これまで絵本も漫画も合わせたら何百冊の本を読んだかわからないけど、
いや千冊は軽く越えているはずだけど、
そんな人生の中で間違いなく史上最悪の小説だ!
と驚いてしまうような出会いがありました。

ページをめくるごとに腹立ちが増し、
なにこれなにこれ?と、ひたすらむかむかしました。

しかし。

最後の2ページを読んだ瞬間にその怒りは行き場を失い、
「やられたかも」 と、ア然としてまた1行目から丸ごと読み直しました。


ほんとのところは知らないけど、
これが狙ってやったことだとしたら、
確かに彼女はすごい作家です。
私はあまりこの人の作品が好きになれないけれど、
その才能は認めざるをえません。


それは世間しらずの「無邪気」な奥様が、
近所に住む年上の外国人男性と親しくなり、
そうこうするうちに、そういうことになってしまう、
というような内容の小説でした。

ちなみにその昔、私はこの作家が好きでした。
そしてある時期を境に苦手になり、
作品によっては大嫌いだと感じ、
最近ではとにかく読むたびに、「やっぱ無理だわ~」と思ってしまうくせに、
たまたま未読のタイトルを見つけると必ず読む、
という妙な反応を示してしまいます。


で、何が苦手かというと、「大人の無邪気」ってやつです。
無垢、純真、イノセント、どんな言い方をしようが、小ズルさしか感じません。
大人になるのを拒否するなんて、
無意識には絶対できないことです。

気づかないフリ、わからないフリ、汚れないフリ、潔いフリ、
わけのわからない美意識で、うやむやにごまかしているたくさんのこと。

そういうのがやたらに鼻につく文体と展開で、
この作家は “ほんとうに” 終わってしまったんだわ。
と感じながら読み進んだのですが、
前述のとおり。

最後の2ページの見事さよ。あっぱれ、という感じでした。


全体を通してあまりにも奥様が美しく(容貌のことではなくて)描写されているので、
作者はソッチサイドか、気持ち悪いな。と呆れていると、
どうやらそうでもないかもしれない、と思わせるラストでした。
いやもしかしたらソレが私の気のせいで、
やっぱりソッチサイドかもしれないけど・・・。


うーん、レビューできるほど気持ちがまとまらないので筆を置きます。
なんかわけがわからなくてすみません。
この作者が 『不倫物』 を書くと本当に不快になります。
ここまで不快にさせるなんて逆にすごい。“山の空気はすでにどこか秋めいて涼しく、野の草花が咲いたまま乾いて風に揺れていました。 ”

好きだったのはこの一文。
物語の進行とは無関係に、とても美しい描写です。