朝から、雪が舞っている4月のルーマニアです。予想以上に寒くて、持ってきたスカートやらショーパンは出番なし。
タイツの重ね履きをした上から靴下履いてジーパン履いて、(え、ジーパンって最近は言わない?みたいですね)
まあとにかく厚着をして出かけました。だって寒いんだもん。

本日はバスで129kmの移動です。目指すはシギショアラ。
ガイドブックによれば、「ルーマニアの人々が観光客に必ず薦める街」なんだそうです。
途中、バスがパトカーに20分近く足止めを食らうというアクシデントはあったものの、ただの記録チェックだから心配ないとのことで(観光バスに関する規定が色々あるようです)
3時間弱かけてやっとシギショアラに辿り着く頃には、どうにか空が晴れてきました。

おもちゃの宝石みたいな街並みです。本当にどこまでも可愛らしくて、興奮のあまり何回も何回もシャッターを切りましたが、
後から写真を見返したらみんな同じような写真だったのでだいぶ消しました。
バスはいったんその街を通り過ぎ、ビエルタンの要塞教会へ向かいます。

ああ、晴れて本当によかった。ここにある見張り台からは、街全体が一望できます。
どうしてこんな場所に建てたのだろう、と思う教会がいくつもありましたが、敵に攻められた時に、守れるようになんだそうです。
それで、わざとアクセスの悪い険しい場所や、
一見何もなさそうな木々の奥にひっそりと教会があったり、
何重もの分厚い石の壁で囲まれいたり、頑丈で複雑な鍵で内部が守られていたりします。
あるいは、教会の中では席順が決まっていて、
若者は一階、子供は二階、老人(権力者?)は奥、となっていたそうですが、
これも敵から攻められた際に、すぐに戦える若者を階下に集め、
子供達はなるべく安全な場所に、老人はすぐに逃げられるように、
という配慮なんだそうです。
ここでもまた、四方から攻められ続けていたこの国の歴史の哀しさと、
宗教への深い想いを感じました。
私のように外からノコノコやってきた人間が、
しかも予め知識があったわけでも勉強したわけでもなくて、
ただこんな風に観光気分で教会を見て「哀しい」なんて思うのも、
失礼なのかもしれないけど。

さて、シギショアラへ戻り時計塔のある広場まで歩いて、有名なレストランでお昼ご飯です。

ルーマニアといえばドラキュラ伯爵ですが、ここは、ドラキュラのモデルとされた、ヴラド・ツェペシュの生まれた家なんだそうです。
ドラキュラにちなんで、血のスープ。
味はトマトケチャップでした。


お料理はどれもなかなか美味しかったです。レストランの上にはドラキュラにちなんだ展示があるとのことで、
食後にちょっと遊びに行ってみました。
ちなみにここにいたサーバーさん達には、
それこそドラキュラの映画にでも出てきそうななんともいえない素敵な雰囲気があり、
色白でスラリとしてモデルのようで、ちょっと病的に整った顔立ちだったりするのですが、
彼らの話に耳を傾けたが最後、
しきりにポストカードやマグネットを売ろうとしてくるのでした。
昨日の神父さんコスプレのおじさんを思い出して笑いました。
上の階に行く時にはお店の人に一声かけなくてはいけないのですが、それはどうしてかというと・・・、
もしかしたらこれからドラキュラレストランに行く人がいるかもしれないので内緒にしておきます。
さて、ランチの後は175段もの木の階段を上って、14世紀に造られたという山上教会を見に行きました。
ここまで上ると、絶景です。街自体が世界遺産だという、素朴で美しいシギショアラが眼下に広がり、
すごく清清しい気分になりました。
私はこの旅で、85歳のおばあちゃんと友達になったのですが、
彼女はとても溌剌として、この長い階段もまったくものともせず、
「いつも歩きまわっているから全然たいしたことなかったよ」と、
ケロッとした顔で言っておりました。
友達といえば、人と人が出会って、どこからが友達と呼べるのか、
世間の定義を私は知りません。
私はおばあちゃんの下の名前もわからないし、連絡先も交換していません。
だけどただ、彼女が、
「こんなに若いお友達ができて嬉しいよお」
と言ってくれて、それで私は、そうか私達は友達なんだと、勝手に喜んだのでした。
彼女は、これからも世界中を1人で旅するつもりだということと、
お土産を買いすぎてスーツケースがしまらないことと、
何度も何度もスーツケースの上に乗っかって、お尻のパワーでやっとどうにかなったこと、
それから最後に、
鏡さえ覗かなければ自分の姿が見えないから、
本当は85歳だってことは忘れて、自分を30代だと思うことにしているの。
だって私が30歳だと思えば、私は30歳だもの。ということを教えてくれました。

さて、上った階段とは別の坂道を下って山上教会からまた街へ出て、とても寒かったけれどしばらく街の中を観光しました。
カフェやお土産物屋さんがポツポツとあります。
物乞いの子供もいます。
物乞いはヨーロッパでは組織化されていて、
マフィアのような人達の収入になってしまうだけだから、
身なりの貧しい子供にせがまれても決してお金をあげないように、
という話を、実は前もって聞いてはおりましたが、
確かに今日出くわした物乞いの7歳ぐらいの男の子も、
観光客の見ていない場所では現地の大人と何かを話していて、
盗み聞きしてみるとどうやら、
“ルーマニア語ではなく、「Give me one」と言え”
とレクチャーをされているようでした。
私達が、ルーマニア語がわからないからお金をくれない、
とでも考えたのでしょうか。
それで実際、その後男の子は「Give me one」と言いながら観光客の周りをうろうろしていて、
複雑な気分になりました。
さて、この広場には大きな犬がいます。毛並みを見ても、飼い犬か野良犬か微妙なところで、
とにかく身体が痒いらしく石畳に背中をこすりつけたりしているのですが、
この犬が、観光客にはまったく無害なのに、
物乞いの男の子に対してだけ、わんわんと吠えていたのが印象的でした。
それを見た年配の男性が、「この犬は物乞いを退治してくれる」と言って、
持っていた食べ物を小さくちぎって犬にあげておりました。
さて全身が凍りそうな寒さにやられてやっと帰りのバスに乗り、今夜もまたブラショフに戻ります。
夕飯までの間に、ヒドゥン教会と呼ばれる、
街の中心にあるにもかかわらず入口がちょっと隠れた場所にある、
小さな教会を訪れました。
厳かな雰囲気。キリスト教に関する知識がまったくない私でしたが、
この旅で数々の教会に足を踏み入れるたびにガイドさんから話を伺ったり、
そばにいた観光客が英語で話しているのをどうにか聞きかじったりして、
知れば知る程その奥の深さに、くらくらしてしまいます。
夜ご飯を食べる店を探して街を歩いているうちに、金曜の夜だということでどこも混んでおり、
いつの間にかブラショフで三本の指に入る程高いレストランに入っていたことを、
後から知りました。
と言っても、1レイ(ルーマニアのお金の単位)が30円の国なので、
日本で考えればたいした出費ではないのですが。


ステーキとシーフードに舌鼓を打ち、
いろいろ話し込んですっかり遅くなってホテルに戻ると、
部屋のある5Fでエレベーターの扉が開いた途端に、
ロビーで大宴会が繰り広げられておりました。なにこれ、ユースホステルみたい!笑
ペットボトルに入った強いお酒を飲みながら大宴会をしていたジプシーみたいな人たち。
最後には全員で大合唱。
でも0時になったらちゃんと部屋に帰っていました。
あれだけ大騒ぎしたのにそこだけ常識的で、なんか笑いました。
