「ISバランス論」について考える | ユウ坊の経済を考えるブログ

ユウ坊の経済を考えるブログ

日常の出来事、ニュースや思いついたこと等について、経済学の観点から個人的な考えを書くブログです。

ISバランス論」とは“貯蓄投資差額は貿易収支と等しくなるという式を表す理論”である。「ISバランス論」について考える。

 

 (S-I)+(T-G)=Ex-ImS=貯蓄 、I=投資、T=政府税収、G=政府支出、Ex=輸出高、Im=輸入高)という式で表せるのが「ISバランス論」である。この式は、マクロ・モデルの「国民所得の分配式」と「マクロの需給均衡式」の2つの式からから導き出せるものである。

 

 上記の式が意味するところは、「S-I」は民間の貯蓄投資差額、「T-G」は政府の貯蓄投資差額、そして、「Ex-Im」が貿易収支を示し、「一国の貯蓄投資差額は貿易収支と等しくなる」ということである(T-G」については、「税収」から「政府支出(政府投資)」を控除して余ればそれは「政府の貯蓄」となるという意味である)

 

 ISバランス論」は日米貿易摩擦の際に日本側が貿易黒字の正当性を主張するのに用いられたといわれている。すなわち、語弊があるかもしれないが、アメリカ側は貿易赤字を国の損失と捉えていた(一部の経済学者によれば貿易赤字は損失ではないといわれている)。そのため、日本に貿易黒字を解消するように『市場解放』や『内需拡大』を要求してきた。

しかし、アメリカの貿易赤字の原因は、ISバランスから「貯蓄率の低さと財政赤字(双子の赤字)」にあるとして対抗したといわれている。

 

ただし、アメリカ側の言い分もすべてが必ずしも間違っているとはいえない。『日本経済の閉鎖性が多大な貿易黒字を生んでいる』というリポートがあり(閉鎖的な市場のもとでは当然のことながら輸入高が少なくなる)、また、個人的な意見となるが『国富』の観点から考えた場合、貿易赤字はロングタームでみた場合には『国富の減少要因』となるからである。

 

 やはり、日本人であるせいか、日本の言い分の方が分があるように思える。しかし、後に前述のリポートを前提に経済政策の立案が検討されていたらしい(現在は前提としているかわからない)

 

 貿易黒字を「ISバランス論」から推察すると内需も要因の1つだが、それより「日本人の国民性」が原因だと思う。日本人は貯蓄を好む傾向があるように感じる。したがって、必然的に当時は貿易黒字になったのではないかと考える。

 

 ちなみに、古典派は『貯蓄は美徳』であると捉えており、ケインズ派は『貯蓄は悪徳』であると捉えている※。これはどちらが正しいということではなく、長期と短期の相違といえる。

現在はデフレから脱却しつつあり、消費性向が以前と比較して高くなっているような気がする。

 

※ 古典派は長期、ケインズ派は短期を前提としている。長期的にみた場合、貯蓄はストックとして成長要因となるものである。しかし、短期で見た場合はフローの概念からGDPの減少に繋がると考えられる。

 
日本経済の構造 経済学入門 【中古】afb

¥4,320
楽天