オスカルはお母さんにブリキの太鼓を買ってもらいました。
そしてなんだか大人の世界に嫌気がさしていたので、
3歳の誕生日に、自ら成長を止めてしまいました。

オスカルは3歳のまんま30歳になります。

オスカルの言葉は高い密度を持っているので、
オスカルに付き合っているととてもくたびれます。
でもきっと、「大切」 に直面するってことは、
時々くたびれるものなんだと思います。

この長い小説の中ではいろいろな人間がいろいろなことをしでかし、まくしたてるせいで、
ちゃんと集中してないと、散りばめられたアレコレに振り回されてわけがわからなくなる。

耳を澄ます。目をこらす。

語られていることの裏の、語られていないこと。
そこで “ほんとうに” 起こっていることはなんだろう。


ある澄みきった十月の朝だった。こんなに爽かな朝を無料で送り届けてくれるのは北東風だけだ。

ねえあなた、あなたの堅い鼓手の心をこのラグーナが誘惑できないとでもいうのなら、
パリに誘惑されてしまいなさいな、さあいっしょに行きましょう。