今回は、前回に引き続き、
『ドクター・デスの遺産』の原作本と映画本編の比較を自分なりにまとめ、述べていこうと思います。

それでは、始めて行きます!

(4)岸田正人から分かる犯人(偽)の特徴
サイトからの捜査で、安楽死の被害者となった人がまた一人と分かった。まだ若かった岸田正人さんだが、拡張型心筋症のために、耐えられず母親がドクター・デスに安楽死の依頼をしてしまったのだった。この母親はその時にいた医者の特徴として、主に二つ挙げた。
①小柄の男 ②頭が禿げている

👉この場面は前回の記事でも述べた通り、映画内ではコンパクトにまとめられ、あまり細かく焦点を当てられてはいませんでした。しかし、ここでの医者の特徴は、かなり今後の展開に重要なこととなってくるので、しっかり頭に入れておく必要があります!

(5)犬飼が娘を使って行ったおとり捜査の結末
犬養は腎不全で入院している娘・沙耶香の名前と入院している病院の名を変え、自らがおとりとなり、娘の安楽死を「ドクター・デス」に依頼した。やりとりをして、依頼は完了し、決行日を迎え、病院で犬飼と高千穂たちは、ドクター・デスを待っていた。ドクター・デスは時間になっても現れず、その時犬養の携帯に連絡が入った。その連絡で、犬飼たちは、衝撃の事実を耳にしました。それは、犬飼たちがドクター・デスを待っている病院ではなく、沙耶香のいる病院に塩化カリウム製剤が入った点滴バッグが届いたということでした。これによって、犬飼によるおとり捜査は失敗に終わった。

👉このおとり捜査は、映画内では出てきていません。映画内では、犬飼たちが犯人を逮捕することができず、頭を抱えている時に、犯人が安楽死を促すような言葉を犬飼の娘に投げかける事で、娘の沙耶香が安楽死を依頼してしまい、連れ去られるという、似たような事がありました。この場面は、最後にありました。(※(7)を参照)しかし、本と映画で扱われている場所も、それが今後の展開に与える所もかなり違っていると言えます。

(6)安楽死での法条正宗の死
通報された法条正宗の安楽死による死は、警察の捜査の結果、息子の英輔が安楽死の依頼をドクター・デスにしていたことが分かった。また、この息子の証言から、安楽死の際に医者に付き添っていた看護師の風貌が分かった。
①ショートボブ ②丸顔 
③目が小さい ④30〜40代の女性

👉映画内で細かい事件に関しては描かれていませんでしたが、このような証言によって分かる似顔絵捜査は、今まで述べてきた他の事件の依頼者の証言とまとめられて映画内では出てきていました。

映画内では、今まで述べてきた全ての事件の依頼者が皆医者と看護師の顔を見ていました。しかし、皆自分から苦しみを取ってくれ、愛しい人から苦しみやもがいている様子を取ってくれた、ドクター・デスには感謝をしていました。その為、似顔絵捜査の時には、嘘をついてしまうのです。
→これでは、いくら似顔絵を描いても、いつまで経っても犯人の顔には辿り着けませんよね?
そこで、映画内では似顔絵捜査の巧みな技術が披露されました!ここは原作には全く出てきていないので、注目すべきだと思います!
その技術には、人間の心理を理解することが重要です。その心理とは、人間は嘘をつく時、はじめは自分が覚えている犯人と違う証言をしようとかなり意識しているため、真反対の証言をする事が多く、徐々に描かれる似顔絵を見て、「似ていない」と安心すると、覚えている犯人に似てきてしまうということです。

例えば、似顔絵制作で嘘をつく時に、頭の中に覚えている犯人は、二重の幅がくっきりとしていて大きな目を持ち、髪が長く、眉毛がくっきりしていて目の眉毛の幅はとても広い人だとします。それを頭に浮かべて、嘘を似顔絵を描く警察官につくとすると、まずはじめ目が細く、髪は短く、眉毛は細いと発言するとします。それを元に描かれた絵をみると、当然自分が覚えている人物とはかなり異なっているわけです。このように、違う人になるよう証言できた安心感から、その後の証言は、目と眉毛の幅は広かったと本当の事を言ってしまうという事です。

この心理を元に、似顔絵捜査の初めの方に質問したものの解答を逆にしてもう一度描き直してみると、本当の顔が浮かび上がってくるのです。これが、私が注目して欲しい映画内だけに出てくる、似顔絵捜査の技術です!

(7)(6)以降の展開
ここから先は、映画では基本的には(5)にも書いた、犬飼の娘の連れ去りと初めの映画分析の時にも述べた、医者・看護師との攻防の話でした。この他にも原作では、一つ一つの細い事件の真相が明らかになったりと展開はありましたが、ここは映画ではバッサリとカットされていました。

✳︎先程、自分自身で似顔絵捜査の説明を行いましたが、やはり似顔"絵"と言っているので、言葉で全てを説明するのは難しく感じました。原作本にはこの記述はなく、反対に映画でこの場面があったというのは、文章で説明するのとセリフとして口で喋るのとでは、見る人・読む人に対する配慮として違いが見られるのだ、と実際文章を書いてみて感じました。また、この原作を読んでみて、映画内でのキャスティングが素晴らしいなとも感じました。
医者役、看護師役の柄本明さん、木村佳乃さんは本当に適役だと思いました。お二人の演技力もあってのことだとは思いますが、かなりこの原作を忠実に再現しているように思いました。ビジュアルや姿勢も含め、セリフを言っている時の間の開け方や、あの力がみなぎっている目と、取り調べを受けている時の死んだ目の変化など、忠実に再現していると思います。この事は、犬飼さん役の綾野剛さん、高千穂さん役の北川景子さんにも当てはまります。
反対に、少しキャスティングの事で気になったことというと、北川景子さん演じる高千穂刑事が、少し原作とキャラが違うかなとは思いました。映画の最後で、強く正義感ある男勝りな所が高千穂にあると思わせる描写がありました。犬飼さんの腹を思いっきり殴るところです。このシーンは、映画中盤に犬飼が高千穂にやった事の仕返しという事なのですが、原作では映画よりも高千穂は、犬飼を慕っているというような役どころのように感じたので、少し違和感はありました。しかし、映画と原作でまた違うキャラとして、違う人物として見るのも面白いかなと思いました。

いかがでしたでしょうか?文章で細かく分析、個人的にしてみましたが、やはり映画の映像を見る事で私とは違った見解を持てるとも思うので、是非映画館に足を運んでみてください♪