2017/08/10 服部の日記念企画

名探偵コナンから、平和×ふるあず×新蘭で
お届けします!

本館であるAmeと、別館であるPixiv で連動
するお話になります

10日間限定の連載です

後日、入れ替えて読めるようにしますが、
Ame 和葉ちゃん視点、Pixiv 平次視点で同時
進行します

海外ドラマの君たちは包囲された!を、平和
バージョンに大幅にアレンジしたパラレル話
ですので、苦手な方はスキップを


You're all surrounded  Side A 0

序章:大阪寝屋川市連続強盗殺人事件

2006年4月某日 〜遠山和葉の記憶

「かーは」「かじゅはー」
「かずはー」「和葉」

私より2歳年下の平次は、そう言うては私の
後を追ってついて来た

何遍、教え込んでも、お姉ちゃんとは呼んで
はくれへんかった平次

小学に上がる前までは、風呂にも入れてやっ
たし、一緒に添い寝もしてやったと言うのに

平次が生まれる少し前、当時大阪府警本部長
やった父の遠山銀司郎が暗殺された

哀しみを和らげてくれたんは、母の親友であ
り同僚でもあった静華おばちゃんが生んでく
れた平次が生まれたからや

おばちゃんは、我が子のように私を可愛いが
ってくれていた

忙しい母と協力して、一生懸命、私を育てて
くれたんや

幼い私にも、その愛情は十分過ぎるくらいに
伝わっていた

だから、私も素直に平次を愛して可愛がって
たつもりやねん

実際、弟分が出来て嬉しかったし

自分もおむつが取れて間もない頃やったから
さすがにおむつ換えはせえへんかったけど、
ミルクはやったし、遊びは一通り教えたし

可愛ええし、元気やから私の友達もみんなが
可愛がってたし、平次も懐いてたんや

幼稚園に上がって、小学校に上がると、段々
と平次は私にべったりせえへんようになって
行った

それが顕著になったんは、私が中学生にな
た時で、平次が小学5年生の頃やろか

声変わりが始まって、どんどん背が伸びて、
その頃には私と同じくらいの背になってし
うたんや

それでも仲良しで、ようあちこち一緒に行
たし、それなりに交流はあったんやけど

以前のように毎日と言うワケではなくなっ

同じ中学に平次が合格して、一緒に写真を
ったんやけど…

中学3年になった私と、中学1年になる平次

セーラー服と学ランで並んだ私たちは笑顔
けど、もう背は平次の方が少しだけ高くて、
私はそれが不服やった

なんか、ずっと私が手を引いて来たんに、
に置いて行かれるような気がしてん

中学生になって、探偵の真似事をするよう
なったり、剣道でも有名になったり、水を得
た魚のように活躍し始めた平次

いつの間にか、護っていた私が護られる事
増えて、私は少し淋しかったのだ


そんなある日、衝撃的なあの事件が起きた

4月の終わり、連休の直前の出来ごとを、
は生涯忘れない

「和葉、今日は騎士くん一緒や無いの?」

平次が同じ中学に入学してから、登下校は
っと一緒やった

それは、お母ちゃんらの言いつけやったの
あるんやけど、私が登下校の時に、痴漢に遭
遇して、平次が助けてくれた事があったから
やねん

今日は、私の方がお母ちゃんの職場に届け
ノがあって、おばちゃんがお休みで家に居る
から、平次に今日は別々でええよと言うたん

ええんか?と言う平次を、おばちゃんが珍
く家に居るんやから、早う顔を見せてあげた
らええよ、と言うたのは私

この事を、後で激しく後悔した事をこの時
私はまだ知らん

科捜研に勤務するお母ちゃんに着替えを届
て、帰ろうとした時に、学校に忘れモノをし
た事に気がついて、私はそのまま学校へと戻

放送室に、体育祭で応援団の演武で使う音
素材を置き忘れていたんや

それを回収して、帰ろうとした時、放送室
ら人気のないはずの校舎を、平次が走ってい
るのが見えた

あいつは何をしてんねん💢
忙しいおばちゃんが、珍しくお休みの日や
言うのに

「1-A、服部平次!学校はもう終わりやで?
何を遊んでんねん、早う帰るで!」

逃げても無駄や、丸見えやでーと言うてマ
クのスイッチを切った

何やかや言うても、まだ子供やな、と思い
がら、私は平次を連れて帰るために平次が駆
けて行った科学室の方面へ急いだ

途中、誰か生徒以外の人が歩いて来るのを
の陰にとっさに身を潜めてやり過ごした

黒づくめの服の男で、顔を黒皮の手袋で隠
ながら歩いている

耳の後ろに、何や刀傷か何かの裂傷の痕が
った

何や学校の父兄には見えないし、おかしい
思うた私

その男の姿が消えるのを待って、科学室へと
平次を迎えに行った

科学室の入口に、何か銀色に光るモノを見つ
けて、後で拾得物として届けようと鞄にしま
って、科学室の扉を開けた

「平次?」

…え?

科学室には、激しく争った跡があった
平次の学ランが投げ捨ててあって、何やらや
ば そうな薬瓶も転がっていた

アカン!平次に何かあったんや!

大慌てで校内を捜したけど、平次の姿はどこ
にもなく、パニックになりながらも、電話を
掛けながら、私は平次の家を目指した

「和葉ちゃん!大変や!」

服部邸の周りは、規制線が張られていて、そ
の周囲をたくさんの野次馬が

その中にいたご近所さんらが、私を呼んだん
やった

110番通報で、おばちゃんが殺されたと言う
報せが広まり、平次の行方もわからんと言う
んや

知り合いの刑事さんに、家族の代わりに立ち
あってくれ、と言われて、家から盗難にあっ
たモノは無いか、確認をした

そして、変わり果てたおばちゃんを見た

大好きやったおばちゃん

悔しくて、現実やと認めたくなくて、私は涙
さえ出て来なかったんや

必死に自分の感情を遮断して、必要な事情聴
取にも、現場検証にも立ち合った

平次の行方がわからず、私も心当たりをすべ
て回ったけれど、痕跡すら無くて

私とお母ちゃんで、おばちゃんの葬儀やら何
やらの対応をした

平次の代わりに、おばちゃんを抱き締めて、
さよならをした私

必ず、平次は私が見つけるから

そして、おばちゃんをこんな目にあわせた犯
人かて、絶対に忘れへん

服部邸は、私とお母ちゃんで管理して、平次
の帰りを待つ事にした

おばちゃんの遺骨は、お母ちゃんが生前にお
ばちゃんに言われていた通り、神戸の墓地へ
と埋葬された

1ヶ月が過ぎても、2ヶ月が過ぎても、平次
の行方もわからなければ、おばちゃんを殺し
た犯人も掴まらんかった

私は、来る日も来る日も平次を捜し、おばち
ゃんと平次と過ごした最後の日々を繰り返し
思い出しては、何か異変を見つけられんかっ
たんか、考えていた

3ヶ月が過ぎても、何も進展しないばかりか
みんなが段々と、服部邸での事を無かった事
にしたいみたいな空気も流れ始めて

私は初めて、号泣した
誰も居らん服部邸で

おばちゃん、平次、どうして、と

そんな時、お母ちゃんが言うたんや

アンタが諦めへん限り、少なくとも平ちゃん
は生きてるはずや、と

みんなが忘れても、私らは死んでも忘れんか
ったら、道は開ける、と

「和葉、アンタ留学して来なさい」

刑事になるんやろ?平ちゃんのために

「お母ちゃん」

合気道も剣道も、続けなさいと言う
そして、本場で犯罪心理学を学び、語学も学
んで来たらええと

オンナが刑事になって、現場で一線を護るに
は、身体能力の高さも、一芸も必要になる、
と言うお母ちゃん

アンタには幸い、お父ちゃんが丈夫な身体を
遺してくれたんや、有効に使うたらええわ

そう言うて、高校は英国の高校に通学して、
大学は日本に、と言われたんや

お母ちゃんは、平次はもしかしたら犯人を目
撃して、追跡するために自ら姿を消してんの
かもしれへんと言うた

そして、捜査が未だに進展せん原因は、身内
に裏切者が居る可能性がある、と

「アンタは暫くの間、姿を隠しとった方がえ
えかも知れへんと思うてん」

毎日、平次を捜し回ってることは、みんなが
知っていて、でも、犯人にとってそれは不都
合な事かも知れへんと言うんや

「わかった、せやったら静養と気分転換のた
めに、としてかまへんよ」

改方学園の高等部には、行きたかったんやけ
ど、それよりも自分には、自分の使命がある

私は、罪を犯した

あの時、もしかしたら平次、犯人に追われて
たのかも知れへんのや

誰も私を責めへんけど、私はわかっとる
せやから、私には責任があんねん

どんな事をしても、おばちゃんの宝をおばち
ゃんの元へ返すと言う使命を果たす

たとえ、自分がどうなろうとも、必ず返す

それが、私の生きる総てや

平次が好きやったポニテはやめて、髪を切り
私は中等部卒業と同時に、英国の現地の学校
へと進学する事になった私

英国には、知り合いの日本人夫妻が居って、
事情を聞きつけ、私に部屋を貸してくれると
言うたんや

「新ちゃんは、蘭ちゃんの傍を離れたくない
みたいでね、こっちにはあまり来ないし」

有希子さんは、そう言うて、部屋も余ってる
し、旦那と2人だけ、と言うのも淋しいから
と言うて、私を預かってくれたんよ

お母ちゃんは、調べたい事があると言うて、
私とは危険を避けるために、暫く連絡をせえ
へんと言うと、見送りにも来なかったんや

中等部の卒業式の後、私はそのまま、生まれ
育った大阪をひとり離れた

待っててや、平次
必ず、私が見つけ出すから、それまではどん
な事があっても生きるんや

頑張れ、平次
アンタなら出来るから

[newpage]

2006年4月某日  〜榎本梓の記憶


土砂降りの雨の日のことを、私は忘れない

若い樹木の前で、そっと涙を拭う

涙はいつか枯れると言う人もいたけれど、そ
れは嘘だと思った

あの日、私は育休明けでプロファイルの研修
会に参加していた

保育園に息子の空を迎えに行く当番は私だっ
たのだが、間に合わないと判断して、ダメ元
で零さんに電話したのだ

零さんが行くと言うので安心した私

でも、1時間後、零さんから事件で行けなく
なったから、義兄さんに頼んだと連絡があっ
た事に気がついて、私は研修終わりに急ぎ、
庁舎を飛び出した

その時、報せを受けたのだ

どうやって病院に行ったのか、思い出せない
し、思い出したくもない

病院で、血塗れだけど安らかな寝顔をしてい
る冷たい我が子と対面して、私は発狂した

冗談だと、言って欲しい
悪夢だったら、覚めて欲しい

どんなに願っても、空はもう瞳を開く事も、
愛らしい笑顔を見せてくれる事も無かった

零さんは、迎えが遅れた自分のせいだと言
兄は、それは自分のせいだと言った

誰も、迎えよりも研修を選択した私を責めな
かった

泣いても、泣いても、空は帰って来てはくれ
ずにいる現実を受け入れられなくなった私は

離婚届を置いて、家を出た

自分の荷物と、空の荷物の半分を、零さんが
居ない間に運び出し、私は両親にも兄夫婦に
も告げずに、日本を離れた

上司の宮野さんが、海外でのプロファイルを
研究して来なさいと、留学させてくれたのだ

必死で学びながら、必死で足掻き続けた

それでも、もう一度、空に会いたいと言う気
持ちは消せなかったし

自分を責めて、私に申し訳無い顔をしている
零さんのことも全然、忘れられずにいた

それを振り切るように、私はトレーニングを
積んで、仕事に邁進して行くと同時に、時間
が出来ると街中を彷徨い歩くようになってい
たのだ

最低だわ、私

身体を打ちつけるシャワーの下で、私はぼん
やりとそう思っていた

零さんからも逃げて、空からも離れて
一体、私は何をしたいんだろう

枯れたはずの涙が、また私を襲っていた

ママ、と呼ぶ声が聞こえる気がして
哀しそうな顔をした空の顔が浮かぶ

零さんの哀しそうな顔も、浮かんでは消えて
行くけれど

これは、きっと罰だと思った

零さんが居て、可愛いい空も居て
十分、幸せなのに、仕事もだなんて欲張った
私のせいだ

謝っても、謝りきれないし、誰も許してはく
れないだろうから

私は、残った最後のひとつに縋るしかないと
思った

ゴメンね、空
ママ、頑張って働くからね

写真の中で笑う空に、毎日話しかけた

返事はもちろんないけれど、一生懸命、声に
した私

そうしなければ、空が本当に消えてしまいそ
うだったから

涙は枯れ果てる事は無かったけれど、私は溢
れる涙に逆らうことはやめた

そうする事で、呼吸を整えることが出来て、
空のママとして、空に恥ずかしく無い生き方
をしよう、と思えるようになった

仕事に奔走して、街を彷徨い、部屋に戻れば
涙にくれて

私は、壊れながらも、歩き始めて、やがて、
無謀にも走り始めるようになっていた

[newpage]

2017年3月某日 〜遠山和葉の記憶


中等部卒業と同時に日本を離れ
それから5年間、英国で生活をしていた私

めちゃくちゃ勉強して、飛び級で大学に入り
そこからは、徹底してじっくり勉強した

心理学系の勉強を片っ端から手をつけたり、
パソコンやIT技術の勉強もかじったんや

お母ちゃんとの約束通り、日本の大学への編
入試験を受けるための準備もちゃんとした

英国での生活は充実していた

私がお世話になった工藤夫妻は、お母ちゃん
とおばちゃん共通の友達やと言うてた

有希子さんの旦那さんの優作さんは、地元で
も著名な推理小説家でもあり、私が刑事志望
やと知ると、捜査の基本や、推理の楽しさを
懇切丁寧に教えてくれた

実際、スコットランドヤードの刑事さんやら
警視庁の警部さんやら、たくさんの捜査関係
者を私に紹介してくれてん

有希子さんは、変装の達人でもある元女優さ
んで、私にその技術を教えてくれたり、バイ
クも乗れるようにしてくれたんや

「オレ、16歳になったら、バイクの免許を
取るんや!」

仕方ないから、和葉を最初に背中に乗せたる
からな!

キラキラした笑顔で、そう平次は言うてたん
を覚えてん

せやから、私は免許を取得したんよ
大型も、自動車免許も取得した

20歳になって帰国した私は、また0から平次
やおばちゃんの事件を追いかける日々を過ご
したんや

お母ちゃんは、ゴメンと言うた

5年かけて調べてるけど、まだ決定的な証
を掴めへん、と

「お母ちゃんは、もうええよ」

後は私が、と言うた

お母ちゃんは、おばちゃんの後任として、科
捜研の所長に就任しとった

せやから、危ないと思うたんや

お母ちゃんには、普通に仕事に没頭してもろ
うた方が、犯人も油断すると思うねん

私は、編入した京都にある国立大学に通うた
め、お母ちゃんとは一緒には住まわんで、ひ
とりで暮らしながら、バイトに捜査に合気道
に剣道と飛び回っていた

念願やった試験にパスして、府警の門を叩く
事が出来ると決まった日

私は、お父ちゃんの墓と、おばちゃんの墓に
お母ちゃんと一緒に挨拶に行った

そして、警察学校に入ってからは、機会を見
ては、1人通った

報告をすることで、自分に気合いを入れ直し
て、また1人調べる英気を養うために

平次の不在は、10年を越えて
でも、私の時計は止まったまんまや

どうしても、どんな形でも
あの日の事を謝るまでは

念願やった府警の一課に異動出来て、思う存
分、捜査に飛び回り始めた頃、警視庁との合
同捜査で宮野さん、と言う人と知り合うた

その頃は確か一課のある班の長やったけど、
次の捜査一課長やってみんなが言うてた

その捜査で、私はその宮野さんのサポートに
ついて、犯人を挙げたんや

「時期が来たら、一課に」

その時は、迷わず来てね?と言うて帰って行
った宮野さん

私はてっきり、社交辞令かと思うてたんやけ
ど、宮野さんが捜査一課長に就任した2年目
の春、私に異動の話が来た

府警の一課から、警視庁の捜査一課への異動
と言う荒技を、どうやって通したんかはわか
らんけれど、私は上京することになった

刑事になってからは、お母ちゃんとは敢えて
距離を置いた私

お母ちゃんとは、上京する前日、最後に一緒
に食事をした

身体には気をつけて、とお互いにそう言うて
別れた

上京する前に、お父ちゃんとおばちゃんの墓
参りをして、暫くは来られんようになること
を詫びた

「私はまだ、諦めてへんからね」

行って来ます、と呟いた時、

「「行ってらっしゃい、和葉(ちゃん)」」

と言う声が聞こえた気がした

[newpage]

2017年3月某日 〜榎本梓の記憶


零さんと別れてから、あっと言う間に10年
が過ぎた

アメリカ、イギリスと渡り歩いて、色々な人
と事件を追う生活を送っていた私

プロファイルの腕も上げたし、捜査のイロハ
も更に上達した

「そろそろ、良いかしら?」

宮野さんが、捜査一課長に就任した事は知っ
ていた

零さんが、警視庁公安部から警視庁捜査一課
へと移り活躍している事も知っていた

宮野さんが、絶えず連絡をくれていたからだ

宮野明美 警視庁捜査一課長

妹の志保さんは科捜研の優秀な検査技官で、
サイバー犯罪対策課にもよく協力していた

美人姉妹で有名だったけれど、今でも綺麗な
2人だ

「あなたに、一課の1チームを任せたいの」

貴女に育てて貰いたい人材が居て、と言う宮
野さんに口説かれた

確かに、私も興味がある

送られて来た人事データに目を通した

「あら」

工藤新一(24歳)警察庁警備局から異動
毛利蘭 (26歳)警察庁指令センターから
異動
黒羽快斗(27歳)ICPOから帰還

とあった

配属通知(内示)
捜査一課第7係 新人4名配属

○工藤新一  (24歳) 東京都出身
警視庁警備局配属から異動

元中学生、高校生探偵として活躍の後、米国
留学中FBIの特別捜査官として活躍
帰国後、入庁し警備局では同期の鳥蓮とのコ
ンビで数々の難事件を解決

表彰より異動をと言う本人の強い希望により
推挙

尚、バディの鳥蓮は7係に異動予定

○毛利蘭  (26歳) 東京都出身
警視庁指令センター配属から異動

7係に異動予定の沖田とのコンビプレーにて
過日発生した都内連続爆破事件時において、
情報が錯綜する中においても、冷静沈着に入
電情報を選りわけ、重要情報を適切かつ迅速
に捜査陣へ繋げた功績により、表彰され推挙
警視庁司令センターから異動

空手有段者、大会優勝経歴有り

○黒羽快斗  (27歳) 英国出身
ICPOより、捜査一課長推挙により帰還

以前は捜査一課在籍
在籍中に発生したある事件を捜査するために
ICPOへ異動
一課在籍中、検挙率No1を堅持して数々の
彰を受賞経歴あり


工藤とは、彼がまだ探偵時代に接触があって
その繋がりで、工藤の幼なじみだと言う蘭と
も交流があった私

黒羽とは、一課の刑事時代に同じ班に所属し
ていたので、旧知の仲だった

自分にとっては、懐かしい名前が並ぶリスト

頭脳派の工藤に、行動派の蘭、その両方の能
力を巧みに操る黒羽

面白いチームになるかもしれない

悩んだ末に、私は宮野さんへOKの返事をし
たのは、ギリギリの日程だった

零さんのチームにも、個性派4人が配属され
るらしい

7係の零さんと、6係の私

久しぶりに、仕事で競う事になった事に、
は不思議な気持ちになっていた

着任の挨拶の時、10年振りに零さんを見た

相変わらず年齢不詳の若い零さんに、ふっ
笑みが零れそうになったけれど、堪えた

ここから先は、真剣勝負だから

どちらが先に、任された人材を一人前の刑事
に育てあげて、戦力にして、チームとしての
成果を挙げて行くか

それを試されているのだ

係長を集められての全体会議の場では、特に
挨拶もしなかった私と零さん

会議後、廊下を歩いていると、急に腕を引か
れて柱の陰に押しやられた

「どうして、引き受けた?」

「一課の係長よ?断る方がどうかしてるわ」

困ったような顔をした零さんに言った

別れたオンナが同じ職場に現れたくらいで
仕事出来なくなるようなオトコになったの?


不敵な笑みを浮かべた零さん

「いや、そんな下司にはまだなってねーよ」

「そう?じゃあ気にすること無いじゃない」

じゃあね、私、引っ越しとか色々あって忙
いから、と、掌をひらひらさせて零さんが
せんぼしていた腕から逃げた

零さんの前では目いっぱい強がったけれど、
正直、逃げ出したい気持ちもあった

10年振りに会ったと言うのに
少しも変わらない零さんに、恐れを覚えたか
らだ

まだまだ彼には追いつけないと思ったけれど
背伸びをして追いついた役職

この機会を逃すワケにはいかない

空は怒るだろうか?
両親が、同じ職場で競う事を

ごめんね、空
でも、ママね、パパと逢いたかったの

もう一度、職場で競ってみたかったの

どうしても、逢いたかったの

…だから、ちょっとの間、許してね

お守り代わりの空の写真に、謝って、そして
祈った

ママの事も、パパと同じくらい応援してね
空くん


第1章へ、
to be continued