テスト前日の夕食後、夏休みにほとんど勉強しなかったことの不安感から、「学校に行かない」と言い出した娘。

 

娘は感情を身体全体で表現するタイプ。

教科書やノートを投げ、それらが部屋に散乱する。

投げつけた教科書がグラスにぶつかりお茶が飛び散る。

娘は鼻の粘膜が弱いのか、興奮すると鼻血が出てしまう。

床に鼻血が点々と落ちる。

まるで事件現場。

 

もう何度となく投げられた教科書は、お茶やコーヒーに浸され薄茶色に染まっている。

そんな古文書感あふれた教科書とノートを私は拾い集めた。

娘の言い分を聞きながら、飛び散ったお茶を拭き、鼻血を拭うようティッシュを渡す。

 

要するに、勉強はしたくないが、テストで悪い点数をとり、クラスで最下位になりたくないらしい。

最下位になるくらいなら、学校に行かない。

これが彼女の言いたいことだ。

中3から編成された娘の進学クラスは、他のクラスとテスト内容が違う。

授業の進度も早く、英語はもうすでに授業についていけていない。

中学受験塾時代、常に上位クラス、最前列の席をキープし続けた娘にとって、今の成績は受け入れがたいのだろう。

親から見ても天才ではない。

努力の積み重ねで学力を維持し続けた努力型の凡人だ。

やらなきゃできなくなる当たり前の現象。

しかしプライドが邪魔をするのか、努力できない現状。

 

「わかんない。やってもできない。」

この言葉を何度も繰り返す。

 

そのたびに、「何もしてないよ」と思ってしまう。

実際、勉強時間はほぼゼロ。

授業中も寝ているらしい。

 

娘「勉強してもできなかったらどうするの!!そんな現実知りたくない。」

 

勉強してもできないかもしれないことが怖いと言う。

運がよくスタートラインが優秀だった娘は、挫折を恐れ今動けずにいる。

 

中学入学後から中2の夏までの成績は上位をキープし続けた。

その後も英語の成績は振るわなかったが、他教科で補い体裁を保っていたのだろう。

中3の1学期末テストで英語と数学はクラス最下位の成績を初めてとった娘。

口では強がっていたし、それでも何とかなると思っていたのかもしれない。

でも夏休み明けテスト前日、やっと自覚したのだ。

無駄に過ごしてしまった夏休み、今更ながら後悔しているのか?

 

夕食後から、大暴れの娘に付き合う事1時間。

 

今回「学校に行かない」と言いだした問題は、テストが出来れば解決するのだろう。

 

とするとやることは決まっていた。

娘のメンタルを安定させ、テスト直前でも得点UPにつながる対策すること。

 

私は娘に温かいおしぼりを手渡した。

温かいおしぼりはとても有効で、気持ちを落ち着かせる。

泣いた顔を拭い、首にホットタオルを当てると血流がよくなり、冷静になることができる。

そしてその流れで、お風呂に入るように促す。

湯船につかる娘に声をかけ、頭を洗ってあげるか聞くと、素直に「うん」と言った。

人にシャンプーしてもらうとリラックス効果がある。

温かいお湯につかりながら、娘はやっと私の声に耳を傾けた。

 

1日目のテストは校内実力テストなので、ある程度出題範囲を絞ることがきる。

直前とは言え、やるべきことをこなせば最下位はないだろうことを伝えた。

実際、5教科の順位はまだ娘より下がいる。

多分僅差ではあるだろうが。

テストによって異なるとは言え、合計得点でどのくらいの順位になるか予想はできる。

5教科、娘がとれるであろう得点の分析を数字で伝えた。

勉強していないとは言え、理社は中学受験時のストックが利いていて未だに8割~9割とれる。

化学だけ復習しておけば十分と伝えた。

他のメンバーも当然理社は高得点が予想されるので、英数国の得点が重要となる。

国語は今更時間を割いも得点アップにつながらないので捨てることにした。

英語は絶対出題されるであろうポイントだけ暗記させ、10問だけ英作文を書かせた。

数学は絶対値の不等式が分からないと言うので、15分だけ時間をとって解説し数問解いた。

出題されるかは不明だったが、分からない問題を自分で申告すること自体が娘にとったら前向きな発言なので、それに対応することを優先した。

 

こんな感じで何とか学校に行ってくれそうなモチベーションを保ち、就寝した。

 

しかし、今回は一時しのぎにすぎないだろう。

根本的な問題は何も解決していない。

立ち止まっていても何も解決しない事を本人が気づかなければ。

トライ&エラーは成功へ導く不可欠な行動なのにな。

 

 

それでは本日の一曲

 José González

「Heartbeats」