歩き出した梨加の背中が
追いかけて来ないでと言っている
ようで追うことはせずに
姿が見えなくなるまで寂しそうな
背中を見送ることしか出来なかった。
ごめん,梨加…。
心の中で呟いて家へと踵を返した。
家に着きしばらく待っていると
エントランスからの呼び鈴が鳴り
確認もせずに許可ボタンを押して
玄関前に出て西野先生を待つ
「あ、平手さん!」
エレベーターから降りてすぐ
フニャッとした笑顔で
駆け寄ってきた西野先生を迎え入れた。
「どうぞ」
「お邪魔します…」
「ふふ…何緊張してるんですか?」
「だって、2度目だし…
前はそれどころじゃ無かったから…」
「まぁ、そんな緊張せずに
寛いでください」
「うん!ありがとう」
取り敢えず麦茶を出して
ありがとう。と受け取った
先生は周りをキョロキョロしだして
「なんか、高校生で一人暮らし
なのに凄く綺麗にしてるんだね」
「んー、なるべく綺麗にしてはいます。
それにたまにお節介野郎が来ますんで」
「ふふ…お姉さんのこと?」
「そうです」
「なんだかんだ言って仲良いよね」
「悪くはないですね、何気に
姉ちゃんの作る料理とか好きですし、
あ、これ姉ちゃんには言わないで
下さいね?調子乗るとめんどくさいんで」
「ふふっ分かりました」
「あ、そうだ、先生何か食べましたか?」
「んーん、食べてないよ?」
「屋台で買うか迷ったんですけど、
家にある食材で軽く何か作りますね?」
「え!いいよいいよ!そんな!」
「でも、」
「あ!じゃあ私が作る!」
「え⁇」
「お姉さんに対抗して平手さんに
私の料理食べて欲しい!」
………可愛い。
「それじゃお言葉に甘えてお願いします
冷蔵庫にある食材何でも使ってください」
わかった!と言って意気揚々と
台所へ向かった先生
スマホを見ると守屋から
(馬鹿野郎、梨加ちゃん泣いてた!)
(梨加ちゃんは何でもないって
言ってたけど何となく予想はついてる、
明日話聞かせて?
別に怒ってるとかじゃないから!)
分かった。と返事を返すとすぐに
守屋からの返信が来た
(今はこっちも盛り上がって梨加ちゃんも
楽しそうにしてるから
気にしないでてちも楽しんでね?)
ありがとう。と返すと
スタンプが返されたのでそのまま
スマホを閉じ台所へ向かうと
まな板で野菜を切っている
先生の背中があった。
2人で暮らしたりすると
こんな感じなのかな、
と自分らしくない未来予想図を
描きながらその背中を眺めていると
急に愛おしさが込み上げて
「わ、びっくりした〜」
先生のお腹に腕を回して後ろから
抱き寄せた
「危ないよ?どうしたの?」
「何かこうしたくなりました」
「えー?このままだと料理できないから
離してくれると助かるかな?」
困ったような、でも少し嬉しさが
滲み出てる声色に腕を離して
横に立って先生の顔を見つめる
「え?な、何?」
「んーん、可愛いなぁって思って」
「も、もう!!リビングで
待ってて!」
顔を赤くして肩をペシペシと叩いて
きたので仕方なくリビングに戻って
しばらく待っていると美味しそうな匂いが
リビングに立ち込めてきた。