私には忘れられない人が居る。


それは…数年前あるイベントで知り合った
心優しき人。


あることがきっかけでその人とはもう
一生会うことはないと思う…。


でも、思い出すんだ。
あの頃の私達を…
一緒に過ごしたあの瞬間を…
かけがえのないあの時間を…















大雨が降っていたある日
私は友梨奈の家に遊びに来ていた
外は土砂降りで電車も止まってしまって
帰れる状況じゃない為、泊まらせて
もらう事になった。


「先、お風呂入っちゃっていいよ」


「あ、うんありがと」


「はい,これパジャマとこの前
置いてった下着ね」


「良かった〜…下着類置いていって」


「まぁよく泊まってるからね」


そんな風に笑う友梨奈は本当に可愛い





お風呂から上がると私が好きな
温かいココアを淹れてくれていた


「はい,これ好きでしょ?」


「え…ありがと!」


「はい、ここ来て!」


「え?」


ベッドの一角をトントンと叩き
早くここに座れと言わんばかりの目で
私を見つめてくる

「髪の毛私が乾かすから、ココア飲みな」


「そんなそんな!いいよ!」



「ココア冷めちゃうよ?」


「でも…」


「…迷惑…⁇」


「ゔっ……」


そんな目で表情で見られたら断れない
でしょうが…


「じゃあ…お言葉に甘えて…」


「ふふっ…おいで」


ドライヤーの音と共に友梨奈の鼻歌が
聴こえ、優しく私の髪の毛を乾かして
くれてるお陰か凄く居心地が良い。


この子歌も上手なんだよなぁ…。


大好きなココアと大好きな人の歌声に
大好きな人に髪の毛を触れられ
多分私は今世界一幸せ者なんだろうな…。



そう…私は友梨奈が好き。
勿論恋愛的な意味で。

それにちゃんと気付いたのは最近。




だからかな、ちょっといつもより
緊張しちゃうのは。







ドライヤーの音が消え、
もう乾いたのか…と少し残念な気持ち
を抱えたまま友梨奈にありがとうと伝える



「んーん!じゃあ私も
お風呂入ってくるね!」



「いってらっしゃい!」



あの子は多分私の想いに気付いてない、
だって鈍感中の鈍感だから。


それで良い…それでいいんだ。




「上がったー」


「ん,おかえり」


「うんただいまー」


やばい結構見慣れてるはずなのに
濡れ髪姿の友梨奈を直視できない。


変に色っぽく見えてしまう…。


うぅ〜…ダメだ…。


やっぱ私おかしいや…。




呑気に髪の毛を乾かしてる友梨奈を見て
ふと冷静に考える



このまま気持ちを伝える?
いや,それはやっぱやめた方がいい?
でも気付いてしまった以上、想いが
溢れるばかりで辛くない?
この関係が壊れる方が辛いよ。


そんなことをずっと頭の中で自問自答
していたらスキンケアまで
終わったのか不思議そうに私を見てる
友梨奈と目があった


「ん?」


「あ,いや何かずっと険しい顔してたから
どうしたの?」


「あー,いや…」


返事をしようとしたその時外で
大きな雷が鳴った
マンションが揺れるぐらいのとても
大きな雷が。



「っ!?!?」


私は雷が大の苦手だ…。


怖くて固まっていると
友梨奈はすぐに隣に来てくれて
私の肩を抱き締めてくれた



「大丈夫、私が居るからね」



私を安心させようとずっと肩をトントンと
優しく叩く


「うん…ごめん…」


「謝らないでいいよ、
私は雷平気だけど、苦手な人は
苦手だもんね」


「うん…ちょっと怖くて…」


「うん、笑ったりしないし、
とりあえず今はイヤフォンつけて
好きな音楽聴く?」


「んーん、一個わがまま言ってもいい?」



「わがまま⁇いいよ?」



「横になって私を抱きしめて欲しい」



「………それは…腕枕ってこと?」


「うん……」


「分かった、それで理佐が安心して
眠れるのなら」



一か八かで聞いたのをあっさりと
聞き入れてくれたことに少し驚きつつ
一緒にベットで横になり友梨奈の
腕の中に包まれる

「ごめん…変だよね、こんなこと言って」


「んーん、大丈夫だよ。
気にしなくていいからこれで
安心出来るなら」


なんでこの人はこんなにも優しいんだろ…



そりゃ好きになるよね…。


出会った瞬間から何だか初めて会った気が
しなかった…だから好きになるのに
そんなに時間を要さなかったんだろうな。

初めて同性の人を好きになって、
それでもこの人から離れたくなくて
自分でもどうしたいのか分からない…。




好きな人の匂いに包まれて
好きな人の息遣いを感じながら
私は眠りに落ちた。



























なんで今になってあの日のこと
思い出したんだろう。


あーそうか最近ずっと雨ばっかの日が
続いてるからかな…。



入院した時も毎日のように来てくれて
困ったり辛かったりした時は
すぐに駆けつけてくれてそばにいてくれて
何でもない話を真剣に聞いて優しく
笑ってくれて、自分でも気付いてない
辛さや寂しさを察知して手を差し伸べて
くれて…あんな人はもう後にも先にも
現れないだろう…。



完璧すぎるあなたは自分を
蔑ろにしがちだから、もっと
自分を大切にして過ごしてたらいいな…。



あの時あなたから告げられた
もう会えない。の一言は今でも
私を苦しめている。


そりゃもう何年か経ってるから
苦しさは軽減してるけどさ。




でも,一度でいい…一度でいいから




声を聞かせて私に優しく笑いかけて
くれませんか………⁇⁇











なんてね…。












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モノプリシリーズの続きじゃなくて
すみません!



ちょっと私の体験談を小説風にアレンジ
しました!🤣


まぁ何回か過去に出てきた友人ですね。

元気に過ごしてるかなぁ……。



ていうことで今度こそ次回は
アナザーストーリーの続きを出します!


もう少々お待ちを!!!



ynke