世界名作劇場
赤毛のアンは
MXテレビ
よる7:00〜
絶賛再放送中!
第30話 虚栄と心痛
春も近い4月の終わり頃…マリラは夫人講演会に出かけアンは台所で物語を書いていた時、グリーンゲイブルズに行商人がやって来た。アンはマリラに言われたように家の中には入れなかったが…外で話をして、まんまと行商人の口車に乗せられ毛染め薬を買ってしまう。
それは、美しいカラスの濡れ羽色になれるというヘアカラーだった。行商人の言葉を信じてそれを使うと…アンの髪は緑色になってしまった。鏡を見たアンは悲鳴をあげ絶句する。
マリラとリンド夫人が帰ってくる。
リンド夫人
アンは、今度は物語クラブに夢中になってるらしいじゃないか?コンサートが終わったと思ったらもう次の気まぐれを発揮するんだからねぇ?
マリラ
アンのことに口出ししないでほしいねぇ、アンは欠点もあるけど役立つとこもあって、こうやって帰った時にはもうお茶の支度もちゃんとしてあるんだ、アンタみたく冷え切ったうす暗い家にたどりつくのとは大違いなんだ。
リンド夫人
ああ、わかったよ、すまなかったねぇ。あんまり興奮すると頭痛に響くよ。
マリラ
すまないねぇ。心配かけて、あたしもちょっと言い過ぎたようだけど、悪く思わないでおくれ。
リンド夫人
気心の知れた同士じゃないか、なんとも思ってやしないよ。
マリラ
じゃおやすみ、レイチェル
リンド夫人
おやすみマリラ。
マリラが去ってから…
リンド夫人
マリラがあの子をあんなに気にいるようになるとはねぇ…
家が見えると、アンがお茶の準備をして出迎えてくれるのを想像ながらマリラがドアを開けた。が…部屋は真っ暗、暖炉の火も消えていた。当然、お茶の準備もしていなく、アンの姿もなかった。ガッカリするマリラ…。
マリラ
アンが戻ってきたら叱ってやらないといけませんね。あの子の頭の中はバカげた事でいっぱいなんですから!やっとひとつ気まぐれから抜け出したと思ったらまた次の事をやり始めるんだから!やれやれ、私ときたら…さっきレイチェルに言われたのとそっくりそのままおんなじ事を言っているんですから…レイチェルに言われた時はあんなに腹を立てたのにねぇ…欠点だからにせよ、あの子が言いつけにそむいたり当てにならない人間と思った事はなかったんですがねぇ、でも今度は違いました、午後は家にいて家事をやるようにいいつけておいたんですからね!
そう決めてしまうのはどうかのう、あの子が言いつけにそむいたとわかるまではな…何かワケがあったのかもしれんよ
マリラ
家にいるように言ったのにあの子は家にいなかったんですからね!それだけは私に納得できるように説明するなんてできない相談ですよ!
食事も終えてもアンは帰って来なかった。
マリラ
本当に何をしてるっていうんだろう…今頃まで…
ろうそく立てを取りにアンの部屋に行くとアンがベッドに横たわっていた。
マリラ
アンタ眠ってたのかい?気分が悪いのかい?
アン
お願いだからあっちへ行って私を見ないで!今絶望のどん底にいるの…
マリラ
なんの事言ってるんだね
アン
もうどこへも行けないの!私の生涯は終わったのよ
マリラ
アン・シャーリー!どうしたっていうの、ちゃんと起きて言いなさい!
アン
私の髪を見てちょうだい…
マリラ
アンタ髪の毛をどうしたんだい!緑色じゃないか!
アン
そう、緑色なのよ!私、赤毛ほど嫌なものはないと思ってたけど、緑色の髪がその10倍も嫌だとは思わなかったわ!私がどんなに惨めかわかんないでしょう!
マリラ
何があったのか、見当もつかないねぇ
2階から降りてくるアンとマリラ
アン
染めたの…
マリラ
染める事がよくない事だと知らないのかい?
その話が聞こえたマシュウは慌てて他の部屋に隠れた。
アン
少しは知ってたけど、でも赤毛でなくなるなら少しぐらい悪い事をしても仕方がないと思ったの、それにこの埋め合わせにほかの点では何倍もいい子にしようと思ったわ。
マリラ
だからって緑色にするなんて考えられないね
マシュウ
緑色…。
アン
だって綺麗なカラスの濡れ羽色になるって言ったのよあの人は…
マリラ
あの人って誰なんだい?
アン
午後にやって来た行商人の人よ
マリラ
アン!あーいう人は家に入れてはいけないと言ったのに入れたのかい?
アン
入れてはいないわ、外で見たのよ
こうして昼間にあった一部始終をマリラに話したのであった。
マシュウは出ていく事ができず、ひっそりと息をひそめてアンに同情するばかりだった。
アン
緑色の髪を見た時、ホント悪いことをしたと思ってずっと後悔してるの
マリラ
ふん、後悔もいいけどね、後悔するなら本気で後悔してもらいたいね。虚栄心の結果がどんなものか、あんたの目が開けばいいと思うよ。
マリラはその後、一生懸命アンの髪を洗ってみたがまるで落ちなかった。
アン
今度の失敗だけは永遠に人々の記憶から消え去りしないわ、誰も私のことをまともな人間とは認めてくれないわ、それにあのジョーシーがどんなに笑う事か…絶対にジョーシーには顔を合わせられないわ!一番不幸な女の子は私よ…。
翌朝、ダイアナは待ち合わせの場所にやってこないアンを心配して家に来た
ダイアナ
おはよう!アン!
アン
ダイアナ〜!
ダイアナ
どうしたの?アン
ダイアナはアンの髪の毛の色を見てビックリする。
ジョーシーにこの惨めな姿を見られるくらいなら私死んだほうがマシよ、うわーん
ダイアナ
私この目で見た事を絶対に口外しないわ
一緒にダイアナも泣いた。
それから一週間、アンは家に引きこもったまま、一日に何度も髪を洗ったが緑色は落ちなかった。
マリラ
切るしかないね、このままじゃ外に出る事もできないし…
アンは無言で立ち上がり、自分でハサミを持ってきてぶるぶる震えながらマリラに渡す。涙をいっぱいためていた。ハサミが入った時、アンはたまらず泣き叫んだ。
アン
こんな悲劇的なことってあるかしら!胸が引き裂かれるようだわ!物語の中の女の子は、何か良い事のためにお金を稼ごうとして、自分の髪の毛を売ったりするわ。私だってそんな訳で髪を切るのなら、この半分も辛くないと思うの。でも、途方もない色に髪が染まったからといって切らなきゃならないなんて、ちっともロマンチックじゃないわ…!
マリラ
切ってもいいのかね?
アン
切ってちょうだい!でも切ってる間ずっと泣いててもいいかしら?じゃないとこの悲しみに耐えられそうにないもの。
男の子みたいに短い髪になったアンが、自分の部屋に戻り、その姿を鏡で見る。
アン
もう二度と鏡は見ないわ!髪が伸びるまでは…いいえ、やっぱり見るわ!それが悪い事をした罪滅ぼしなんだもの。毎日部屋に入るたびに鏡を見て、どんなに自分がみっともないかをこの目で確かめるわ。想像で気を紛らわすこともやめよう。他のことはともかく、髪のことでうぬぼれているなんて考えたこともなかったけれど、そうだったことがやっとわかったわ。
ダイアナ
おはよう!とっても素敵よ!
アン
気休めはいいの
ダイアナ
私ねリボン持って来たの!ジョセフィンおばさんに頂いたたんだけど私よりあなたの方が引き立つわ!結んであげる!まぁピッタリだわ!シャーロットタウンの最新の流行の髪型だと言っても通用するわよ!
アンが再び登校したその日、アンの短い髪型は学校中にセンセーションを巻き起こした。
しかも幸いな事に誰ひとりとして本当の理由は気付く者はなくアンはホッとした。それは容赦なく切ったマリラの腕前と、決して緑の髪のことを口外にしなかったダイアナの友情のおかげだった。
ただひとり、ジョーシーだけはこう言った。
ジョーシー
アン!あなたの髪は最新流行かもしれないけど、どこから見てもカカシにそっくりね。
帰宅後マリラに話す
アン
あたし、これからは綺麗になろうなんて思わないで、いい人間になるようせいいっぱい努力するわ!ミセス・アランやミス・ステイシーみたいな!そしてマリラが自慢できるような人になりたいの!私喋りすぎる?
マリラ
アンタのお喋りは気にならないよ、きっと慣れてしまったんだろうね。
アン
お茶入れるわ。
いくら洗っても染料は落ちる事なく1週間も家に閉じこもるなほどの大事件になってしまった、でもその間ダイアナもずっと心配してアンの事ばかり考えていたのだろう!再びアンが登校する日、気が効く事をして、アンに心配しないように声をかけ、改めてダイアナとの友情の深さを感じられる出来事になったし、よかったよかった
第31話 不運な白百合姫
物語クラブの仲間で釣りをして遊んでいたが、アンは白百合姫の物語を想像していて魚を取り逃してしまう。
アンは白百合姫を劇にしたらもっと楽しいのではないかと思いつき、1シーンを再現してみよう言う。みんな賛成したが、アン以外の3人は一人で船に乗る勇気がなかったため白百合姫役はアンに決まる。
アンはボートの中に寝て一人川を下る、亡き白百合姫を演じているからだった。
しかしそのボートは底に穴が開いていた。しばらく進むと水が入ってきてしまう。それに気づいたアンは演技どころじゃなく、手で水をすくうがまったく間に合わず、パニックに陥る。助けを求めるがダイアナたちはアンを迎えるために下流へ走って行ってしまって誰もいなかった。橋に近づいて行く舟。アンは早口で神様に祈った。
アン
ああ神様、どうかお願いです。この舟をあの橋のどの棒杭でも結構です、近づけて下さい!真ん中を通ったりしないで下さい!
後ろを振り返り、水の量を見て悲鳴をあげる。
アン
その前に、もう一つお願いがございます!あの橋に近づく前にこの舟を沈めないで下さいまし!お助け下さい!私のできる限りのことはいたしますから!今すぐに!
そして必死で手で水をかき、橋の方へ少しでも早く着こうとするアン。アンの祈りは神様に届き⁈なんとか橋の棒杭にしがみつくことができたが、船は下流に流れていく。
ダイアナたちは下流でアンの乗った船を待ち構えていた。
ダイアナ
来たわよー!アンの船!
が…アンが乗っている(と思っている)舟が沈んでしまう。その瞬間を目撃してしまい、3人はパニックになり号泣しながら助けを求めに走る。
橋の近くを通りかかったダイアナ達、それに気づき、橋の棒杭にしがみついていたアンは助けを求めて叫ぶが、ダイアナ達は自分たちの泣き声でアンの叫び声に気づく事なく行ってしまう。
そこに、ボートで釣りをしている人を発見する。必死で呼んだその人は、ギルバート・ブライスだった。ギルバートは驚いて助けに来てくれるが、いつものようにアンの態度は悪かった。
アン
ごめんなさい、あなたのおかげで助かったわ、どうもありがとう(感情がこもってない口調)
ギルバート
びしょ濡れじゃないか
アン
すまないけど船着場まで連れてってくださる?
ギルバート
ああ、もちろんだよ、早く行こう。風邪ひいちゃうもんね、ところであんな所で何してたの?
アン
平百合姫の劇をしていたの。
ギルバート
そんな場面あったっけかな…
岸に着くと、アンはお礼だけ言ってさっさと歩き出そうとした時、ギルバートは腕をつかんで引き止めた。
ギルバート
僕たち友達になれないかな?いつかは君の髪のことでからかったりして本当に悪かったと思ってるよ、あの時はほんの冗談だったんだ、それにずっと昔のことだろ?今は君の髪は綺麗だと思ってるよ、ホントなんだ、仲直りしようよ!
アンはギルの顔をまっすぐに見た。一瞬…心は動いた(ように見えた)が、あの時の…一番言われたくない言葉(ニンジン)を言われた事を思い出し…
アン
いいえ!私あなたとは仲直りできないわ!それに仲良くしたいとも思わないの!
ギルバート
わかったよ!もう仲直りしようなんて言い出さないさ!もうまっぴらさ!
ギルバートは怒って船に乗って行ってしまった。
アンも怒りながら歩いていたが、しばらくすると…肩を落としていた。
そこにダイアナ達と会う。アンは川の中に沈んで死んでしまったと思い込んでいたのでビックリするが、生きていて喜んだ。
ダイアナ
アン!どこにいたの?
アンは、ギルバートに助けられたことを話した。
ジェーン
まぁ!ギルバートに助けてもらうなんて、ロマンチックじゃない!
ダイアナ
じゃあこれからはギルと話もするのね?
アン
もちろん!絶対にしないわ!それからジェーン、あの人の事で私が一番大事にしているロマンチックという言葉を使ってほしくはないわ!
と言うと、アンは泣き出した。
この白百合姫事件は、アボンリーの子供を持つ親たちを仰天させてしまった。特に物語クラブの親たちの驚きようは例えようもなく、子供たちはもう二度と船遊びをしないよう何回も誓わされるはめとなった。
アンは自分の部屋で思いっきり泣いて、ようやく神経の高ぶりを沈める事ができた。
マリラ
いつになったら分別がつくようになるんだろうねぇ!
アン
あら大丈夫よ!私、グリーンゲイブルズに来てからいろんな失敗をしたわ。でもその失敗のおかげで、あたしの欠点が一つずつ直っていったんだもの。今日の失敗でまた新たに私の大きな欠点が一つ直るはずよ!
マリラ
ふう。何が直るのかね?
アン
ロマンチックになりすぎるのが直るのよ!ここはアボンリー。ここはロマンスを考えるのには向かない所だってわかったの!だから私のこの欠点も直ってくのがすぐマリラにも目につくはずよ!
マリラ
そうなってほしいねぇ、これ以上命の縮む思いはしたくないからね!
ずっと黙って話を聞いてたマシュウ
マシュウ
お前のロマンスをすっかり捨ててしまうんじゃないよ。
アン
マシュウ…!
マシュウ
いやその…ロマンスは少しある方がいいよ。ありすぎても困るが、その…少しは残しておく方がいいよ…少しはな…。
アン
ありがとうマシュウ。今言ってくれたこと、ずっと忘れないわ!
アンがギルバートに助け出され、丘を歩くアン、はじめは怒ってたけど、しまいに肩を落としていた。色々な感情が入り混じり複雑な気持ちになる…あの涙は後悔の涙だろうねぇ…ギルバートを怒らせたてしまった事、許してあげればよかったと思ったに違いない。ギルバートがいつも下手に出ていたから、アンの態度もつい高飛車になっていたのだろう。この事から立場が逆転するかもしれない…
緑色に髪を染めてしまった事件、白百合姫事件、マリラやが思うように次から次へといろんな事件が起きているが、アンは私は同じ失敗は2度と繰り返さないの!と開き直る姿はポジティブでいいと思う反面、親から見たら大変だと思わざるをえない
そういえば…アンの髪の毛伸びてたなぁ…まぁいっか