私の気持ちはお構い無しに話をどんどん進めちゃってる亡き旦那。
仕事はとりあえず続けさせてもらうけど一緒に住むのはやっぱり…と私は難色を示していた。
いくらなんでもそういう事はじっくりと話し合うべき問題で、若気の至りなんて年齢でもないし、ましてやお互いバツイチなんだから、普通はもう少し慎重になるのが当たり前だ。
しかしだ…この騒動があった3ヶ月ほど前から、住んでいたアパートの隣人から苦情が頻繁に入るようになっていた。
苦情の内容がこれまたアレレな人なのかな?な感じで、例えば夜中にゲームをピコピコやって騒いでる音が煩いとか、朝っぱらから掃除機が煩いとか外階段を上る足音が煩いなど。
階段の真横に位置してる隣人の住まい。私が出歩く度にその音が煩いととにかく苦情の嵐だった。
ゲームなんて持ってないし朝っぱらから掃除機かけるなんて常識外れなことやる訳ない。外階段の音に関しては抜き足差し足忍び足で上っても何か言われるしまつ。
もう忘れちゃったけど、それはないない!ってな言いがかりな苦情ばかり言われるようになっていた。
ありもしない音が昼夜問わず聞こえると、どうにかしてくれと言われてばかりいた。
そのアパートの1階部分がお店になっていて、お菓子やミネラルウォーターがかなり安く売っていたから度々利用して、そこの店員さんとも顔見知りになっていた。
そこで私は聞いてみた。隣から苦情がきていることを話した上で2階の足音や物音ってそんなに響いてますか?と。すると店員さん、あっ!という顔をして、またか…と呟いた。
え?またかとは?何かあったんですか?ともちろん聞いた。うん、実はね…と話し始めた。
なんでもその苦情の主はその部屋に10年近く住んでいるらしく、その人が入居してからは、その隣りに越してきた住人たち全員、住み始めて2年も経たずに引っ越して行った!となっ!
どういうことか詳しく聞くと、そのアパート、2人入居が可能で築年数は古いけど駅チカで広くて安かったから新婚さんがよく入居してたらしい。
そして苦情の主は推定年齢がアラフォーくらいの独身女性…隣りに越してきた新婚さんに嫌がらせをしたかったのか、ものすごい苦情を入れまくっては追い出していたと…。
それが何組も続いたらしく、私は半同棲みたいな感じだったからやはり標的になったみたいと言われた。亡き旦那とよく買い物していたから嫌でも分かるわね笑。
そんな理不尽な話を聞いたら俄然燃えるタイプの私。意地でも出て行かない、てこでも動くもんか!と腹をくくった。
苦情が入る度、その時間は仕事で不在でしたけど、なんなら勤め先に確認しますか?と張り合っていた。 不在なのに音がして煩いとまで言われるようになっていたからめちゃくちゃだ。
そしてついに、大家さんが登場してきた。
その大家さん、そのアパートの隣にも鉄筋コンクリート造のマンションを持っていた。因みに私が住んでいたのは木造アパート。鉄筋とは雲泥の差があるよね…笑。
あまりに苦情がしつこい、あなたが悪いことをしてないのは分かってる(過去の経験から)、引っ越し代も敷金礼金も要らないから、隣のマンションに引っ越してくれないか?と頭を下げに来たのだ。
間取りはこうだからと見せてもらったがバストイレ一緒のタイプで凄く狭かった。しかし家賃は同じ。ここで勘弁してくれと…。
いやいや、何も悪いことしてないのになんでこちらが逃げるように出ていかなきゃならないの?だった。
その話は亡き旦那に逐一話してあったので、大家さんが登場してきた辺りでこれはもう2人で住めってことなんだよ!くらいに言われた。
私もなんだか不毛なやり取りに疲れ果てていた。何も悪くない私が逃げるようにして出ていかなきゃならない理不尽さときたら…涙。
そして運良く?なのか悪く、なのか、亡き旦那の知り合いが買ったタワマンがこのほど完成し、その部屋を賃貸に出す予定だという話が持ち込まれた。
まだ出来たばかりのホヤホヤタワマン。木造アパートに住んでいた田舎者の私からすれば夢のような話だった。
知り合いが、知らない人に貸すよりはあなた達に貸したいと言ってきた。2人で住むには狭いけど、何よりもタワマン、駅チカで、しかしタワマン笑。
もう浮かれまくってたねぇ…あの頃の私は…。
そこに一緒に住もう!苦情からも解放されるし相場の家賃よりはかなり安くしてもらえるそうだし、そうしよう!ね!?
うん、分かった!私は二つ返事で承諾してしまったんだな~!もう心はタワマンになってしまってたから。
話がまとまればあとは速かった。決めて2週間もしないくらいで引っ越したから。
色んな事が偶然重なり一緒に住むことになった私と亡き旦那。それはもう運命だったんだろうと、その時は思った。
続く…