先生と花火を見る約束をしてから
数日後部活を終えてウチはある場所に
足を運んだ
「いらっしゃいませ!…あ、平手先輩!!」
向日葵のような笑顔を咲かせながら
ウチに駆け寄ってきた今泉は
どうしたんですか?と尋ねた
「あー、ここってさ蓮華草って
売ってたりしないよな…⁇」
「蓮華草ですか?ありますよ!
プランターと鉢植えで育ててるんです!
店長は季節問わず花を育てるのが
趣味みたいなものですから…笑」
「そうなんだ」
「あ、でも…まだ芽も出てなくて…
花が咲くまで一カ月弱かかります…」
「丁度いいや…」
「え?」
「あ、こっちの話.
それ売ってくれる?」
「ちょっと待っててください!
店長に聞いてみます!」
と裏の方に向かった今泉をしばらく
待っていると少しタレ目気味の
可愛らしい女性が出てきた
「こんにちは平手さん,
ここの店長をしてる
長濱ねるって言います」
見た目通りのおっとりとした口調で
自己紹介をした長濱さん
「あ、こんにちは」
「佑唯ちゃんから聞きました。
蓮華草…まだ全然育ってなくて
今購入するとなったら
平手さんがお世話をすることに
なりますけど、いいですか?」
「はい、構いません」
「分かりました、もしかして…
どなたかに贈るつもりですか⁇」
「えっ」
「いきなり失礼しました。
見た所花に詳しそうだなって
思って,蓮華草の花言葉
知ってます⁇」
「はい…知ってます」
「え、私知らない!」
「佑唯ちゃんは今勉強中だもんね」
と微笑んだ長濱さんは
蓮華草の花言葉を今泉に教えた。
「わぁ、何か素敵ですね!
遠回しの告白みたいにも
捉えられるし…」
と今泉は急にハッとした顔を浮かべて
「もしかして、平手先輩…
誰かに贈るって事は…
贈る相手のこと…」
「まだ誰かに贈るって言った覚えは
ないんだけど…」
「ふふ…佑唯ちゃん早とちりしすぎ」
「え、贈らないんですか?」
「内緒」
「気になる…」
「佑唯ちゃん平手さんのこと
好きなんだ⁇」
「んなっ!違っ!
あ!いらっしゃいませ!
わ、私他のお客さんの相手
してきます!」
と妙に忙(せわ)しく今泉は他のお客さんの
対応をしにそそくさとこの場を去った。
「平手さんも大変ですね。」
「え?」
「ふふ、何でもないです。
プランターと鉢植えどちらに
なさいますか?
もし、誰かにプレゼントしたいって
なったら鉢植えの方がいいかと」
「あ、じゃあ鉢植えの方でお願いします」
「承知致しました」
丁度両手に収まるほどの
持ち帰りやすいサイズだった。
「それでは一応育て方の説明を
書いてあるメモも入れておきましたので
よければ参考にしてください」
「ありがとうございます
わざわざ」
「いいえ、またお越し下さい。
きっと佑唯ちゃん喜びます」
「え?何で今泉が⁇」
「あらら…鈍感な人ほど
罪は重い…」
「はい?」
いいえ何でもありません。と
柔らかな微笑みを溢し
ありがとうございました。
と一礼してから長濱さんは
裏に戻っていった。
何だか,不思議な人だったな…
長濱ねる…。
ちゃんと綺麗に咲かせてやるからな.
まだ芽も出ていない蓮華草に
そっと宣言した。