誰よりも好きなのに、
誰も私の気持ちなんか知らない。

いつだって君だけを見ていた。

だけど、君にとって私は……。














「友梨奈おはよ!」


この澄み切った空に負けない笑顔で
挨拶をしてきた
そんな君から目を逸らして
私も挨拶をする。


髪の毛切ったんだ…。


「あ…」


何かに気付いた君の視線を辿ると
その先には君が慕っている男子がいた。


「挨拶してくれば?」


「んー、」


「ほら、早く」


「分かったよー!!」


とあいつの方へ向かい
様子を見ているとあいつが君の髪を触り
君は頬を染めはにかんでいた。



「ねぇ!聞いて!!
髪の毛切ったの気付いて褒めてくれた!」


「そう、良かったじゃん」


頬を赤く染めたまま私の所へ
戻ってきた君は嬉しそうに
あいつのことを話す。

私が言えなかったことを
あいつは簡単に言ってのける
あいつより先に気付いたのは私なのに…。


黒い感情を押し殺すように
目の前で未だに嬉しそうに
している君に微笑み返す。






そんなある日


「ねぇねぇ!聞いた?
守屋さんと志田君付き合ったんだって!」


クラスメイトの子が私達が
談笑している所にわざわざ伝えにきた。


思わず君を見ると俯いていて
はっきりと表情を確認する事が
出来なかった。


「そっか、そうなんだ…」


代わりにその子に返事をすると
呑気にお似合いだよね〜なんて
言ってその場を離れた.



その日1日君は無理して笑顔を見せて
過ごしていた。

「ねぇ、理佐…」

そんな君を見ているのが辛く
部活を抜け出して
放課後誰もいない教室でずっと
窓の外を見ていた君に声を掛けた。


「あ、友梨奈部活は?」


「抜けた」


「何してるの…」


「理佐が気になって…」


「あー、志田君の事?
守屋さんと志田君お似合いだよね。
美男美女って感じで」


そう言って無理矢理笑顔を見せた理佐

「笑ってんじゃねーよ」


「え…」


「私はそんな笑顔を見たくない、
今にも泣き出しそうな笑顔を
浮かべるぐらいだったら悔しいって
思いっきり泣けよ!」


「私は、本当に…あの2人が
お似合いだと思って…
私なんかより…っ…ずっと…っ…」


珍しく声を上げながら泣き始めた
理佐を今すぐにでも抱きしめたかった。

だけどそれが出来ないのは
弱っている理佐に漬け込んで
私の気持ちを押し付けてしまいそうで
怖かったから…

だからせめて君の隣で泣き止むまで
そっと背中をさする事しか出来なかった。







「っ…ありがとう、友梨奈」


しばらくして落ち着いた理佐は
目と鼻を真っ赤にしながら
少しスッキリした!と先程とは違う
笑顔を向けた.


「そう…」


「友梨奈が男だったら私絶対
好きになってたのに…」


「ッ……何言ってんの」


「あはは!冗談!!
だって私達…"親友"だもんね!」




と私が苦手だけど大好きな
笑顔を私に向けて君は言った。






そう私は君の親友で

君は私の…………








"親友"だから。