、既にBの証人尋問が行われ、Bは証拠⑰と同趣旨の証言をしており、この時点で、Bに対して働きかける形での証拠隠滅の恐れがなくなったので、検察官は接見禁止の請求をしなかった。第４　設問４１　小問(1)　　弁護人は、Bが第2回公判期日において、証拠⑩と異なる内容の供述をしたことから、証拠⑩を刑事訴訟法328条の自己矛盾供述として提出するつもりであったと解される。そうすると、自己矛盾供述かどうかが分かるのは、法廷で証言をした後であり、公判前整理手続きの段階では証拠としての必要性を判断できない。よって弁護人は、証拠⑩を提出する「やむを得ない事由」があると判断した。　　　また、自己矛盾供述は、その存在自体により法廷証言の証明力を減殺するので、内容の真実性は問題とならず伝聞法則の適用はないので、証拠能力も認められると判断した。２　小問(2)　上記の通り、自己矛盾供述は伝聞証拠ではないので、検察官は、証拠能力を与える「同意」(326条1項)ではなく、「異議なし」と述べた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　民事実務基礎
  第１　設問１１　小問(1)　請負契約に基づく請負代金請求権　債務不履行に基づく損害賠償請求権２　小問(2)　被告は原告に対し、300万円及びこれに対する令和4年5月29日から支払い済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え３　小問(3)ⅰ　Xは令和4年2月8日Ｙとの間で本件工事を報酬1000万円で請け負ったⅱ　Ｘは令和4年5月28日本件工事を完成させた４　小問(4)　請負契約は、①当事者の一方がある仕事を完成することを約し②相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって成立する(民法632条)。①は上記ⅰに、②は上記ⅰとⅱに表れている。目的物の引渡しは同時履行の抗弁権として相手方が主張立証することになる（民法633条）ので、主張不要である。第２　設問２１　小問(1)(ⅰ)　Ｙは令和4年5月28日、本件建物の引渡しを受ける際本件建物の外壁に亀裂があるのを発見したので、Ｘに外壁の修補を求めた２　小問(1)(ⅱ)　請負人が契約の目的に適合しない目的物を注文者に引き渡した場合、注文者がその不適合を知ったときから1年以内にその旨を売主に通知しないと、注文者はその不適合を理由として代金の減額の請求をすることができないから(民法559条、556条)。３　小問(2)　弁護士Ｑが350万円の回収方法として本件訴訟手続きを利用して選択できる訴訟行為は、相殺(民法505条1項)である。Ｘの請負代金請求権とＹの損害賠償請求権は互いに「同種の目的を有する」といえるし、「双方の債務が弁済期にある」ともいえる。ただ、両債権は同時履行の関係にあることから「債務の性質がこれを許さないとき」に当たらないかが問題となる。しかし、両債権は互いに同時履行の関係にあるのでこれを対等額で消滅させても一方的に相手の同時履行の抗弁権を消滅させることにはならない。また互いに現実に弁済させる合理性もない。よって、「債務の性質がこれを許さないとき」にあたらず、相殺できる。第３　設問３　本件契約においては、契約書や、本件契約の存在を証明する証言のような、本件契約の存在を直接証明する証拠は存在しない。よって以下の間接事実の積み重ねにより証明する。　本件契約には、報酬金額を1000万円と見積もった本件見積書①があり、Yもその成立の真正を認めている。Yは本件見積書①は、Yが運転資金として300万円を上乗せして銀行から融資を受けたいと考え、Xに作成してもらったと供述しているが、そのような銀行に対する詐欺まがいの行為に加担するべき理由はＸには存在せず、Yの供述に合理性はない。　本件契約には本件見積書②が存在するが、これはXが、Ｙから、本件建物は賃借物件なので、賃貸人に本件工事を承諾してもらわなければならないが、大掛かりなリフォームに見えないようにするため、外壁工事の項目を除いた見積書を作ってほしいと頼まれて作成したものである。これは、実際にYが本件工事の承諾を得る際、賃貸人に本件見積書②を見せていることを自認している事実からも裏付けられる。Ｙは、本件見積書②に外壁工事の項目がない理由を、Ｘが外壁工事分をサービスしたからだと主張しているが、仮にサービスするとしても、外壁工事分の見積もりも示したうえで、サービスする旨記載するのが通常であり、Yの主張に合理性はない。　本件契約には契約書が作成されていないが、それはXとYが十年来の仲であるので、作らなくても大丈夫だと思っていたからである。　以上から、XとYが本件契約を締結した事実が合理的に認定できる。第４　設問４１　弁護士Qは本件確定判決にかかる請求権の存在又は内容について、異議を主張して本件確定判決による強制執行の不許を求めることができる。２　債務名義に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行不許を求めるために、請求異議の訴えを提起できるが（民事執行法35条1項）、確定判決についての異議の事由は口頭弁論の終結後に生じたものに限る。そうすると、相殺の抗弁は、口頭弁論終結前に主張可能であったことから、その主張は排斥されるとも思える。　しかし、相殺の抗弁は、訴求債権と別個の反対債権の存在を主張し、それを対等額で消滅させるものであり、実質的に敗訴を認めた上での抗弁となる。よって、口頭弁論終結前に主張することが合理的に期待できない抗弁であるので、主張しなかったことがやむを得ない理由に基づくと言え、同抗弁を請求異議の訴えにおいて主張することができると解する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　刑事訴訟法
  第１　①の行為の適法性について１　甲の承諾を得ることなく、無施錠の同キャリーケースのチャックを開けて、その中を捜索した行為は適法といえるか。２　刑事訴訟法219条1項が、捜索差押令状の捜索対象として、場所、身体、物をそれぞれ区別した趣旨は、それぞれにおいて被疑者又は被告人のプライバシー侵害の度合いが異なることから、それぞれ別の司法審査を経ることにより、被疑者等の人権侵害を必要最小限度に抑えようという点にあると解される。そうであれば、場所に対する捜索差押許可状で、その場所の管理者に準じる者の所持品を捜索することは原則許されないが、その者が本来その場所にある物を隠匿していると疑われる合理的理由がある時は、捜索の実効性確保の観点から、当該捜索差押令状の当然の効力として、隠匿が疑われる者の所持品を検査することができると解する。３　本件令状は、捜索すべき場所がA方居室となっており、場所に対する捜索差押許可状である。そうすると原則として人の所持品に対する捜索はできない。しかし、本件では、甲は、玄関内においてコートを着用し、靴を履いてキャリーケースを所持していたことから、Pは甲が同室内から覚醒剤の密売に関するものを同キャリーケースに入れて持ち出そうとしていたのではないかとの疑いを抱いている。そして、甲に対し再三にわたり同キャリーケースを開けて中を見せるように求めたが、甲は同キャリーケースの持ち手を握ったままこれを拒否している。そうすると、この時点で、Ｐが、甲が捜索対象となりうる何かを隠し持っていると疑うこともやむおえない事情があったと言え、同室内から覚醒剤の密売に関するものを持ち出そうとしていると疑うに足りる合理的理由があるといえる。４　以上から、①の行為は適法であると解する。第２　②の行為の適法性ついて１　乙を羽交い絞めにして、乙からボストンバックを取りあげてその中を捜索した行為は、適法といえるか。①の行為に関する部分で上げた基準により判断する。２　乙はボストンバックを所持して外出先から帰宅しただけであり、捜索場所であるＡ方居室に存在するものを隠匿したと疑うに足りる合理的理由があるとはいえない。よってボストンバックの捜索は乙の同意がある場合にのみ許されると解するが、乙は、Pからの再三にわたるボストンバックの開被の要求を拒否している。よって、Ｐらの乙を羽交い絞めにした上、乙から同ボストンバックを取り上げてその中を捜索した行為は、乙の同意のない違法な捜索である。３　よって、②の行為は不適法である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　刑法
  第１　設問１１(1)　甲がYに対し、ブドウをお金を払わずにこっそりと持ってきて、と言ってYにブドウを取らせようとした行為につき、窃盗罪の間接正犯（235条）が成立しないか。(2)　利用者が被利用者の行為を完全に支配して、犯罪結果を生じさせた場合、被利用者を道具として自らが実行行為を行ったのと同視できるので、間接正犯が成立すると解する。(3)　本件では、甲はYに対して最初は優しい口調でブドウを持ってくるように言っていたが、Yが躊躇したため、「いいから早くいってきなさい」と強い口調で言いなおしている。そしてその結果Yは甲の指示に従うことを決め一人でC店に入っていった。そうすると、6歳の子供にとって親の言うことは絶対という感覚があると解され、従わざるを得ない心理状況であったと解される。　よって、本件では甲はYの行為を支配していた、と言えるので、間接正犯の成立可能性がある。(4)　では、甲には実行の着手が認められるか。間接正犯における実行の着手の時期が問題となる。　実行行為とは構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為をいい、実行の着手とはその行為の開始をいう。そして通常利用者の利用行為にはその危険性はなく、被利用者が犯罪の実行に着手した時点で、実行の着手を認めるべきである。　本件では、Yは、約10分間かけて店内を探したが、果物コーナーの場所がわからず、そのまま何も取らずに店を出ている。そうすると、ブドウの占有移転という構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為は開始されていないといえる。　よって、本件では実行の着手がなく、窃盗罪の間接正犯は成立しない。２(1)　甲がXに対して、C店においしそうなステーキ用の牛肉があったから取ってきてよ、といってXにステーキ用牛肉を取らせた行為につき、窃盗罪の共謀共同正犯(60条、235条)が成立しないか。(2)　自らが実行行為を行わなくとも、他人の行為を自己の手段として正犯として犯罪を実行する意思で共謀を行った場合、実行行為を行わなかった者も「共同して犯罪を実行した」といえるので、共同正犯が成立すると解する。(3)　本件では甲は自ら実行行為を行っていないが、一家の夕飯の材料であるステーキが窃盗の目的物であり、また3000円のやつを2パックという具体的指示を行い、3時ころに警備員が休憩に入るという有益な情報を与えている。よって、自らが正犯として犯罪を実行する意思があるといえる。また、嫌がるXに「あのスーパーは監視が甘いから大丈夫。見つかってもあんたは足が速いから大丈夫などと言って説得しており、他人の行為を自己の手段として犯罪を実行する意思も有していたといえる。　そしてその結果Xは、3000円のステーキ用の牛肉を5パック手に取っているが、２つ程度の数量の違いは、甲としては想定内であると考えられるので、当初の共謀の射程の範囲内と言える。(4)　以上から、甲にはステーキ用牛肉5パックにつき窃盗罪の共謀共同正犯が成立する。(5)　なお、Xが取ったアイドルの写真集については、当初の共謀の範囲外といえ、これについては、窃盗罪は成立しない。(6)　また、Xは終始、自分の意思で自由に行動し、盗むものを決めており、甲によって支配されていたとは言えないので、間接正犯は成立しない。第２　設問２について　１　窃盗が未遂の場合、事後強盗罪も未遂となるとの主張(1)　事後強盗罪は、「強盗として論ずる」と規定されている。そして強盗罪の既遂未遂の区別は、財物の強取の有無によるので、事後強盗も同様に解するべきと主張することが考えられる。(2)　本件では、甲は目的物の液晶テレビを、E店内でトートバック内に収めて店街へ持ち出すつもりでいたが、箱が大きすぎてその上部が10センチメートルほど同トートバックからはみ出していた。すると、甲は本件テレビを完全に自己の支配内に移転させたとは言えない可能性があり、この点を主張し、本件においては窃盗が未遂であるので、事後強盗も未遂であると主張することが考えられる。２　暴行脅迫が、強盗の機会に行われたとは言えないとの主張(1)　事後強盗罪を強盗として論ずる趣旨は、窃盗行為と場所的時間的に近接した状況で暴行脅迫が行われた場合には、暴行脅迫を手段として財物を強取する強盗の場合と同視できるという点にある。　そうであれば、事後強盗罪における暴行脅迫は、窃盗行為と時間的場所的に接着した時点で行われるべきであるといえる。(2)　本件では、甲は、その場から走って逃げだし、Ｅ店を出てから約3分後、Ｅ店から約400メートル離れた公園にとどまっていたが、誰も追ってこなかった。そうするとこの時点で甲は当初の窃盗行為による追跡から完全に逃れているといえ、その後のＥ店に隣接する駐輪場でＦに加えた暴行は、窃盗行為と時間的場所的に接着した時点でなされたとは言えない可能性がある。(3)　よって、甲は以上の主張をして事後強盗罪の成立を否定することが考えられる。３　事後強盗罪の暴行脅迫は、相手方の犯行を抑圧する程度のものでなければならないとの主張(1)　事後強盗罪は、「強盗として論ずる」のであるから、暴行脅迫は通常の強盗罪の場合と同じく、相手方の犯行を抑圧する程度のものでなければならないと考えられる。(2)　本件では、甲は逮捕を免れようとして両手でＦの胸部を1回押しており、その結果Ｆが体勢を崩して尻もちをついているが、この程度の暴行では相手方の犯行を抑圧する程度ではないとすれば、甲はその旨主張することにより、事後強盗の既遂罪の成立を否定することができる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　民事訴訟法
  第１　設問１１　①の訴えの適法性　①の訴えは、権利能力のない社団であるX自身が、原告となる方法である。Xは権利能力のない社団であるので、「法人格のない社団」（民事訴訟法29条）にあたる。またAという「代表者の定め」もある。以上から、①の訴えは民事訴訟法29条により適法となる。２　②の訴えの適法性　Xの構成員らが原告となって訴えを提起する方法は適法であるか。「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」（民事訴訟法40条1項）にあたれば、Xの構成員全員が原告となる必要があることから問題となる。　40条1項の趣旨は、訴訟の目的である権利関係が、個々人ごとに別々であると、紛争の統一的かつ矛盾なき解決が図れないので、権利関係を合一的に確定することで、これを防止するという点にある。そうであれば、「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一的にのみ確定すべき場合」とは、実体法上の管理処分権を共同で行使するべき場合をいうと解する。　Xは権利能力なき社団であるので、甲土地の所有権は全構成員に総有的に帰属している。そうすると、その権利行使も合一に行うべきであり、訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一的にのみ確定すべき場合」といえる。　以上から、②の訴えは、必要的共同訴訟である。　そうすると、Ｙに対する訴えの提起については、Ｃのほか、Cと関係の近い相当数の構成員による反対が予想されており、もしこれらの構成員が原告となることを拒否すると、必要的共同訴訟となる訴え②の提起は不可能となり、不適法となるとも思える。　しかし、そうすると、Ｘの他の構成員の訴訟提起が害され、権利関係がいつまでも確定しないこととなる。そこでこのような場合は、訴え提起に反対の構成員を、被告として訴えることができると解する。訴えの提起に協力しない時点で、提訴に反対の構成員の利益は、賛成の構成員の利益と相反しており、提訴に反対の構成員は、被告と同様の地位にあると考えられるからである。また、このように解することにより、訴訟提起に賛成の構成員の訴訟追行の自由を保障することができる。　よって、本件においても、提訴に反対の構成員を被告として提訴すれば、原告適格の要件が満たされ、②の訴えの提起は適法となる。第２　設問２１　㋐の本件別訴は、重複基礎の禁止規定（民事訴訟法142条）に反して違法とならないか。　142条の趣旨は、判決の矛盾抵触の防止、訴訟行為の煩、訴訟不経済の防止、という点にある。そうであれば、重複訴訟と言えるためには、前訴と後訴の①当事者の同一性、②訴訟物たる権利関係の同一性により判断するべきである。　本件では、当事者は前訴と後訴で原告と被告とが入れ替わっている。しかし、この場合も判決の矛盾抵触の恐れがあるので、当事者の同一性は認められる。　しかし、前訴の訴訟物は甲土地の所有権であり、本件別訴の訴訟物は甲土地の明渡請求権であるので、訴訟物たる権利関係が異なる。　そうすると重複基礎にはあたらず、本券別訴は適法とも思える。しかし、前訴の訴訟物たる権利関係が、本件別訴における訴訟物の前提たる権利関係となっており、これらにつき、矛盾した判断が下される恐れがある。　よって、この場合も実質的に「訴訟物たる権利関係が同一」といえるので、本件別訴は142条違反として違法である。２　イの方法をとった場合、前訴判決の既判力は後訴にどのように作用するか。　既判力は「主文に包含するもの」に限り効力を有する(114条1項)。そうすると、前訴棄却判決の既判力はＸが甲土地の所有権を有しない、という点に生じるが、Yが甲土地の所有権を有するというのは理由中の判断に過ぎないので既判力は生じない。よって、後訴において、直ちに甲土地につきＹの明渡請求権が認められることにはならない。しかし、通常、後訴裁判所は、前訴判決の理由中の権利関係を考慮に入れた判決をすることが期待される。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　商法
  第１　設問１１　Dは本件訴えにおいて、AらがCとの間で本件取引をしたことは、「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をし」たとして、120条1項違反を主張することが考えられる。これは認められるか。２　甲社は、本件土地の売買契約成立の直前に、不動産業者から別の土地の情報がもたらされ、甲社の取締役会において審議した結果、不動産業者から提案された土地に倉庫を建設した方が、円滑に商品を出荷することが可能となることから、本件土地の買い取りを見送るとの結論に達している。しかし、Cは聞き入れず、本件土地の買取ができないなら、今後の対応についてDに相談すると言い出した結果、CとDが強調して行動することを恐れたAは、本件取締役会決議を開き、本件土地の売買契約を成立させている。そうすると、Aが本件土地の売買契約を成立させたのは、CとDが株主総会で結託して多数派を形成することを恐れたことが理由と解せられる。よって、本件土地の売買契約は、「株主の権利の行使に関し」行われたといえる。　では、「財産上の利益の供与」はあったといえるか。この点、本件土地の売却代金である2億円は、本件土地に関する資料によれば、適正価格で会ったことから、財産上の利益の供与はなかったとも思える。しかし、本来本件土地より不動産業者からの情報による土地の方が、円滑な商品の出荷の観点から会社にとって有利であったのに、本件土地の購入が決まったことから、本件土地の売買契約の成立自体がCに対する「財産上の利益の供与」に当たると解する。　以上から、本件土地の売買契約は、120条1項違反となる。第２　設問２１　Aらは、本件提訴請求は、会社を代表する資格のないものに対してなされたとして、違法であると主張していると解せられる。この主張は認められるか。２　監査役は、株式会社の子会社の取締役を兼ねることができない（会社法335条2項）。本件において、Fは甲社の監査役であるが、その後、Aは、正式な手続き経て、Fに甲社の子会社である乙社の取締役の就任を要請し、Fは就任すると返答している。そうすると、Fは甲社の監査役と、乙社の取締役を兼ねているので、335条2項に違反し、甲社の監査役としての地位を有していないおそれがある。そうすると、Dの本件訴えの提訴請求は、会社を代表する資格のない者に対するものであるとして、違法であるとも思える。３　しかし、Fを乙社の取締役に就任させたのはAであり、甲社の代表取締役と乙社の代表取締役とを兼務しているA自身が、このような違法状態を作り出しているといえる。そうであればAが、352条1項違反を主張して、本件提訴請求が違法であると主張するのは、信義則に反し許されないと解する。４　以上から、本件提訴請求は適法であり、よって、本件訴えは適法であると解する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　民法
  第１　設問１小問(1)１　BはAに対して報酬減額請求(民法559条、563条2項)をしていると解される。これは認められるか。２　塗料βは塗料αよりも耐久性が高く、高価であり、塗料αより塗料βで外壁塗装を行った方が、甲建物の客観的な価値が高い。そうすると「契約内容に適合しないものであるとき」とは言えないとも思える。　しかし、塗料αはＢの運営する店舗でも共通して用いられており、Ｂのコーポレートカラーとして特に採用したものであるからこそ、Bは塗料αでの塗装を依頼している。そうであれば、塗料βで塗装したＡの行為は重大な契約違反であり、「契約内容に適合しないものであるとき」といえる。そして、Ａは、Ｂが塗料αによる再塗装を求めたのにこれを拒絶しているので「履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき」（563条2項）にあたる。3　よって、Ｂは無催告で報酬減額請求ができる。第２　設問１小問(2)１　本件では、ＡはＢからの塗料αによる塗装という指示を無視して、塗料βで塗装しているので、「債務の本旨に従った履行をしないとき」（民法415条1項）にあたる。また塗料αによる塗装が可能であったのだから「債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」とはいえない。よって、ＢはＡに対して損害賠償請求ができるが、本件では、ＢはＡに対して再塗装に要する費用を損害としてその賠償を請求しており、「債務の履行に代わる損害賠償の請求」（413条2項）をしている。これは認められるか。２　Ａが塗料αによる再塗装を行う旨の申し入れを行っており、「債務の履行が不能であるとき」(1号)にも、「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」(2号)にもあたらない。しかし、Ｂとしては契約の目的を達成できていないので、少なくとも「債務の不履行による契約の解除権が発生したとき」(3号)とはいえる。３　以上から、Ｂの請求が認められる。第3　設問２１　Ｅは令和29年4月1日に、Ｆに対して所有権に基づき、乙不動産の明け渡しを請求する訴えを提起している。これは「裁判上の請求」（147条1項1号）に当たるので、時効の完成猶予効が認められる。よって、Ｆは時効の起算点を令和9年4月1日とする取得時効を主張することはできない。２　また、Ｆの前主Ｄの占有は使用貸借契約に基づくものであり、所有の意思のない他主占有であるので、ＦがＤの占有の承継を主張する場合には、「その瑕疵をも承継する」(187条2項)ことになる。よって、ＦはＤの占有を合わせて主張することもできない。３(1)　そこで、Ｆは、令和9年3月1日以降の相続による占有を主張して、この日を起算点として乙不動産の時効取得を主張することが考えられる。これは認められるか。相続が「新たな権原」（185条）といえるかが問題となる。(2)　相続が直ちに「新たな権原」となるとすると、現所有者が時効完成を阻止することができなくなり、その静的安全を害することになる。そこで、相続により、相続人が現実に支配を開始し、それが所有の意思に基づくことが外部に表れている場合に、相続は「新たな権原」になると解する。(3)　本件では、令和9年3月1日、Ｄが死亡し、Ｄを単独相続した子Ｆは、乙不動産はＤがＣから贈与を受けたものと理解していたので、相続を機会に登記名義を自分に移したい、とＥに相談している。そうすると、Ｆは、Ｄの死亡後乙不動産を現実に支配し、Ｅに移転登記を申し出ていることから、それが所有の意思に基づくことが外部に表れているといえる。４　以上から、Ｆの相続権は「新たな権限」となり、Ｆには令和9年3月1日を起算点とする取得時効が成立する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　行政法
  第１　設問１１　Dが本件処分について取り消し訴訟の提起を断念した理由は、取り消し訴訟は、処分があったことを知った日から６箇月または処分から１年を経過したときは提起することができない（行政事件訴訟法１４条１項、２項）ところ、本件ではすでに上記の期間を経過しているからである。２(1)　では、本件では、Dに行政事件訴訟法第３６条に定める原告適格が認められるか。(2)　「処分の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者」とは、当該処分によって、自己の権利若しくは法律上保護された利益が侵害され又は必然的に侵害される恐れのある者をいう。Dは本件処分の名宛人であり、「法律上の利益を有する者」といえる。(3)　「当該処分の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」とは、現在の法律関係に関する訴えによっては目的達成が不可能な場合に限られず、現在の法律関係に関する訴えが可能な場合でも、過去の処分の無効を争った方が、紛争解決手段としてより直截的である場合も含むと解する。　本件ではDは、本件土地の現在の所有権を争っているわけではないので、過去の処分の効力を争うほかなく、それが紛争解決にとってより直截的であるといえる。　よって「当該処分の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの」といえる。(4)　以上からDには本件訴訟の原告適格が認められる。第２　設問２１　Dは、本件処分がその内容や範囲が不明確であるがゆえに無効であると主張することが考えられる。この主張は認められるか。　処分によって被処分者は、自己の権利または法律上保護された利益を侵害されるという不利益を被る。そこで、その処分の範囲は明確でなければならないと解する。　本件処分において、B町は、C古墳の範囲が本件石室に限定されるものではなく、本件石室を取り巻く盛り土全体もC古墳に含まれると考えており、その範囲に本件処分の効力が及ぶと認識していた。にもかかわらず、教育委員会は、本件処分後にC古墳であることを示す標識を露出している上記巨石のすぐそばに設置したが、半径約10メートルの円の内側一帯が、C古墳であることを示す標識等を設置したことはなかった。　そうすると、本件処分はその範囲が不明確であるといえ、被処分者の予測可能性を害するので、無効であると解する。２(1)　Dは、本件処分は、条例第4条2項、第21条2項に違反し無効であると主張することが考えられる。これは認められるか。　教育委員会は、本件指定に際し、B町文化財保護委員会に諮問しなければならなかった（条例4条2項）のにそれをしていない。また、会議は委員の半数以上が出席しなければ開くことができないのに、Ｅ一人のみの意見を聴取し、当該資料にはＥの意見聴取を得たことにより、本件条例第4条2項に基づく保護委員会への諮問手続きを実質的には履践したといえる、としている。しかし、このような例外的な取り扱いが認められる規定は存在しない。　よって本件処分には上記手続き違反が認められる。(2)　では、この手続き違反を無効理由として主張できるか。　行訴法は適正な手続きのもと処分を受ける権利を被処分者に保証していると解されるが、軽微な手続き違反でも無効主張ができるとすると、手続きの安定性を害することになる。よって、処分の効力に重大な影響を与える手続き違反がある場合に無効理由となると解する。　本件では、諮問は本件処分の重大な前提となっているといえるので、処分の効力に重大な影響を与える手続き違反があるといえる。　よって、本件手続き違反は、処分の無効理由となると解する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
- 令和4年司法試験予備試験再現答案　憲法
  第１　地方鉄道維持特措法案が、争議行為を禁止し、争議行為のあおり、そそのかしを処罰しているのは憲法28条に違反しないか。第２　憲法28条は、勤労者が団体行動、すなわち争議行為をする権利を保障している。第３　本件特措法案は、勤労者の争議行為を禁止しており、権利の制約が認められる。第４　１　では、上記制約は正当化されるか。その違憲審査基準が問題となる。２　28条が勤労者の争議行為をする権利を認めた趣旨は、使用者との関係において劣位にたつ労働者に使用者と対等の地位を保障し、労使交渉において自らが人格的生存に必要な収入や勤務環境を得られるように配慮する点にある。そうであるならば、安易な立法裁量は認めるべきではなく、規制の目的が重要であり、より緩やかな他の選びうる手段が存在しない時に合憲となると解する。第５　１　本件特措法案の規制の目的は重要であるといえるか。　本件特措法案の規制の目的は経営危機に陥った地方の私鉄の経営再建を国が支援する、という点にある。２　そして、地方の人口減少によって私鉄の多くが経営危機に陥っており、賃金カットや人員削減が行われ、それに対するストライキが頻発し、そのことが利用客離れを呼び、経営危機が進行するといった悪循環に陥っている。他方で、地方の住民からは移動に不可欠な公共交通機関である私鉄に対して、国が財政支援を行うよう、強い要望が続出している。以上のような現状においては、国による財政支援は必要かつ重要であるといえる。よって規制目的は重要であるといえる。第６　では、より緩やかな他の選びうる規制手段が存在しないといえるか。１　争議行為の禁止について(1)立法担当者の説明によれば、特別管理鉄道会社の従業員の争議行為が禁止される理由は、①特別公的管理鉄道会社の支援には住民の税金が使用されており、その生活に重大な悪影響を与えることは不適切であること、②争議行為により鉄道の利用者が減少すると、特別公的管理鉄道会社の経営再建に支障が生ずるからであるとする。　　(2)しかし従業員は、自らの経済的地位向上のために争議行為を行うのであり、会社の経営基盤を揺るがすような行き過ぎた争議行為は自制すると考えられ、鉄道利用者の生活に重大な悪影響を与えたり、会社の経営再建に支障が生ずる事態を招く恐れはないといえる。　また、特別公的管理鉄道会社の労働条件の決定には、国土交通大臣の承認が必要であり、労使だけで決定できないとしても(理由③)、大臣に提出する労働条件の原案を労使交渉で決定でき、大臣は、それが合理的なものであればそのまま承認することが考えられるので、労使交渉をする上での一手段として、争議行為を認める合理性がある。　(3)よって、特に違法性の強い争議行為のみを禁止するといった、より緩やかな他の選びうる手段があるといえ、争議行為を全面的に禁止した本件特措法案は違憲である。２　本件特措法案が、争議行為のあおり、そそのかしを処罰している点について(1)確かに、争議行為をあおり又はそそのかした者は、争議行為の原因を作った者であるといえ、社会的責任が重いといえる(理由④)。しかし、上記の通り、争議行為の全面禁止は違憲であると解されるので、全てのあおり、そそのかしを処罰することは行き過ぎた処罰であると解する。　よって特に違法性の強い争議行為を、地位を利用して命令したり脅迫したりするような、従業員本人の自由な意思決定が、阻害されるような悪質な行為により、あおり、そそのかしが行われた場合にのみ処罰されるべきである。(2)よって、より緩やかな他の選びうる手段が存在すると言えるので、本件特措法案は違憲である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
15Oct
- 大島本は入門編より上巻？
  　口述試験の民事実務対策として、大島本の上巻を読み込んでいます。　今年は倒産法の勉強が忙しく、直前期の実務基礎の勉強がおろそかになってしまい、大島本ではない、もっと薄い本で済ませてしまいました。しかし、予備論文対策としては、やはり大島本上巻を読み込んでおくべきでしたね。　上巻には、予備論文で出題された請負の要件事実も載っていました。ただし、今年の予備論文のような、損害賠償同時請求パターンは載っていませんでしたが。しかし、損害賠償請求の要件事実も別のところに書いてあるので、多分上巻を読み込んでいれば、合わせ技で、今年の民事実務の設問１は何とかなっていたのではないかと思います。　ちなみに、大島本の入門編の方には、執行保全や法曹倫理の説明があるのに対し、上巻の方にはありません。そこで予備受験生は、上巻よりも入門編の所有率の方が高そうな気がします。　しかし、入門編には請負の要件事実は載っていないらしいですし、掲載されている要件事実の数も、上巻の方が多いようです。また、現状の予備論文の要件事実の問題のレベルは、入門編を越えているような気がします。したがって、要件事実の知識の穴をなくそうと思ったら、入門編より上巻のほうがいいかもしれません。　話は変わりますが、来週はいよいよ発表ですね。あれで完璧、とはいいませんが、もうそろそろ、受験資格くらい与えらてもいいレベルにはいるのではないか、と思っています。本当に何とかなっていてほしいです。

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