産業界のプロパガンダと政治的干渉が、アルツハイマー病を含む神経変性疾患においてアルミニウムへの人体曝露が果たす避けられない役割を隠せない理由

バーチャル・センター、レナード・ジョーンズ研究所、キール大学、ストーク・オン・トレント、英国

 

アルミニウムの時代において、世界で最も名の知れた金属であるアルミニウムが人間の病気に関与していることは、明らかに好ましくない。というのも、人類は約100年にわたり、地殻に最も豊富に存在する金属であるアルミニウムの恩恵を、人間の健康に対する潜在的な影響を真剣に考えることなく享受してきたからである。アルミニウム産業は先進国および発展途上国の柱であり、アルミニウムにさらされる人間の暴虐とは無関係に、企業、経済、政府に重大な影響を及ぼさない限り、それに異議を唱えることはできない。しかし、どんなに依存が深くても、あるいは撤退が考えられないことであっても、科学はアルミニウムの人体への負担が急増していることを、ゆっくりではあるが記録し続けている。ここでは、個人のアルミニウムへの暴露が健康に影響を及ぼし、アルツハイマー病のような慢性疾患の原因とまではいかなくても、その一因となっていることは、現在も将来も避けられないということを主張したい。これは、アルミニウムの時代に生きることの、不快ではあるが論理的な帰結なのである。

 

【はじめに】

1970年、ATP存在下でのヘキソキナーゼによるグルコースのリン酸化には、クエン酸塩のような特定の「活性化剤」が必要であり、特に中性付近のpHではそうであると考えられていた(1)

1979年、クエン酸塩(および他の活性化剤)のいわゆるアロステリック活性は、実験室で供給されるATPがアルミニウムによって汚染された結果であることが判明した(2)

汚染の問題は今日も同じであり(3, 4)、汚染のレベルは通常0.1%(1000ATPあたり1アルミニウム)以下であるが、ATPがAl(III)と結合する際の結合力は、通常の補因子であるMg(II)の約103倍であるため、Al-ATPがMg-ATPに代わってリン酸源となった場合、その後のヘキソキナーゼの活性は著しく低下する。同じ条件下で、さらにクエン酸(pH≧7でAl(III)結合の重要な競合物質)の存在下では、Al-ATPは解離し、Al-クエン酸複合体の形成がAl-ATPの阻害作用から酵素-基質複合体を保護する。市販のATPがAl(III)によって汚染された結果についてのこの説明は、それ自体重要な教訓であるが、生物相、特にヒトにおけるAl(III)の到達について、より広い意味合いを持つ。

ヒトの生化学において、ATPを用いたグルコースのリン酸化反応ほど基本的な反応はほとんどなく、生物学的に利用可能なAl(III)が存在すれば、このような反応がヒトの生化学において選択されることはなかったであろうことは、誰の目にも明らかであろう(5)

アルミニウム時代の陰湿な到来は、Al(III)が生物学的に利用可能であることを示す事例の急増によって予告されてきたし、今後も予告され続けるであろう。この事実を認識し、同時に、Al(III)がヒトの疾病に果たすかもしれない役割に対抗する準備をすることは、極めて重要である。現在、アルミニウムの使用に関する政治的な側面が、アルミニウムの時代に生きるための常識的なアプローチを妨げており、また、自己満足が、日常生活におけるアルミニウムへの暴露を加速させ、私たち一人ひとりのアルミニウムの体内負担を急増させている。アルミニウムによるATPの汚染というパラダイムを拡大解釈すれば、地球上に存在する実験室はすでにアルミニウムで著しく汚染されており、アルミニウムは人類の進化に積極的に関与していると言える。

 

【自己満足とアルミニウム】

アルミニウムの潜在的危険性に対する自己満足を促す最も大きな要因は、アルミニウムが現代生活に広く浸透していることである。多くの人が科学的な会議に出席したことがあるだろう。そこでは、アルミニウム業界の「アルミニウム大使」の一人が、アルミニウムが何処にでも存在していることがいかにアルミニウムの重要性を示す確かな証拠であるかについてプレゼンテーションを行った。

アルミニウムがすべての細胞に存在する以上、アルミニウムは有益に違いない。

今日、アルミニウムは人体のあらゆる物理的・化学的区画に存在していると思われる。また、その量は急増しており、将来のある世代はアルミニウムの体内負担がより大きくなるだろうというのも事実である(6)

しかし、現存するいかなる生物においても、ましてや人間においてアルミニウムが有益な役割をしていることを特定するには至っていない。

従って、何のメカニズムもなしにアルミニウムの存在を本質的なものだと推定するのは、現実的というよりも希望的観測に過ぎないかもしれない。なぜなら、生物圏で最も豊富な生態毒であり、ヒトの神経毒であることが知られているアルミニウムの体内負担が増え続けるという結果は、少なくとも短期的には有害でしかあり得ないからである。

アルミニウムが有毒かどうかではなく、その深刻さの程度が議論されることになるだろう。

また、アルミニウムへの人体暴露をある程度甘受できるもう一つの要因は、アルミニウムが人体に対して急性毒性を示すことは稀であるという事実である。

アルミニウムによる急性で致死的な中毒の例はあり、特に透析脳症と総称されるものが知られている(7)

しかし、日常生活において、ヒトは生物学的に利用可能なレベルのアルミニウムにさらされることはなく、急性毒性を引き起こすことはない。

アルミニウムは、特定の毒性閾値に達したときに初めて気づく、人体への無言の訪問者であると述べた。実際、このような事例におけるアルミニウムの役割は、即座には気づかれないかもしれないし、まったく気づかれないかもしれない。もしアルミニウムが特定の疾患の病因として疑われなければ、その疾患におけるアルミニウムの役割が調査される可能性は極めて低い。

 

【人間における慢性アルミニウム中毒の症状とは?】

アルミニウム中毒は、その作用に特異的な単一のモチーフや徴候を持たないと考えるのがおそらく正しい。つまり、アルミニウムの役割が疑われない場合、医師が罹患者のアルミニウム中毒を(即座に)診断する可能性は低いということだ。アルミニウム中毒とすぐに認識できるような症状がないのは、アルミニウムの生物学的反応性と、アルミニウムと結合しやすい性質に関係している。そして、無数の生体分子に関連する酸素ベースの官能基と結合する大きな傾向がある(8)
 これらの反応には、アルミニウムと必須金属との置換、タンパク質ベースの生体分子上の非特異的結合部位によるアルミニウムのde novo結合、生体高分子を含む架橋反応などが含まれる。また、アルミニウムは細胞内および細胞外の環境において不安定な分子と結合し、これらの相互作用の一部は、アルミニウムが高分子および低分子複合体として全身に輸送され、最終的にアルミニウムが体外に排泄されることに関与する(9)

アルミニウムが非常に多くの生化学的経路と相互作用し、影響を及ぼす可能性があるということは、アルミニウムの毒性症状は、欠乏または充足、作動性または作用性、そしてこれらの組み合わせやその他の生理学的事象に基づく可能性があるということである。

科学文献には、アルミニウムへの曝露とヒトの疾病との関連性が記されており、私は最近、そのような病態を表にまとめてみたが、これらはアルミニウム中毒の可能性を診断する際の出発点となるかもしれない(10)

しかし、アルミニウムが疾患関連事象に重要な役割を果たすためには、ある程度の毒性閾値が達成されていなければならない。基本的には、アルミニウムの標的リガンドへの 、が標的リガンドに到達する速度は、攻撃を受けているシステム固有の頑健性に打ち勝つのに十分でなければならない。この閾値の達成には、アルミニウムが特定のコンパートメント内で時間をかけて蓄積されるか、あるいはアルミニウムの単回投与によって瞬時に達成されるかのどちらかでなければならない。後者は、例えばワクチン接種やアレルギー免疫療法のアジュバントとしてアルミニウムが投与される場合を除き、ヒトが日常的にアルミニウムに曝される場合には、おそらくより珍しいことであろう(11, 12)。

 

参考文献
1. Kosow DP, Rose IA. 酵母ヘキソキナーゼの活性化因子。J Biol Chem (1971) 246:2618-25.

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2. Womack FC, Colowick SP. 酵母および脳ヘキソキナーゼのATP調製アルミニウムによるプロトン依存的阻害。このような場合、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」、「臓器移植」の3つの方法がある。

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3. Exley C, Price NC, Birchall JD. アルミニウムによるin vitroでのヘキソキナーゼ活性阻害;生物学的利用可能性の研究。J Inorg Biochem (1994) 54:297-304. doi:10.1016/0162-0134(94)80035-9

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4. Exley C, Birchall JD. 市販ATP中のアルミニウムの生物学的利用可能性。J Inorg Biochem (1996) 63:241-52. doi:10.1016/0162-0134(95)00225-1.

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7. Alfrey AC, Legendre GR, Kaehnu WD. 透析脳症症候群-アルミニウム中毒の可能性。N Engl J Med (1976) 294:184-8. doi:10.1056/NEJM197601222940402.

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10. アルミニウムと医学。In: Merce ALR, Felcman J, Recio MAL, editors. Molecular and Supramolecular Bioinorganic Chemistry: 医学における応用。New York, NY: ノヴァ・サイエンス・パブリッシャーズ・インク (2009).

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11. Exley C, Siesjö P, Eriksson H. The immunobiology of aluminium adjuvants: How do they really work? Trends Immunol (2010) 31:103-9. doi:10.1016/j.it.2009.12.009.

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12. アルミニウムアジュバントと皮下アレルギー免疫療法における有害事象。Allergy Asthma Clin Immunol (2014) 10:4. doi:10.1186/1710-1492-10-4.

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