グランビルストリートに人だかりが出来ていて、ふらふらと近寄ってみると、なんと彼がいた。
“彼” と言っても知人でもなんでもないのだけど。
私がカナダに来たばかりの去年の9月14日、
日記にこの彼が登場してます。
このひと。
あの頃よりも随分お客さんが増えて、人気者のようでした。
そういえばバンクーバーのダウンタウンにはバイオリンを弾いているおじいちゃんがいるのですが、彼も長いこと街角での演奏を続けているらしいです。
3年ぶりにバンクーバーに来たという友達が、
「あのおじいちゃんは3年前にもバイオリンを弾いていたけど、
すごく上達したよ。最初はもっと下手だったんだよ。」
と教えてくれました。
なんだか素敵なことのように思いました。
おじいちゃんは大きなおとなしい犬と一緒にいつもバイオリンを奏でています。
雨の日も、雨じゃない日もいます。
*
さてそのままグランビルストリートを歩き続けていると、
今度は前方から懐かしい靴の音が聴こえてきました。
タップダンスです。
クラリネットとバンジョーと、膝にくくりつけた小さなシンバル。楽器も性別も違うのに、
バロン君とジョーダンみたいだなぁ・・・と、思わず足を止めてしまいました。
しばらく1人で眺めていたら、夕方みたいな気持ちになりました。
*
どうしてグランビルストリートをうろうろしていたのかと言うと、
ピザ屋さんを探していたのでした。
私は何か気に入った食べ物を見つけるとそればかりを食べ続けるという癖を持っていて、
日本にいた頃、それはチョコチップクッキーであり、メロンパンでありました。
1日3食メロンパンなんて日常でした。
それでもって、最近はピザに夢中です。
なんといってもバンクーバーのピザは、つましい学生の味方なのです。
運良く、できたてほやほやのピザを購入できた日には、
それはとてもとても$1,50とは思えない程に美味しいのです。
しかもピーマンもトマトもふんだんにのっていて、想像以上に健康的なのです。
そんな私に、
「グランビルストリートの左側に美味しいピザ屋があるよ」
との情報が舞い込みました。
「道の左側」 という、なんとも冒険魂を刺激する、薄ボンヤリとした情報です(良い意味)。
グランビルストリートは、もともとバンクーバーでも屈指の賑わいを見せた通りだったと聞きました。
しかしそのうち、浮浪者やワルイ人たちの溜まり場となってしまい、
通り全体が廃れていってしまったとか。
今は『浄化運動』 というものが行われ、オリンピックに向けての工事も行われ、
昔からあるネオンの映画館やクラブやバーと、
最近できた小綺麗なレストランやカフェが交互に立ち並んで、
なんとなく良い雰囲気で融合しています。
そのグランビルストリートには現在、わけのわからないアートが展示されています。
前述の通りここは現在工事中なので毎日歩行者天国なのですが、
それにしてもこのアートの意味不明さ、クオリティの計り知れなさときたら!



芸術作品を云々できるほどの肥えた目も感性も持ち合わせておらず、「いいのか悪いのかまったくわからん!!」という、
初めて “後期のピカソ” を目にした小学生の心持ちでした。
でも一応写真を撮りました。
それからまたうろうろグランビルをさ迷っていると、ついにそれらしきピザ屋を発見。
1枚買って歩きながらほおばりました。
風が冷たくてピザがすぐに冷めてしまいます。
ピザ生地に胡麻が散りばめられていて美味。
来た道を引き返すとあのタップダンスのカップルが演奏を続けていて、
その曲はいつか私の大好きなあの2人が歌っていたのとおんなじ曲でした。
イントロだけ聴いて私にはすぐにそれがわかって、
そそくさとその場を後にしました。
危ない危ない、また勝手にセンチメンタルに襲われてしまうところだった!!
「逃げる」ということがそんなに悪いことだったら、
そのコマンドは元々用意されてないんじゃないかと思います。
時には逃げることも必要だからこそ、
そのコマンドがそこにあるのです。
「戦う」や、「回復する」と同じように、ひとつの選択肢として。
私はピザを食べ終わって、せつせつとその歌を口ずさみながら、
常連となっているピザ屋さんを無意識のうちに目指していました。
通い始めたのが12月の頭なのに、
スタンプカードのスタンプがもう25個も貯まっています。
いつもと違うピザを食べたら美味しかったけど、
いつものピザがどうしても食べたくなってしまいました。
なので合計で2枚のピザを食べてお腹がいっぱいになりました。