いつもの朝にって本。

 

親の罪は子に引き継がれるのか、刻印として残るのか。30年前、ある少年が起こした牧師館の惨殺事件。そして現代。優秀で人望のある兄とチビでニキビから"チビキニ"と呼ばれる弟。仲良し中学生兄弟ではあるが、カインとアベルのように互いへの複雑な感情もある2人。彼らの名はキリストとユダの響きを借りているように聞こえると幼馴染が指摘する。
 (よく分からないのだけれど)キリ教的モチーフが幾重にも重なり詰まった長編は、ぬいぐるみのクマの腹から「父より」という手紙が見つかったところから動き出す。弟は、美しい画家の母に内緒でその手紙に記された人物を訪ね話を聞きに行く。そして一冊のノートを受け取る。圧巻の迫力は、図ろうとする兄弟を止めるための説得場面。言葉を尽くしてギリギリの状況で対話が続く。個人的には冗長に思え、カタルスも感じられなかったのだけれど、母が我に返り走る場面でコブシが緩んだので、きっと力が入っていたのでしょう。

 

少し気になるよね。