久しぶりの更新ですがコンサートのご案内をさせてください!!

 

3年前まで毎年1回催していた自主企画のリサイタルシリーズに一つの節目を迎えて、新しくジャズを学び始めました。

そしてこの度新しい取り組みとして「JAZZ RECITAL」というコンセプトでリサイタルシリーズを再出発することにしました。


 

 

日程はこちらです!!

 

「HYPER DEBUSSY」

11月20日 18:30開場 19:15開演

みなとみらいホール 小ホール

チケット料金:一般¥3,500 学生¥3,000

Programs:星の夜,ボードレールの5つの詩,子供の領分,おもちゃ箱,バイオリンソナタ(全てドビュッシーの作品)

 

是非お越しいただけますと嬉しいです!!

チケットはこちらから

 

リサイタル、暑苦しい思いで催しておりますが、是非ご興味ございましたら今回のリサイタルの紹介文をお読みくださいませ!!

 

第1回としてドビュッシーをテーマとした「HYPER DEBUSSY」を開催します。

これからは音楽のジャンルを絞ることなく、世の中のさまざまなアートやエンターテイメントを取り入れた公演をやっていこうと思います。でもジャズリサイタルというからには、最初はトラディショナルな部分から始めても面白いなと考えたのですが、ジャズの歴史を紐解いていく最中、ドビュッシーに出会い、ある一つの確信が生まれました。

 

まだJAZZというスタイルが世の中になかった時代、だれよりも早くJAZZを作っていたのが正にドビュッシーだったのです。その後、レジェンド級のジャズメン達の手本としてドビュッシー、ストラヴィンスキーはジャズハーモニー形成の礎の一辺を担っていくのです。

そのせいか、ジャズサウンドとドビュッシーの親和性はとても高いんです。

 

さて、元々幼少期から卓越した音楽の才能を持っていたドビュッシーは、音楽家になる道を選んだころ、どうしても貧乏なので「売れたい」という感情、そして時代を先取る芸術性との葛藤の狭間で多く苦しんでいたように感じます。

 

理解不能に思えるほどぶっ飛んだ絵画や彫刻に感激しては「自分も音楽でこのような芸術を作るんだ」と強い志を持っていたことでしょう。

そのためドビュッシーの曲は、わかりやすく美しい「売れるための作品」と難解で癖の強い「芸術至上主義の作品」と分かれております。

 

こんな書き方をしてしまうと失礼かもしれませんが、自分を素直に晒け出すことのできない性格だったのでしょう、ピュアな音楽への感性は歳をとるごとにドンドン隠れていってしまうように思いますし、合わせてその感性は芸術とは何かを紐解くために使われていきます。

 

コンサートで一曲目に取り上げる「星の夜」はドビュッシーの初めての発表作品。

誰が聴いてもドビュッシーらしい、美しいフランス的な響きに包まれたロマンチックな小品なのですが、ここに純粋なドビュッシーの音楽が詰まっているとも感じ取れます。

少し詩的な言い回しですが、手のひらに繊細な愛をのせたような音楽です。

 

詩的な表現にも強く惹かれたドビュッシーは、詩人ボードレールの詩作品「悪の華」にも強烈な興味を示します。全ての文学はボードレール以前と以後に分けられると言われるほど、詩の表現に革命をもたらした、まるで文学界のベートーヴェンです。彼の作品に出会って以降のドビュッシーは、より芸術を深く追求する出口のない道へ入っていったようです。

共感できない位に激烈な表現って、今ある感覚の果ての先なように思えます。

「ボードレールの5つの詩」には非常にモヤッとしたメロディラインが足されています。

ジャズでいうところのテンションノートばかりで構成された、当時からすると禁忌の連続のサウンド、発売禁止になった「悪の華」に通ずるところもありますね。

この作品を書く頃には売れっ子だったドビュッシーも、これは出版社がどこも取り扱ってくれなかったそうで、自分で印刷して売っていたとか,,,なんとも世知辛い世の中です。

 

「悪の華」に出会ってからのドビュッシーは芸術を求めて、尚更に旅をしていきます。

エキゾチックで革新的な音楽がドビュッシーの作品にどんどん登場していき、それらの作品は彼の評価を揺るぎないものとしていきます。

 

晩年に書かれた、娘のシュシュのための「子供の領分」では遂にJAZZの先駆け、ラグタイムのスタイルが登場します。

溺愛していた娘に対してのドビュッシーの音楽ほど面白いものはありません。

あの手この手で子供を楽しませようとするドビュッシーの感性は「ボードレールの5つの詩」のような奇怪な表現もなければ交響詩「海」のような音の渦もありません。

キャッチーで親しみやすく、それでもサプライズに富んだユニークな作品です。

 

そして、同じく娘のために書かれたバレエ音楽「おもちゃ箱」、絵本作家エレの絵本に出会ってあっという間に書き上げられたオリジナルストーリーと音楽です。今回のリサイタルのメイン曲でもありますが、ここにドビュッシーの全てが詰まっていることを発見しました。

人形のストーリーに合わせて、ドビュッシーお気に入りの音楽が数え切れないほど現れます。彼らしい響きは勿論、どこかから拾ってきた音楽、活躍していた友人の音楽、先人の音楽、人生で出会った全てのスタイルが詰め合わせてあり、借金してでも美術品を揃えたというドビュッシーらしさもあるというか、全ての芸術を手に入れたかったのではないかと、お茶目な強欲さまでもが純粋に現れちゃっています。

 

理解してもらいたいけど理解されてたまるか、という芸術家肌なドビュッシーの気持ちが強く現れている「バイオリンソナタ」ですが、この作品は絵でいうところのピカソに近い作品です。聴く人それぞれに理解を委ねる、それが違えば違うほど面白いし、それが芸術の醍醐味じゃないか、と語っているような、鋭い感性で作られた芸術であります。

遺作となってしまいましたが、音楽性も技術もかなり高度なレベルで要求される、屈指の難曲として佇んでいます。

 

音楽家として生きてはいたけど、新しさを求めて世界各地を航海したい気持ちはずっとあったのだろうと思います。

見知らぬ美術品を集めたりファンタジーを作ったりして、そしてなにより海を愛したドビュッシーは偉大で臆病な冒険家だったのかもしれません。きっと音楽の世界の中で誰よりも自由に駆け回っていたのだろうと、リサイタルを控えた今、そんな音楽を感じます。

 

さて、それではドビュッシーがみていた世界はどんな景色だったかというと、それは既に発展を遂げた現代に溢れていると思います。だからこそドビュッシーの知らない音色とアプローチで、彼の作品に取り組んでみることに興味が湧きました。

 

作曲家の手を離れた作品を、作曲家の思い描いた通りに再現されるだけではなく、作曲家が想像もしえなかったサウンドにしてみる、聴いたことのないジャズサウンドがどのようにドビュッシーの世界を彩るのか。今を生きるならそんな挑戦をしてみたいと感じました。

 

彼のピアノ曲を聴くと「オーケストラだったらどんな音になるんだろう」とふと思ってしまう人も多いのではないでしょうか。もしかしたらそうして想像させるのが既にドビュッシーの意図した通りの巧妙な仕掛けなのかもしれません。

 

現代に復刻したドビュッシーのそんな心意気を表現したいと思います。

 

今回の共演者は、ドビュッシーに出会うきっかけをくれた芥川怜子ちゃんです。

共演をする際に、どんな曲を彼女と演奏したら楽しいのだろうと考えて、

そうだ、バレエの伴奏仕事をしてると言ってたからバレエ探してみようと思った時に出会ったのがドビュッシーの「おもちゃ箱」でした。

今までの人生としてはサックス吹きでは珍しくフランス音楽にあまり興味がなく、ドイツ音楽、現代音楽を中心に演奏をしていた気もするのですが、そんなきっかけでフランス音楽にドハマリしまして、同時にドビュッシーの深いところまで興味の矛先が向かいました。

ちょうどジャズを学んでいるという状況もあったのかもしれませんが、色々思惑していたことがまさかこんな形で出会うとは思いもせず、怜子ちゃんには非常に感謝です。(本人的には完全に意味不明な取り組みに巻き込まれている感じだと思いますが...w)

 

ピアノの怜子ちゃんは、見た目は普通にギャルですがピアノの音色はかなりの正統派で、だいぶ洗練された音色とピュアでロマンチックな表現をする感じです。共演のたびに知らない表現をくださいますので非常に勉強になります。

そのためもあってかサックスがより下品に聴こえるかもしれませんが、時折その音色にマッチさせたり、その音色との差を活かしたりと、楽しいドビュッシーを演奏する予定です。サックスの表現との繊細な対比、色使いをお店できるといいなと思います。

 

というわけで今年は個人的にドビュッシー祭りな年となりました!!

 

 

是非お楽しみにお越しくださいますと嬉しいです!!

よろしくお願いいたします!

 

 

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