私は七瀬が好きだ。


だけど、七瀬は私が嫌いなのであろう。



だって……



「ゴホゴホっ……辛っ!」


打ち合わせで使うカフェで
スタッフさんと盛り上がっていたら
いつのまにか飲み物に辛い何かを
入れられていた。

勿論犯人はこの子しかいない。


「ちょっ!大丈夫ですか⁈白石さん!」


「ゴホッ…だ、大丈夫です…」

慌てるスタッフさんを横目に
隣に座っている七瀬を見ると
ツーンと毅然とした態度で座っていた。



というわけで私は七瀬に嫌われている。






七瀬がその気なら私だって…。









「何やってんだ私…。
ヒールに画鋲って…もうイタズラの
度を超えてるでしょ」


七瀬が衣装で使うヒールに
画鋲をザァーッと入れていたんだけど
急に我に返って今に至る。



「戻そ。」


やっぱどんなに嫌われていても、
好きな人を傷付けたくないってのが
私の想いである。


無関心よりはまだマシだろうし…。

















ど、どうしよ。この空気。

今は七瀬と2人きりで楽屋にいる。



七瀬も何を考えているか分からない
表情をしながら窓の外を見ている。

「あ、七瀬さん!」

「おー!与田ちゃん、どうしたん?」

と楽屋へやってきたのは
七瀬のお気に入りの後輩である与田ちゃん
違うスタジオで撮影があるらしい。


ふぅ〜と安心するも、少しだけ
この2人の関係性にヤキモチを
妬いてしまう。


「あ、私もそれ好き!」


シーン…。


あ、あれ?やっちゃったパターン?
無理矢理過ぎた?


「あ、えと,白石さんも好きなんですね!」

馬鹿野郎!自分!
後輩に気遣わせるなんて
ダメダメだなぁ、もう!


七瀬の顔もまともに見れないよ。

だってさっきの表情…流石に
心が持たない…。



「え、えっと…私は飲み物でも
買ってこようかな?」

そそくさとその場を去って
自販機のあるロビーへと出た





何でこうなったかなぁ…?

前までは普通に仲良かったと思うし。
七瀬も私のこと勘違いじゃなければ
慕ってくれていたはず。


はぁ…とため息


「幸せ逃げちゃうよ?」


「っ!?びっくりしたぁ…かずみんか
与田ちゃんと撮影?」


「あはっ!ヤッホ!
そうそう!んで?どうしたのさ?」


「んー?何でもないよ」


「うわ、出た。まいやんの
何でも溜め込む癖!良くないぞ!」

「本当に何でもない!
ありがとう、かずみん」

と自分なりの精一杯の笑顔を向けると
かずみんはそれ以上聞いてくることは
なかった。

「かずみんは本当に優しいなぁ…」


「え?」


「え?」


「いや、声に出てたけど」


「あ、嘘っ!?」


「ふふ…ありがとう、まいやん」

と微笑むかずみんが何故だか
綺麗に見えてちょっとだけドキッとした。

そうだよね、キャラがキャラだけに
あまり彼女の綺麗さに目を向けて
なかったけど、改めて見ると
美人さんだなぁなんて思う。


「ん?何かついてる?」


「えっ!?んーん!何も!」


じーっと見つめてたのが不思議だったのか
かずみんは困ったように笑った。



「ちょっとまいやん借りんで」


「あ!なぁちゃん!…って行っちゃった」




どこからか現れた七瀬に腕を引っ張られて
急な展開に頭が追いつかず
七瀬の後を追うしかなかった







ドンっと七瀬から壁に手を付かれ所謂
壁ドンというやつをされていた。


「あ、あの…七瀬…⁇」


「ムカつく」


「え?」


「腹立つねん、まいやん見てると」


「えっと…ごめん…」


やっぱ直接言われると
心に来るな〜…


「あんたは…ななだけ見てればええんや!」


と私の唇に七瀬の唇が重なった


「⁈⁈⁈」


「…何かずみんに見惚れとんねんアホ」


「え、ん?え?」


「スタッフさんともななそっちのけで
盛り上がって,後輩たちにも
優しくし過ぎや!」


エ。ドユコト?

「はぁ……嫉妬すんのも疲れたわ」


「し、嫉妬…⁇」


「おい、白石麻衣」


「あ、はい!」


「今日からあんたはななのやから
他の人らに目移りなんかしたら許さへんで」

「それはつまり…」


「彼女にしたるって言うてんねん!」


「い、いいの?
だ、だって!七瀬私のこと嫌いじゃ…」


「鈍感、あんたがななに
嫉妬させるのが悪いねん!!
ドアホ!」


「すみません〜!!」


な、七瀬ってこんなキャラだったっけ?


「ななをとことん惚れさせたんやから
責任取ってもらうで。」


「な,何を⁇」


「これからずっとななの隣におること!!」


「……へ?」


「返事は!?」


「は、はい!」


満足そうに笑ってから
もう一度私の唇にキスをした七瀬


これって両思いってことでいいんだよね?





不器用すぎる七瀬の愛に気付かなかった
私は本当に罪な人間です。










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Y&Aさんリクエスト
心のモノローグをモチーフにした小説
MVの方を参考にさせて頂いたのですが
もうほとんど世界観を無視してしまって
ますね…苦笑
すみません!!!!!!!!!

リクエストありがとうございました!