主治医の説明は以下の文章の内容でお話がありました。



非血縁者間骨髄移植の説明及び同意書

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1.病状と移植適応について


A)○○くんの病名は急性骨髄性白血病(AML-M0)です。

明らかな予後不良な染色体異常や予後良好な染色体異常は検出されておらず、従来のAML-05の分類では中間リスク群に相当します。

M0の症例数は少ないですが・・・(現在論文投稿中の未公開とのことなのでここの説明は記載しません)

米国St. jude children's Hospitalの治療研究でもM0は高リスク群と位置づけられています。

一方でM0の予後が他の群と比較して差がなかったという報告も散見されます。

現時点ではM0に対する移植適応は世界的にも定まったものはありません。


B)以上のような背景に加えて○○くんはAML-05の寛解導入療法の後に最大1~2%程度の腫瘍残存を認めたため、再発リスクが高いことが予想されます。

以上より当科の方針としては化学療法の後に同種移植を追加するという方針を推奨いたします。

*移植の絶対的な適応ではありませんので移植合併症のリスクを十分ご理解の上で移植を行うかどうかの最終判断をして下さい。


2.移植ソースに関して


A)同種骨髄移植を行なう際にはHLA型を合わせる必要があります。

HLAの適合度が低いと、ドナー細胞が○○くんの体を非自己とみなして攻撃する移植片対宿主病(GVHD)が強く出すぎると致死的な移植合併症につながります。


B)HLA型は多数ありますが、同種骨髄移植の際にはHLA-A、HLA-B、HLA-DRB1の各2本づつ、計6本の合致度を確認します。

今回は、HLA完全合致の骨髄バンクドナーからの同種骨髄移植を行います。

○○くんおよびドナーさんのHLA型の詳細については別途予定表を参照ください。


3.移植前処置


A)ドナーさんの骨髄の細胞を移植するだけでは○○くんの免疫細胞により攻撃されて拒絶されてしまうため、骨髄移植の前には前処置が必要となります。

前処置により○○くんの免疫細胞を減らし、ドナーさんの細胞が定着しやすい「場」を作るのが前処置の目的です。


B)前処置には骨髄破壊的移植(フル移植)と骨髄非破壊的移植(ミニ移植)があります。

ミニ移植は前処置の量を減らして副作用を軽減する目的で開発された方法です。

白血病の移植としては骨髄破壊的移植が標準的ですが、高齢者や乳児など合併症のリスクが非常に高い場合にはミニ移植を選択します。

○○くんは年少児であるため、フル移植を行うと精神発達・身体発育に強い影響を及ぼしますので、今回○○くんには骨髄非破壊的移植(ミニ移植)を行います。


C)前処置としてはフルダラビンとメルファランと呼ばれる抗癌剤を用います。


D)前処置の抗癌剤に伴う合併症としては、投与中の悪心・嘔吐・食欲不振などに加えて、粘膜障害・骨髄抑制などが見られます。

ミニ移植では粘膜障害は軽微なことが多いですが、骨髄抑制は長期間遷延します(一般的には、骨髄移植で1~3週間程度、臍帯血移植では2~4程度)。


E)悪心・怠惰感などの一般的な副作用に加えて薬剤特有の副作用としてメルファランに伴う肝機能障害や腎機能障害、フルダラビンによるアレルギー反応が見られることがあります。


F)ミニ移植では前処置の強度は弱いものの、晩期合併症として、成長障害や内分泌障害、不妊、2次癌の可能性があります。そのため、移植後も晩期合併症の定期的なフォローアップが必要です。


4.移植後合併症


同種骨髄移植における主な合併症としては1)生着不全、拒絶、2)再発、3)感染症、4)薬剤の副作用、5)急性GVHD、6)血管障害、7)慢性GVHDがあります。


1)生着不全

生着不全とは移植したドナーの細胞が定着しないことを意味します。

自己造血が十分に回復しない場合には、緊急で再移植を行わないといけない事があります。

ミニ移植ではフル移植に比較して生着不全が起こりやすく10~30%程度と考えられます。


2)再発

骨髄移植は骨髄異形症候群根治を目指した治療ですが、骨髄移植も万能な治療ではなく移植をすれば100%完治するという治療ではありません。

従って、治療後に再発する可能性も否定できませんので、移植後も再発の有無を定期的にフォローしていく必要があります。


3)感染症

移植の際には従来の化学療法以上に感染症のリスクが増大します。

移植した細胞が生着するまでには平均2~3週間を要し、骨髄抑制が長期間続くため、細菌感染症や真菌感染のリスクが増大し、時には致死的となります。

また、移植特有の合併症としてヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトロメガウイルス、サイトメガウィルス、EBウイルス、HHV-6など)やアデノウイルス、その他種々のウイルスの再活性化が生じ、多様な合併症を生じることがあります。

重症感染症によりGVHDが憎悪したり、時には不可逆な後遺症を残す事もあります。


4)薬剤の副作用

感染症治療やGVHD治療のため、移植の際には多数の薬剤を併用します。

そのため薬剤による肝障害や腎障害や中枢神経障害(痙攣など)、皮膚・粘膜障害、造血障害などが見られることがあります。

また、免疫抑制剤による高血圧や振戦、イライラなどの精神症状がみられることもあります。

感染症治療やGVHD治療のため副作用のある薬剤を中止できない状況も多くあるため、効果と副作用を天秤にかけながら薬剤を選択していくことになります。


5)急性GVHD(移植片対宿主病)
移植後100日以内に起こるドナーリンパ球由来の免疫反応を総称して急性GVHDと呼んでいます。

3微は発疹、下痢、肝機能障害ですが、その他にも全身臓器の合併症を起こします。

予防としてFK506(プログラフ)、MTX(メソトレキセート)を用います。

症状増強時はステロイド・セルセプト・リツキサン投与など他の免疫抑制剤を適宜追加します。

重度の急性GVHDを呈すると時に致死的となることがあります。


6)血管障害

放射線などの移植前処置による全身の臓器障害にGVHDによる全身の血管障害が重なった場合に生じる移植特有の合併症があります。

全身の血管障害が強くおこると血栓症微小血管炎(TMA)と呼ばれる合併症を併発することがあり、肝臓の類洞障害が強くおこった場合はVeno-occlusive disease(VOD)と呼ばれる合併症を呈します。

TMAやVODなどの移植合併症は非常に致死率の高い合併症です。

また、血管障害に加えて免疫抑制剤等による高血圧が進行した際に高血圧性脳症と呼ばれる中枢神経症状を呈することがあります。

視力障害・眼球運動異常や痙攣として見られることが多いですが、それ以上の神経症状を呈することもあります。


7)慢性GVHD

慢性GVHDは移植後100日以降に起こるドナーリンパ球由来の免疫反応の総称です。

急性GVHDの有無にかかわらず慢性GVHDが生じる可能性があります。

また慢性GVHDの症状は多彩であり、ありとあらゆる臓器に障害が見られることがあります。

そのため、移植後も長期にわたる免疫抑制剤の内服が必要となりますし、大きな合併症が生じた際には入院加療が必要となります。

また移植後、肺合併症など慢性GVHDにより致死的になることもあります。



このように移植には種々の合併症が起こりうるため、移植に関する死亡はどの施設でもおよそ約10%程度存在します。

また、臓器障害や神経障害などの後遺症が残る可能性も否定できません。


○○病院 小児血液腫瘍内科 ○○○○


以上の説明を受け、良く理解しましたので治療に同意します。


○年○月○日


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