花火大会から数日経った今日
衛藤先生と居酒屋へ来ていた。

衛藤先生の行きつけだと言うこの
居酒屋は以前一度だけ来たことがある
勿論衛藤先生に連れられて.



「あ、カシオレで」


「じゃあ,私は…いつもの生!」


店員さんも衛藤先生の頼むものを
知っていたのか2つ種類のある生ビールの
メーカーは聞かずに個室から出て行った


「七瀬ちゃんと呑むのいつぶりかな?
先月の夏休み前だったよね」


「確かそうですね」


「8月も中盤か〜…早いね」


「失礼しまーす,カシスオレンジと
生ビールです」

店員さんがドリンクを持って
部屋へと入ってきた

「ありがとう!愛未ちゃん!」

愛未ちゃんと呼ばれた店員さんの
ネームプレートには能條と書かれていた

「ウィッス〜!今日も飲み過ぎないで
下さいよー?」


「分かってるって〜!!」


「それじゃごゆっくりー」


と忙しく個室から出た能條さん

「仲良いんですね、以前も他の
店員さんと親しげに話してましたよね」


「まぁ,かれこれ四年ぐらいここに
通ってるからね〜」


それより乾杯しよ!と目の前のお酒に
早く口付けたくてうずうずしている
様子だったのでグラスを軽く当てて
私もカシスオレンジを一口飲んだ


「んー、やっぱ美味しい!」


と早くも半分以上飲み切った衛藤先生

「あ、そうそう…七瀬ちゃん」


「はい」


「恋愛ってさ、難しいよね」


急に真面目な顔をして唐突なことを
言い出した衛藤先生の意図が分からず
頭の上にはてなマークを浮かべていた


「好きになっちゃったら止められない、
相手が好きになってはいけない人
だとしても…」


「えっと…」


私の目をジッと見つめる衛藤先生の
瞳から逃げられず黙っていると

「…七瀬ちゃん、例え相手との
今の状況がグレーゾーンだとしても
周りに知れ渡ったらそれは確実に黒になる」


噂って一人歩きでどんどん大きくなるからね。
そう言って残りのビールを飲み干した
そんな衛藤先生の姿を見ながらも
頭の中は軽く焦っていた。

「あの…それって」


「あの日見かけたのが私で良かったよ」


「え?」


「花火大会の日平手さんの
マンションから二人で出てきたのを
見ちゃったの」


「…」


「あ、もう一人小綺麗な女性が
現れたところも見た」


「…」


「でもあの場面を私ではなく
他の生徒が見ていたらきっと
噂が立っていたでしょうね」

「でも、私は…」


「分かってる、万が一の為に平手さんは
マンションの前でバイバイしたってことも」


「私は一応2人の関係を知っているから
やましい事がないのも分かってはいるけど
他の人はそうは行かないからね」

「……」


「つまり,言いたいことは…
もう少し周りに警戒心を持った方が
良いよってこと」


「すみません…」


「んー、まぁ付き合ってないとは言え
2人の思いは知っちゃってる訳だからね〜
難しいよね」


「ッ…」


「ふふ…そんな顔しないの!
ごめんね?怒ってる訳じゃないのよ?
寧ろ2人を応援してるし、平手さんも
簡単に手を出さない紳士的な子だって
信じてるから」


ほら、飲も?と店員さんを呼んで
衛藤先生はドリンクのお代わりを
頼んでいた




そうだよね…自分は教師で平手さんは
一応生徒…。

自覚が足りなかった。



「あ!居た!」

「ごめんね?お邪魔します」

「お、来たね!」


1人暗い気持ちで居たら
入ってきたのは松村先生と菅井先生
この2人は隣のクラスの担任副担任
菅井先生が担任で松村先生が副担任


「ごめんね〜⁇呼んじゃった!」

と衛藤先生は楽しそうに言った。


「隣いい?西野先生」


「あ、どうぞ」


私の隣に座ったのは菅井先生
勿論向かいの衛藤先生の隣に
座ったのは松村先生


「よし、4人揃ったし、
楽しく飲み直そうか!」


衛藤先生のその一言で長い夜が
幕を開けた。

きっと私に気を遣って呼んでくれてたんだな…

目の前でぐびぐびお酒を飲んでいる
衛藤先生に心の中で頭を下げた。