乳がんのエコー検査待ちをする椅子に座りながら、壁に貼ってある日本医師会のポスターをぼーっと眺めていた。
そこには
”健診を受ける勇気があなたを助ける”
と書いてあった。
勇気と言う言葉がしっくりくる。
病気を知ることは怖い。
毎年、健康診断を受けることをためらってしまう私。
健診センターには沢山の人達がいた。
みんな自分の病気と向き合う覚悟をもってここにいるの?
と私はポスターの言葉からその場にいる人達をいつもとは違う感情で見ていた。
健診センターはスタッフが多く、流れるように次々に検査待ちの人をさばいていく。
はじめは問診で、若い優しそうな女の先生があらかじめ記入した問診票にそって質問しれくれた。
1週間前から飲み始めた薬があるので、それについて詳しく聞かれたが、薬の名前がうろ覚えだった為、先生が薬辞典で調べてくれた。
丁寧で優しい先生でほっとした。
毎年、この健診センターで受けているが、いい先生ばかり。
場所を移動しながら、次々に検査を受けていく。
最後が胃の検査でバリウムを飲まなければならない。
これが本当に苦手で、ただでさえ嘔吐しやすい私は毎年バリウムを飲むのに苦労している。
「もう無理です。飲めません」
「もう少し飲んで」
いい大人がこのやり取りを毎回何度か繰り返す。
1年に一回のバリウム検査。
私はうっかり忘れていた、バリウムの前に発泡剤を飲むことを。
小さいカップに入った発泡剤を手渡された時、私はそれがバリウムだと勘違いしてしまった。
医療は日々進歩している。
今年からこんな少ない量に変わったんだと、都合よく思ってしまった。
私は、小さいカップの発砲剤を思い切ってぐいっと飲み干した。
”やったー今年は一気に全部飲んだ。成長したな私”
と思う間もなく、バリウムが入った大きなカップが手渡された。
?一瞬思考回路がとまり、すぐ正常に機能した。
そうだ、発泡剤を先に飲むんだった。
もう、バリウムを飲むのに使う気力は使い果たしていたので、あからさまにがっかりした顔でカップを受け取った。
「ゆっくりすこしづつ飲んでください」
言われなくても、そうしか飲めない。
私は、ストローでゆっくり、本当にゆっくり飲んだ。
まずい・・・。
発泡剤でもうお腹いっぱいだし。
「ゆっくりでいいですからね」
全然バリウムが減らない私に優しく声をかけてくれる。
やっとのことで半分くらい飲んだ時、
「もういいですよ」
と言われた。
毎年、全部飲みきらなくても検査を受けさしてもらえるが、今年は例年より更に少ない量しか飲めなかった。
一体、何ml飲むのが正解なのだろう。
無事検査を終え帰宅した私は、バリウムの量を調べてみた。
検査する病院によって様々だと言うことが分かった。
一番少ないところで50ml、多いところで300ml
かなり量にばらつきがあった。
150ml~200mlのところが多かったが、バリウムが苦手な人は検査前に調べてから行くといいかもしれない。
時間かかるけど、来年は全身麻酔の胃カメラにしようかな。
それでは本日の一曲
ハジ→
「人生は素晴らしい物語」