あたしは割と考える子。
同年代の子たちからも「しっかりしてるね~」って言われるし、別に自分で自分をほめるつもりはないけど、
上には上がいるだろうけど、そこそこ考えてる子なのかなって思う。
昔からこんなだったわけじゃなくて、直樹との出会いがそうさせたんだと思う。
あたしは彼に出会ってすごくかわった。
毎日の電話の中で、彼は必ず、わたしに意見を求めた。
「陽子はどう思うの?」
「陽子はどうしてそう思うの?」
それまでニュースや世の中の仕組み、他人のことに対してまったく興味がなくて、
きゃぴきゃぴした普通の大学生だった。
だから、彼との電話はすごく疲れた。
「もう、そんなこと知らないよ~・・・」って思ってた。
だけど、そんな日が続いて、あたしはある発見をした。
自分で考え抜いた末の発見だった。
経済学部としてそれなりに勉強してきた今でこそ、その発見は理論として確立されていることをしったものの、
当時はそんなこと知りもしなかったから、それこそ生きてきて初めての持論だった。
その夜の電話で、私は彼につたない言葉でその発見について話した。
付き合ってきて始めて、私から放った話題提起。
そのときのことは、ぼんやりとしか覚えてないけれど、今ほどはうまくいえなかったと思う。
だけど、いつもは多くを語る彼の口からは、やさしい「うん、うん。」しか聞こえてこなかった。
そして、最後に「陽子、成長したね。俺がほしかったのはそれなんだよね。」といった。
多くを深く考えていた彼は、何も考えていない陽子に考える術を与えようと、毎日電話で語りかけてくれたことを始めて知った。
私はそれから考える喜びを知った。
考える喜びを知って、人生が面白くなった私は留学をした。
留学をして、考えたことを伝える喜びを知った。
そしてそれが発揮できるゼミを選んだ。
次は就職活動でどんなステージに行くのか楽しみで仕方がない。
彼が私に施してくれたものは、これ以上ない大きなもの。
今、あなたにもそれをわけてあげたいと思った。
あなたには疲れる話で、興味もなくて、別に今のままでいいって思ってるかもしれないけど。
あなたに影響を与えられるように、陽子も日々進歩しよう。
そう思えるのは、あなたが愛しいからなんだよ。