あの数日のあいだに味わった晴ればれとした気分を、
あたしは決して忘れないだろうと思うわ。
あたしは聖者になったような気分で歩きまわった。

気違いじみていた。

まさに気違い沙汰で、まったく狂ってはいたけれど、
あれほどすばらしい思い出は他にないわ。


彼に惚れ込んでしまったものだから。
めったにないことだと言うつもりはないのよ、
あたしはわりと惚れっぽいほうだから。なぜかは訊かないで。

あたしが恋に陥るのは、他人に与えられる何かが自分にあるからではなくて、
他人から何かが欲しいからなの―それを男の人たちは見抜いて、あたしから離れてしまうのよ、
せっかくベッドまで入って来てあたしと寝たあげくに。