KANE―ケイン・コスギ写真集

近藤 篤 / 文春ネスコ


僕はいつでもどこでも寝られる。
実は8年ほど前、ケインコスギに好感を抱いていた時期があって、
そんなに熱狂的に好きだったわけじゃないんだけど、
「ケインいいよね~」ってちょっろっと口にしたら、
偶然ソレを職場のケインマニアに聞きつけられてしまい、
「ケインさんを応援してくれてどうもありがとう!!!」と喜ばれ、
写真集やビデオをたくさん貸してもらった(?)ことがあります。
いやもう、頼む前からばんばん渡されました。コレ絶対見て!って。

写真集では、無邪気にはしゃいでいたり、なぜか学ラン姿だったり、
非常に興味深いケインさんを垣間見ることができました・・・マニアック!
ちょっとしたインタビューみたいなものも載っていたんだけど、
これがほんとに私のツボでした。
すんごくまっすぐなんだもん。

私は幕末の武士が大好きですが、
ケインさんには彼らに似たまっすぐさを感じます。
“武士道”云々ということではなくて、
あの、選択の余地がない感じのまっすぐさ。それ故の潔さ。

ところで武士が好きな人と話をしてると、
幕末と比べて、最近の若者はだらしがない・・・なんてな話題になりがちですが、
私はそれにはあまり賛同できない。

幕末、一介の武士が手に入れることのできる情報は極僅かだったはずで、
乱暴な言い方をしてしまえば、もう、「尊王」か「攘夷」か、の二択だったのだ。
そして、そのどちらに付くかを自分で考えた志士も勿論いたけれど、
外様だとか親藩だとか、生まれた土地の都合で自分の進路はいつの間にか決定しており、
もう「進む方向」は決まっていて、あとは全力で進むのみ!
みたいな人が大勢いたんだと思う。

今は、全然状況が違う。
私達は、選択肢を持て余している。
自分の道を全力で進む、その前に、どの道を進んだらいいのか、まず迷う。
いったい何に全力をかければいいのか。
会社員になるのもいい、起業するのもいい、旅人になるのもいい。
男の人だって主夫になれる。
外国にだって簡単に行ける。
様々な職業の為の、様々な専門学校がある。そこに通うのもいい。
それから、何もしなくてもいい。
何もしないことも選択肢に入っている。
家から一歩も出ないで生活しようと思えば、それもできなくはない。
恋をするのもいいし、しないのもいい。
政治家になってもいいし、ホームレスになってもいいし、小説家になってもいい。
だから何をしたいのかわからない器用貧乏な人がたくさんいる。
何をやっても半端で終わって、結局何がしたいのかわからなくなってる人もたくさんいる。

それを見て、だらしがない、と嘆く人がいる。
だらしがない、そうか。だらしがない。そうかもしれない。
でも、それに比べて幕末の武士が立派だったっていうのは違うと、いつも思う。
確かに激動の幕末、今でも名前が知られているような武士達のしたことは立派だ。
坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作、土方歳三、村田蔵六。
私は本当にあの時代の話が大好き。
でも、現代の若者と比べてどうのこうの、と考えるのは短絡的過ぎる。
置かれた状況の違いを踏まえなければ、比較なんてしてはいけないと思う。

さて写真集を見た当時、私がケインコスギから感じたのは、
この人は現代に生きてるのに、全然選択肢を持っていない(ように見える)ということだった。

一冊の写真集でわかることなんてたかが知れているし、
私はもう長い間テレビを持ってないし見てもいないので、
ほんとはケインコスギって私のイメージとは全然違う人間なのかもしれないけど、
このインタビューの中の彼の迷いのなさは、すごく気持ちが良いと思った。
こうやって何か、自分の全部を賭けられるものを見つけた人間は、
成功してもしなくても、まずスタートを切ることができる。
その点ではとても幸福だと思った。
幸福な人間を見ていると、私は元気になる。
だからますます彼を好きだと思った。

*
もし自分がこれをやらなかったら、映画スターにはなれない。
ジャッキーチェンみたいな本物のアクションスターなら、これをやるだろう。
やり遂げるだろう。

もし自分がこれをやらなかったら、誰か他の人がやるだろう。
そしてその人がアクションスターになるだろう。

ああ、怖いなあと思っても、
でもこれをやらなきゃアクションスターに値する人間になれないんだ、って。
そう考えれば、いつだって飛び降りられる。
なんだってできるんだ。
*
もし映画スターになれなかったら?
そんなことは想像もつかないよ。
もしできなかったら、できるようになるためにもっと頑張る。
それでもできなかったら、もっともっと頑張る。それだけ。
だって人生において自分が何をやりたいのかは、もうわかっているからね。
*

しかし、ケインマニアから借りたビデオで偶然池谷直樹というスポーツマンを発見。
まっすぐさだの潔さだの人柄だの全然関係なく、
私はコロリと池谷直樹ファンになってしまったのでした。
単純に、顔が好き!!!
そして細マッチョ大好き!!!