▪️06:00 a hydrangea /side Heiji

紫陽花が映える季節を迎えた

オレは、久しぶりに和葉を連れて
工藤達と共に、地方のとある洋館に
滞在中やった

何故なら、オカンが地方周りで不在
和葉の友達も、試験絡みで外出が
あり、和葉を家に置いて行けなかっ
たのだ

和葉を必要以上に過保護にしている
のには、理由がある

親父の厳命と、工藤の依頼

和葉は、父親の仕事絡みで狙われた
あれ依頼、親父は和葉の身辺に神経
を尖らせている
特に、父親が今飛び回り関わる事件
は、愛娘と離れてまで闘っている

工藤は、例の組織との決着をつける
べく、動き始めていた

和葉は、英国で灰原の姉ちゃんの
家族と思われる人物とニアミスを
しているのだ

下手したら、オレ以上に危険な位置
にいるのでは、と、工藤はとにかく
和葉の身の安全を気にしている

和葉には、自由が無くて可哀想や
でも、オレは和葉が何より大事

決着がつくまでは、すまん、と言い
和葉の了承を得た

今回は、姉ちゃんが一緒や
工藤が気を利かせて連れ出したのだ

「蘭もさ、受験勉強頑張り過ぎで
少し息抜きさせねーと」

依頼主の好意で用意された部屋は
寝室が2つ、広いリビングがある
立派な客間やった

姉ちゃんて和葉は、久しぶりの再会
で、賑やかにしている

オレら以外やったら、扉を開けたら
アカン、とキツく言いつけて、工藤
とオレは事件に奔走していた

難儀な事件やった
掴めそうで、掴めない一進一退が
続いていた

姉ちゃんと和葉は、寝室に下がって
いて、オレと工藤はリビングにある
大きなソファに倒れこんだ

資料をテーブルや床に散らかして
ごろ寝をしながら、2人で事件の
整理をする

「なんかいい匂いがする」

コナンの声に顔をあげると、奥に
あるミニキッチンから、和葉が顔を
覗かせた

「2人とも、ごはん、まだやろ?」

厨房の人に頼んで、食材を少し分け
てもらった、と言い、支度をして
くれた

「夜やし、負担になったらあれや
からな」

季節外れでゴメンな、と出された
のは、クリームシチューとパン
やらサラダやった

工藤と2人、お礼もそこそこに、
夢中で食べさせもらう
和葉は、コーヒーも淹れてくれた

「カフェイン控え目やし、コナン
くんでも飲めるやつや」

ホンマは、ブラック派なんやろ?
と言って、工藤にも差し出した

オレ達は、食べながら、事件の概要
を和葉に聞かせた

和葉は、オレ達が適当にばら撒いた
資料を拾い上げながら、話を聞き
なにやら思案顔

「なぁ、これって」

連続で起きた殺人、傷害事件

現場には必ず、青いリボンを巻かれ
た白い薔薇が一輪

でも、被害者に共通点が全くなく、
年齢、性別、職業、何も接点は出て
こなかった

犯行時刻、場所、何を取ってもばら
ばらで、ピースが上手くはまらない

和葉は、集めた資料を発生順に並べ
写真資料も順番に並べた

「犯人、ひとりやないんやない?
複数やろ?」

「単独犯ではないってこと?」

「うーん、ちょっと違うかも」

「何や、和葉、ちゃんと言うてみ?
どう、違うねん」

「たくさんの人が、目的だけ、共有
してんねん
で、その目的を、達成した!と言う
暗号と言うか、共通の印が、コレ」

トントンと指差したのが、薔薇の
写真

「あと、もう一つ、犯人からの
恐らくメッセージが、コレ」

この館で起きた事件の写真と、何件
かの事件の写真から、いくつかを
指し示した

「コレらだけ、写真が裏焼きや」

多分、ここに何やかの意図がある
と思う、と言う

確か、工藤くんが昔に手掛けた事件
で、似たようなケースがあったはず
と言い出して、愛用のMacを起動
させて、調べ上げた

足りないピースが上手くはまる音
が、聞こえた気がした

慌てて、オレらは部屋を飛び出して
早速確認して回る

和葉のヒントのおかげで、足りない
ものが揃ったのだ

漸く捕まえた犯人グループは、和葉
が指摘した通りや

ギリギリで、新たな事件発生を防ぐ
事も出来て、部屋に辿り着いたのは
明け方やった

出来過ぎなくらい、キレイなアシ
ストを決めた和葉は、ソファで
完全に眠りこんでいたので、抱えて
寝室に運びこんだ

翌朝、爆睡から目覚めた姉ちゃんは
一向に目覚めない和葉やオレらに
焦った、と笑った

工藤達と別れ、和葉と帰阪したオレ
は、そうそうに次の事件に巻きこま
れて奔走することになった