なぁ「ここからの景色が、一番大好きでした」






黄昏るなぁちゃんの言葉に


過去の記憶から、引きずられるように現実に戻った





ゆう「いつもそこで外見てたもんね」




なぁ「耳をすますと、外で体育してる人の声がして、風とか、鳥とか、

いろんな音が好きだった」




外を見ながら話すなぁちゃん



あの時より



キレイさが増して、絵になる




ふとこっちを振り向いて


なぁ「ゆうちゃんも、ここに座って見てみなよ」



そういって席を離れて私の手を引く


久しぶりの景色、わたしは同じように頬杖をついて



外をみる






部活の子達の声がして、校庭がよく見える


目を閉じると、教室の匂いがよくわかり



さらに昔のことを思い出す






いつの間にか前の席に座り


こちらを見つめてるなぁちゃん





なぁ「この景色はゆうちゃんの思い出がいっぱいなんですよ?」



ゆう「私の思い出?」



なぁ「外を見て、今日ゆうちゃんとなにしようかなとか、


ゆうちゃんと喧嘩したときは、どうやって仲直りしようかなとか


もう空を見ればゆうちゃんの顔だって浮かび上がるほど


思い出がたくさんあるんです」







すこし恥ずかしくなり、また外に目を移すと



カップルの生徒が校庭を歩いていた





なぁちゃんを方へ目を移すと


なぁちゃんもカップルの子たちを見ていた





あのとき、なぁちゃんは私たちをここから見てたんだろうか


見て何をおもったんだろうか






逆の立場なら、もう、みたくなくて離れるかも。








ゆう「ごめんね、なぁちゃん」





私の言葉は


静かな教室に吸い込まれていった。











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校庭を歩くカップルを見てると


あの日の光景が鮮明に思い出せる






それほど悲しい記憶







でも今は隣にゆうちゃんがいる



あの光景とはもう違うんだ







ゆう「なぁちゃん?」



なぁ「ゆうちゃん、、あのときは自分に自身がなくて、言えなかったことがあるんだけど、、、」