なぁ「なつかしいね~、あれから何年!?」
ゆう「年取った数なんて数えたくないよ~!」
5階建て校舎で、一番上の5階
まさに最後の高校生を過ごした階である
身長も伸びてないのに、なぜだか小さく感じて
「大人になったなぁ」
なんてひとり心の中でつぶやく
少し長い廊下を歩くと1年間過ごした教室があって
自然とゆうちゃんとわたしは教室の中へ入った
ゆう「懐かしいね」
なぁ「うん、なんか高校生にもどったみたいだね笑」
この教室でのゆうちゃんの思い出は春から夏までしかない。
夏以降は離れていたから。
でもしっかりゆうちゃんとの思い出もある教室だ。
一番後ろの窓際の椅子に座って、頬杖を突きながら
オレンジに染まった校庭を見渡した。
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頬杖をついて外を見るなぁちゃんをみると
一気に懐かしさが込み上げてきた
学生のときはいつもいつも
頬杖を付きながらたそがれるなぁちゃんがいた
その姿はきれいでかっこよくて、
でもなんとなく邪魔しちゃいけないような雰囲気で
いつも少し遠くから
なぁちゃんを見つめてキャーキャー話している女の子たち
そして男の子もちらほら、なぁちゃんをチラ見して
密かに恋をしてるような表情
なぁちゃんの隣にずっといたからわからなかった
離れてようやく、他の人達のなぁちゃんへの視線が気になるようになった
夏が終わったあの日から
ここぞとばかり、黄昏るなぁちゃんの机の周りには人が多くなった
私が入れるスペースはなくなったんだ
入ろうとしても、入れない
寂しさ、そして孤独感、嫉妬
遅すぎる気づきに私はあの夏のことを後悔した