「暑さもかなり落ち着いてきたし、
ちょうどいいかと思って」


続いて飛鳥が言ったその場所はお付き合いする前に一度来た海だった。


「潮風が気持ちいいね!!」


程よい潮風に吹かれながら太陽に照らされた
海面に目を細める

ふと隣を見ると温かい眼差しで私を見つめる
飛鳥の姿が目に入った

「そんなに見られると照れるよ…」


「ははっ…いい加減慣れてくれないと
困るなー…」


そう言って更に顔を近付けてきた飛鳥

優しいのにたまにこういうイジワルを
するのが彼女のギャップだ。

「そうだ、近くのカフェで飲み物買おうか」


「それって、あの綺麗な店員さんが居るお店?」


うん、そこって言って私の手を優しく掴み
近くのお店へと歩を進めた


お店のドアを開けるとカランカランと
鈴の音が鳴り、音に気付いた店員さんが
ひょこっとレジカウンターから顔を覗かせた


「いらっしゃいませ……あっ!!
以前いらっしゃいましたよね?」


どうやらカウンター下にあるコーヒー豆を
取っていたのであろう店員さんは
私たちの顔を見てすぐ嬉しそうに笑った


「よく覚えてますね」


「勿論ですよ、とっても綺麗で可愛らしい
お二人を忘れる訳がございません」

飛鳥が少しばかり驚いていると店員さんは
恥ずかしげもなくそう答えた


「今ちょうどお客さんが居ないので貸切ですよ?今日は店内で過ごされますか?」

「あ、じゃあそうします。
菜緒いいかな?」



「うん、勿論」



以前頼んだものと同じ飲み物をオーダーして
2人掛けソファーへと座った


店員さんの名前は山下美月さんで
本当に名前の通り綺麗な女性


何というか…飛鳥の隣に並んでも
負けないぐらいの美貌を持ち合わせてる…

オーダーを聞きながら楽しそうに
お話してる2人の姿を見て悔しいけど
そう思った


「お待たせいたしました」


私たちの飲み物をテーブルまで
運んできてくれた山下さんは目の前に
飲み物を置いてすぐレジの方へと
捌けていった


「山下さん綺麗だよね」


「ん?んーそうだね」


「飛鳥とお似合い」


「え?どうしたの急に」


「んーん、別にさっき2人で話してるところ
見て思ったから」


なんか子どもだなぁ…自分…
言っておいてショックを受けた


ふと飛鳥を見るとこっちを見てなぜか
ニヤニヤした表情を浮かべていた


「何でニヤニヤしてるの⁇」



「いや…ヤキモチ妬いてくれて嬉しいなーって」


「なっ!?」


こっちは落ち込んでるっていうのに!


「でもね、安心してよ私が愛してるのは
菜緒だけ、1番とかそんな簡単なものじゃなく
菜緒しか愛せない」


オンリーワンだよ。だなんてサラッと
言っちゃうもんだから私が恥ずかしくなって
顔を背けて飲み物を飲んで紛らわした


「照れちゃって、可愛い」


何でこの人はこうも余裕なんだろうか…



「ねぇ…家出る前にお母さんに何を言われたのかやっぱ気になる」

話を逸らそうと別の話題を振った

「流されちゃった……
んー、『菜緒のこと一生大事にせんと
許さへんからな。』って言われたよ」


「えっ!⁇そんなこと言われたの!?」

お母さんめ、帰ったら文句を言わなきゃ


「だからこう言ったんだ
必ずしも幸せにします。
任せてください。って」


「ッ……///////」

茹でダコだー!なんて大笑いしてる
飛鳥を見て


私はとんでもない人を恋人にしてしまった
かもしれないと改めて思った。





でも………私も同じ気持ちだよ?



その言葉はまた今度飛鳥に伝えよう。













飛鳥編ーendー