名探偵コナンから、平和の2人を

走り書き



タイトル未定 (昨夜の続き)



久しぶりに聴いたオンナの名前に

かなり昔の事を思い出す



平次が、彼女になったばかりの和葉ちゃんを放

して、年末年始の大事なイベント目白押しの中

事件やっちゅうて飛び出したっきり、戻らない

ばかりか、居場所もはっきり言わず


ヘタレのクセに、浮気か?とも思うたけど


和葉ちゃんは、淋しそうにしながらも、我慢し

とる様子に、もしかしたら、平次が追っている

事件を知っているのでは?と思うた


息子と違うて、可愛ええ娘は素直やから、もし

何かあればちゃんと言うてくれる


でも、今回は、何も言わずに怒る私を宥めてい

て、平次を詰るような事も言わへん

多分、詳細は知らんでも、事件は知ってるんや

ろう


とは言え


付き合い始めて最初のクリスマスを逃したばか

りか、あれ程我儘を言うて私の実家をひっくり

返す勢いで探した和葉ちゃんの振袖まで見ない

とは


未だに居場所も事件についてものらりくらりと

言う息子に、堪忍袋の緒が切れるっちゅうねん


学校が始まるなり帰って来た息子をとっ捕まえ

平蔵さんと事情を説明しろと言うたら


隠し子騒動やっちゅうねん

しかも、あのオンナが絡んでるって


平蔵さんは、は?と言うた後、チラッと私を見

て、わざとらしく咳払いを始めた


はぁ、とため息しか出ん

息子は、さっさと和葉ちゃんを掴んで逃げ出す


さて、私は


久しぶりに、実家にでも行こう

たまにはリラックスして来よう


そう思い立ってすぐ行動した


あの、だの

その、だの

茶をくれ、だの言うてる夫を無視して、隙をつ

いて家を出た


急に呼んだ西條に、何かございましたか?と、

言われたが、先に兄夫婦には連絡を入れてあり

別邸を使えるようにしてくれとるからまずは、

安心や



あのオンナとの出会いは、

改方の高等部2年の時やった


中等部から私と櫻、平蔵さんと遠山さんは知り

あいで、クラスは別々やったり一緒やったりし

ながらも、仲良しやった


和葉ちゃんには言うてないけど、遠山さんは、

めちゃくちゃモテるタイプで、試合とかには他

校からも応援団が来るくらいで


平蔵さんは、表向きは寡黙なタイプで、一部の

熱烈、本気モードの面々に人気があるタイプや

った


高等部に上がってから、櫻は遠山さん、私は何

でか平蔵さんがええと思うようになり、4人で

行動する時も、何となくそうなっていた


順調に高校生活を楽しんでいたところに、嵐が

吹き荒れたのは、高2の春からやった


京都からの転校生として現れた

自分が自宅が京都のため、転校生の案内役をと

先生に頼まれて、担当したんやけど


これがまた、策士やってん


大阪は不慣れやと言う割に、古くからある店や

何かを良く知っとるし、学園の事も、知らんと

言うてるけど、ようわかっとるみたいで


剣道やってみたいと初心者やって入部しときな

がら、実は有段者やったり


後でわかったんは、家族の仕事都合で転勤に伴

い転校して来たと言うてたけど、実は高校1年

の頃に行われた大会で、遠山さんに一目惚れし

て、調べ回り、学校だけやなく、生活圏内まで

調べ尽くしていた事


裕福な実家が経営する店か、大阪にも出店する

と聞いて、無理を言うて転校して来た事やった


最初は遠山さん狙いやったのを、上手くいかな

い間に諫めた平蔵さんにあっさり鞍替えしただ

けやなく


卒なく対応する遠山さんと違うて、その辺は何

か上手く立ち回りが出来ひん平蔵さんに狙いを

定め、猛烈にアタックを始めたんや


当然、私達4人の行動にも当然のように割り込

んで、特に私にはかなり嫌がらせもして、服部

邸にも踏み込んで来るのはあっと言う間やった


平蔵さんが断っても、都合良く解釈して知らん

顔やし、遠山さんがやんわり忠告しても、のれ

んに腕押し状態で


とうとう櫻が爆発した時など、オマエは関係な

いから引っ込んでろと本音をぶちまけたんや

もちろん、平蔵さんらが居らん時にやで?


当然、私も忠告したけど、聞く耳持たず

どうなる事かと思うてたんやけど、事態が急変

したんは、修学旅行の準備が始まる頃


彼女の実家が、大阪出店絡みでトラブルを起こ

して、家業が危うくなってしまい、彼女の身に

何かが起きたらアカンと、急遽、京都に戻るよ

うにと呼び戻されたんや


出店に絡むトラブルには、良くない筋の方々も

関係しとったようで、娘を人質にされたりした

ら困ると、親御さん達もそうせざるを得なかっ

たらしい


結局、高2の後期には、彼女が登校する事はな

く、元の在籍しとった高校に戻ったと聞いた


その後、高校卒業まではかなり頻繁に手紙が届

いていたし、大会やと言うと、花も贈りつけら

れとったみたいやけど、卒業後はぷっつりと、

その連絡は途絶えたと聞いている


「他にええ人でも見つけたんやろ」


平蔵さんや遠山さんはそう言うてたけれど、私

は少しだけ、その後を知っていた



京都に実家があり、兄は大学も地元に進み家業

を継いだ事もあって、地元の動向には詳しかっ

たんや


兄経由で知ったのは、高校卒業後、地元の短大

に進学する予定を取りやめると、親の勧めに従

って結婚したと言う事やった


本人は、せめて短大進学後にと懇願したらしい

んやけど、家の都合で急ぐしかなかったとか

つまり、政略結婚と言うやつらしい


でも、兄が言うのには、相手は幼なじみで、か

なり堅実な一族かつ人格者やと言うて、彼女の

希望通り、卒業を待ってもええと言うのを、ど

うも急いだのは彼女の実家方らしいのだ


大阪出店絡みのトラブル解決に、想定以上の金

がかかった事で、他店舗運営も傾きかけて、一

時は倒産も噂される程、家業は危うかった様子


結婚式は質素倹約を実現するよう、粛々と執り

行われたらしい


どちらかと言うと、華やかで派手なタイプの子

やったから、びっくりしたんやけどな


私が知っとんのは、ここまでで、その後会った

事も無いから、もうだいぶ古い記憶の中にしか

無かったんやけど


まさか、20年以上の月日が流れて、またその名

を聞く事になるとは


しかも、まだ、平蔵さんの隠し子が、とか言う

てるのに驚いた



「あぁ、あそこの家の長男か」


兄は、彼女が結婚後、1年も経たずに男子を出産

して、その後も2人の男子を出産してるはずだと

言うた


都合3人の子を設けた旦那が居るのに、何故、

今更平蔵さん?と思うたんやけど


どうやら、昨年、ご主人を亡くされたようで、

その辺りから、彼女自身も体調と精神を壊され

たらしい噂があると聞いた


3兄弟のうち、長男だけ容姿が他2人と違うよう

で、親類縁者からも、出自を疑われた事もある

とか


ご主人が存命中は、そんな噂も蹴散らして、そ

の子を庇っていたらしいんやけど、ご主人が亡

くなってから、兄弟の仲にも争いが増えて


そこから、少しずつ、長男がトラブルに巻き込

まれる事が増えたとか


私は会った事も見た事も無いし、彼女が転校し

た後、平蔵さんと彼女が文通しとったんか、ま

たは何処かで会っていたのかは全く知らん


あれから、話題にした事が無かったからや


彼女の転校タイミングは、丁度、自分らがめち

ゃくちゃ忙しくなるタイミングやってん

修学旅行に進路、部活に、短期交換留学とな



丁度、今の平次と和葉ちゃん達みたいに



先日、和葉ちゃんから、短期交換留学の話が来

たと聞いている


平次はまだ、知らんらしいけどな


希望者も多いし、選抜になるんが常なんやけど

昔と違うのは、他の留学先も色々選べるように

なり、枠も広がったらしく


今回は、先方から「日本の芸事が出来る生徒」

と指定があった学校があるらしく


平次は剣道、書道、華道など

和葉ちゃんは合気道、薙刀、剣道、書道、華道

にかるたも出来る事から、推薦されたらしい


2人共、着物の着付けも自力で出来るし、踊り

もホンマは出来るからなぁ、和も洋も


指定があった学校へは、和葉ちゃんと、平次を

送る方向で調整中とか



時が経つのは、何と早い事か

私達が珍道中を経験したあの短期交換留学から

もうこんなに時が経ったと言うのに


和葉ちゃん達の出発準備もある

今回、家出して来た理由に、実家に置いている

着物を何枚か持ち出す理由もある


持って行かせる着物や小物を選び出し、まとめ

るだけで中々手がかかるけれど、久しぶりに、

ウキウキしながら選んだ


「静華さま」


西條が現れて、平蔵さんが本宅に訪ねて来てい

ると聞いて、早すぎやわ、と思いつつ、手を止

めて立ち上がった