すこし悲しい顔で、その声の表情は苦しさを感じる


なぁちゃんは引きつりながらも笑顔でポツポツと話しだした





なぁ「ゆうちゃんと過ごした学生生活は本当に幸せだった

  ただ隣に居れるだけで、、本当に幸せだったの」




そっとわたしの手をとり、やさしく握った



高校生活を送ってるときはこんなさみしい雰囲気は

私達の間では流れたことがない

いつも楽しく話したり、ふざけて、たまに喧嘩して、

仲直りして、そしてまた笑い合って、、、




でも、、




眼の前にいるなぁちゃんが

高校生のなぁちゃんに見えて、


なぜか、あの夏の日に戻ったようにも見えた






なぁ「他の人と幸せになるゆうちゃんを見たくないのは、

  わがままかな、重いかな
  
  そう思い始めたらいつ自分がゆうちゃんを困らせるんじゃないかって

  少し怖くて、なによりゆうちゃんが私を拒絶したらって考えたら、、、」





手から伝わる震えに気づき、わたしはぎゅっと手を握り返した




ゆう「なぁちゃん、わがままじゃないよ。

  わたしのほうが、わがままだった。

  なぁちゃんは絶対に離れない、ずっと隣りにいてくれる。

  わたしから何をしたわけでもなく、伝えたわけでもないのに

  そう思い切ってた、甘えてたんだよ」



首をふるなぁちゃんを無視して

わたしは言い返しもさせないまま話し続けた



ゆう「わたしは、、なぁちゃんのことが、、ずっと好きだったことを、、

  失って気づいた、、でも、行動できなかった、、

  大人になった今でも、何もできずにただ隣にいるだけ、、

  わたしはただなぁちゃんの隣にいるだけじゃなくて、一緒に幸せになって

  ずっと隣りにいたい、、」




言葉をつまらせながらも伝えた言葉は


静かに教室に吸い込まれていった。





もう遅かったかな、そう思いかけて意識をなぁちゃんに向けようとしたとき、


気づくと、なぁちゃんの顔が目の前に、そして、






音もなく、唇に触れた





驚いて、すこし体が飛び跳ね、椅子と床が擦れる音

だけど離れない唇は

なぁちゃんの片手が私の頭を抑えているからだろう





5秒?10秒?


短くも長くも感じたその時間がおわり

ゆっくりと離れるなぁちゃんと目が合い、


目がなくなるほどのクシャッとした笑顔になったなぁちゃん




その笑顔に意識が吸い込まれそうになった









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