午後になり、ブカレストに到着しました。ブラン城から200Kmも走るとさすがに天候も全然違って、
よく晴れて、春めいた気温です。

お洒落な民家を改築したというレストランで少し遅めのランチを頂き、そのままブカレストの市内を観光しました。

ヴィクトリア通りにある革命広場。1989年12月、民主革命の舞台となった場所です。
ルーマニア社会主義共和国初代大統領チャウシェスクは、
1960年代から24年間、ルーマニア共産党政権の独裁者として君臨しましたが、
貧窮にあえぐ国民を尻目に贅沢三昧の生活を送った彼ら夫妻は、
ついに民衆の怒りのもと処刑されます。
革命のための血が流れ、歴史が動いた広場です。


あれから十数年経ち、現在のルーマニアの中には、革命前は本当に死ぬ思いだった、チャウシェスクがいなくなってよかった、
という人だけでなく、
今のこの国を見ると、チャウシェスクがいた頃(後期ではなく、政権をとった当初)の方が良かった気もする、
という意見もあるそうです。
革命が起こった、成功した、めでたしめでたし。
なんて、おとぎ話のようにはいきません。
シンデレラだって、白雪姫だって、本当は、
「こうして2人は幸せに暮らしましたとさ」では終わらないのです。
でも、生きていくのです。
旧共産党本部から、クレツレスク教会や国立美術館(元・共和国宮殿)を見て歩いて、またにわかにもわもわと、歴史のこと、権力のことなど考えてみる私でした。

ところで、ブカレスト、チャウシェスク、といえば、悪名高き「国民の館」があります。
彼が膨大な費用を投じて建設させた、部屋数3107という巨大な宮殿です。
私欲を満たすために純金の装飾が施された、国民の、とは名ばかりのこの館のために、
ルーマニア中の国民が飢餓にあえいでいたのです。
ここまで来たら一目見てやろう!と観光客なら誰もが思う場所ですが、
本日はちょうど国民の館前でモーターショーのようなものが繰り広げられており、
もくもくと白煙の巻き起こる中、ドリフト族がカースタントのようなものを披露し続けていたのでした。
フェンスが張られて近づけないし、
その白煙で国民の館を写真に収めることさえままなりません。
しかしその代わりといってはなんですが、とても貴重な一幕を拝見することができました。
こういう時、現地の言葉がわかるととてもいいのですが、
どうやら、イースターのために司教様たちが集まって、
どこかからどこかへ向かっているところ(曖昧!)なんだそうです。
わかったのは、これはとても珍しいことで、地元の人でもなかなか見られない、
この一行を目撃できたのは大変ありがたく、価値のあることだ、ということでした。
今日はいったんここで、ホテルにチェックイン。移動ばかりの割にあまり疲れてはいませんが、
そうは言ってもホテルのベッドがふかふかだと嬉しいものです。
10日間、色々なホテルに泊まりましたが、
日本と同じ意識でいると、「デラックスクラス」がたいしてデラックスではなく、
あれれ・・・となる場面もありました。
建物自体がヨーロッパらしくて可愛らしいとか、
色使いに赴きがあるとか、それぞれのホテルの良さももちろんありましたが、
“ルーマニアの中では”上のランクのホテルだとしても、
電球が切れていたり、エレベーターがものすごく小さくてガタゴトいったりします。
私の部屋は大丈夫だったけれども、
蛇口をひねったら水道から砂が出てきたなんて話も聞きました。
まあ全てが旅の醍醐味と割り切りつつも、楽しみつつも、
俗な私は、今日泊まったアメリカ系のホテルがこの旅で一番安らげました。へへ。
この、わかりやすいバカンス感。ラウンジ。プール。「いえーい」ってなってしまう一般市民なのでした。
さて、今晩はドイツ風ビアホールでディナーです。
だんだんと日が暮れて、旧市街を散策するのが気持ち良いです。
途中、スタヴロポレオス教会に入りました。1724年に建てられた、ブカレスト最古の教会のひとつなんだとか。
レストランやカフェが並ぶ通りの真ん中にあって、
中も混んでいたし、外にもわらわらと人がおりました。
ただの通行人だと思っていた、今時の(しかもちょっと悪そうな)若者も、
実は教会に入る順番を待っていて、
中に入るやいなや目を閉じ厳かに祈りを捧げていました。
宗教って、そういうものなんだなー、ここヨーロッパでは。
教会からまた少し歩き、元はビール工場だったというビアホールに向かいます。
ルーマニアの歌と踊りを見ながらビールが飲めるということで、
地元でも有名&観光客に大人気なんだそうです。
広いビアホール内が満員でした。Caru' cu Bere。
カツレツを食べて、ビールを飲んで、
喧騒のせいでさらに皆が大きな声を出すため周りも凄い騒ぎで、
隣のテーブルの酔払った外国人がフレンドリーだったり、
チャップリンみたいなおじさんがオウムを持って近づいてきたり(これはチップ目当て)、
なかなかけたたましい夜でした。
