「今日はクリスマスか…」
この独り言は雑踏の中へと
消えていくだけだった
「まぁ私には関係ないし〜
とりあえず帰ってビールでも飲まなきゃ!」
定時を過ぎて紺色に染まった空
キラキラと輝く街中では見飽きる程の
恋人たちの姿があった。
私のように一人で歩いている人なんて
あまり見かけない
仕事帰りにでも恋人と過ごすってことか…
「クリスマスケーキは如何ですかー?」
「寒そう…」
洋菓子屋の前でサンタの格好で
呼び掛けをしている
1人の女性にほんの少しばかりの
哀れみの視線を送っていたら
パチっと目があってしまった。
「ゲッ…」
「あの!!ケーキ買って行きませんか?」
「いや,独り身なので…」
「ショートサイズもあります!」
「クリスマスに一人でケーキって
ちょっと虚しくないですか?」
「そうですか?
一人でもここのケーキを食べて
笑顔になってくれただけでも
私はとても嬉しいです」
「そりゃ貴方はそうかもしれないけど」
「それに……お姉さんは一人じゃない
ですよ」
「え?私が嘘をついてるとでも?」
「今からでも私と一緒にクリスマスを
過ごすってどうでしょう⁇」
「はぁ!⁇」
何言ってるのこの人は?
寒さで頭をやられた?
「私もケーキを買ってくれるように
呼び掛けをしろってこと?」
「そうじゃないです!!
………実は私お姉さんのこと
ずっと前から知ってるんです」
「は?私は知らないけど」
「そうでしょうね…
お姉さんが通勤する時も帰宅する時も
ここの前を通るたびに私が一方的に
目で追ってただけですから」
「………」
「ははっ…気持ち悪いですよね?
分かってます、だけど一目惚れって
そう簡単に断ち切ることってできないん
ですよ?」
「いつから…」
「んー,もうかれこれ1年以上ですかね?」
「そんな前から…」
「このお店私の両親が営んでたんですけど
去年の秋に不慮の事故で亡くなってから
私が引き継いで…って
こんな暗い話をしたいわけじゃなくて!
そんなときに貴方を見かけてずっと
このチャンスを伺ってたんです」
「でも、何で今?」
「この格好してれば少しは
見てくれるかな⁇って思って」
へへっと照れ笑いするこの人に
ほんのちょっと心がときめいた
何だろう⁇案外綺麗な顔立ちしてるし…
って私は女の人を好きになったことなんて
ない!!!
「やっぱり嫌ですよね?
ごめんなさい、今ここで迷惑だって
言ってくれたらキッパリ諦めます。」
「あー!やっぱ嘘!
キッパリ諦めることは出来ないから
時間はかかるかもしれないけど
お姉さんのことは忘れますから」
明らかに落ち込んだ表情を浮かべる
彼女の姿を見て
「まぁ、クリスマス一緒に
過ごしてあげてもいいよ?」
「え!⁇⁇」
「何をそんなに驚いてるの?
貴方から誘ってきたんでしょ?」
「そうだけど…」
「で、過ごすの?過ごさないの?
どっち?」
「過ごします!!!」
「ちょっ!声が大きい!」
「あ,すみません…」
「ふっ…貴方ってコロコロと表情が
変わって面白いね」
「それは褒めてますか?」
「もちろんよ」
「嬉しいです…」
「ッ…//////」
何この子こんな綺麗に微笑むことも
出来るわけ?
私やっぱりおかしい…
そうだ、クリスマスだからって
気分が上がってるだけ、きっとそう。
別にこの子に一目惚れしましたなんて
言われたからじゃない。
「今すぐ店じまいしますね!
その間中で待ってて下さい!
寒いでしょうから!!」
「え?ケーキは?」
「実は結構売れてて後一個だけなんです」
「え!⁇それなのに呼び掛けてたの?」
「最後の一個はお姉さんと食べたかった
から…だから勝負に出たんです!」
「勝負に出過ぎよ…」
「へへっ…」
何か、変に真っ直ぐなこの子のことを
本気で好きになるのはまた後の話。
何ともないクリスマスもこうやって
特別なものになるなんて
ちょっと前の私に教えてあげたい。
この奇跡の夜をこの先もずっと
大事に思い出に残し語り継いでいこう。
Happy Merry Christmas!!!!
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どうも皆様。
毎年恒例クリぼっちのynkeでございます。
このお話の登場人物は誰なのか?って?
さぁ?それは貴方にしか分からないこと
ですね〜…。
それでは、Merry Christmas
素敵な夜を…。
ynke