こもりびと | YN's STYLE

こもりびと

実話をもとにした引きこもり問題を描いたドラマ。引きこもりの男性(主人公)・雅夫役を松山ケンイチ、胃癌ステージ4で余命宣告された父親・一夫役を武田鉄矢、一夫の孫で雅夫の姪・美咲を北香那が演じています。

 

主に3人の視点で物語が進んでいきました。美咲の就活の様子を斜め後ろから見てるような撮り方とか美咲の書店で移動してる様子を書店のミラーで映す演出とかよかったですね。”周りに見られている感じ”を表現したんでしょうか。

 

雅夫が引きこもりになった原因は、職場での大きなストレスと父の激しい叱責によって鬱になったことでした。ただそんな中で、資格を取ろうと動いてはいたようです。社会福祉士の資格を特に調べていたのは、父のことを考えていた形跡なのかなと思いました。

 

美咲の境遇。音楽が好きだったものの父親に猛反対され、音大を断念。就活でも音楽の道を模索していたら悪い先輩などにハラスメントを受け断念し、IT系の企業に妥協し内定をもらったようです。性格の面でも父親にも先生にも協調性が大事と言われて守ってきたものの、いざ就職になると個性を求められてしまい悩んでしまったようですね。美咲の話に共感し涙腺が緩みました。

 

協調性を重視しすぎると個性ってなかなか伸びないんですよね。その矛盾に苦しむ人も多いことでしょう。

 

一夫の雅夫への言葉(特に過去のもの)は、かなりのダメージになるものばかりでしたね。雅夫と同じ心境の時に聞いた場合に耐えられるかどうかわからないなと聞いてて思いました。受験失敗、正社員ではなくて契約社員になったタイミング、ファミレスの店長になったタイミングなんですよね。前2つは本人が一番苦しんでるタイミング、店長になったタイミングはやっと仕事につけたと本人が思ってるタイミングで。

 

厳しくて強い言葉に耐えられる人っていうのは、ほんの一握りだけなんですよね。言う時には、相手が耐えられる人かどうか・耐えられるタイミングかどうかの見極めが必要で。

 

最後、雅夫は喪主を名乗りで、引きこもりからの脱出を誓いました。一歩前進ですね。

 

松山ケンイチさん、武田鉄矢さん、北香那ちゃんの演技が素晴らしかったです。