私はあれからいくつの恋をしてきたの
だろうか?
全然思い出せない…。
思い浮かぶのはいつも貴方の眩しい
笑顔だけ。
「てち…」
数年前
「ずみこ〜!」
「てち!どうしたの?」
「ん?一緒に帰ろうって思って」
夏休みが近いあくる日
一年生の夏から付き合っている
恋人の『てち』こと平手友梨奈が
私が所属しているクラスまで
わざわざ来て帰りを誘ってくれた
「あれ、今日部活は?」
「あれ!言ってなかったっけ!?
この前のインターハイで引退だってこと」
「何それーー!聞いてない!⁈」
「ご、ごめん〜!てっきり知ってる
のかと思ったよ!」
「まぁ…許す!」
「へへ!ありがとう!だからこれからは
ゆっくりずみこと過ごせるー!」
「勉強もちゃんとしないとね?」
「も、勿論…受験勉強もするよ…」
「うん!じゃあ帰ろっか」
2人で歩く帰り道の途中に
咲いている向日葵の花壇
てちは毎年その向日葵を見て
「向日葵=ずみこって感じがして
好きなんだ〜!」
って太陽みたいな笑顔を見せながら
言ってくれてたね。
そんな何気ない日々がとても幸せで
この日々がこれからもずっと続く
もんだと思ってた。
だけど…別れは突然で。
「てち…⁇」
付き合って2年の記念日
てちとデートの約束をして
待ち合わせをしていた。
信号の先で手を振ってるてちを
見かけて私も手を振っていた
信号が青になって渡ろうとした時
数メートル先の中学生ぐらいの女の子が
走りながら渡っていた
信号無視をしているトラックに
気付かずに…。
それを一足早くに見て気付いたてちは
全速力で走って女の子を突き飛ばした
勿論てちはそのトラックに轢かれる訳で
てちが撥ねられる瞬間は
時が止まったかのようにスローモーション
で今でも脳内で再生される。
真っ赤な血を流して目を瞑り
ピクリとも動かないてちを
呆然と立ち尽くして見ている私
意識がしっかりしたのは救急車が
来た頃だった。
私も救急車に乗り込みてちの血に
染まった手を必死に握りしめて
ずっと呼び掛けていた
「ずみ…こ…」
「てち!⁇てち!」
呼び掛けていたら目を少しだけ開けて
私の名を呼ぶてち
「ずみ……好き…だよ…?」
「私も好きだよ!だから!だから!
頑張って!もうすぐ病院だから!
お願い…置いてかないで!」
「…ごめ…ずみこ…幸せに…」
てちは最後まで言葉を発せずに
力が抜けたように目を閉じた。
「てち…⁇…待ってよ…冗談だよね?
てち⁇……てち!!!てちーーーー!!!」
ピーーーーーーと電子音と私の
泣き叫ぶ声が鳴り響いてる救急車
の中でてちは命を落とした。
それからというもの私はてちの居ない
生活を過ごすうちに恋とかどうでも
良くなって来るもの拒まずの
恋愛をして何とか保っていた。
だけど、貴方と過ごしたあの日々や
青空がずっと忘れられなくて…
結局長くは続かず今に至る。
そして今日はてちの命日。
勿論お墓に添える花はてちが好きだと
言っていた向日葵。
瞳を閉じ手を合わせる
その中で浮かんでくるのは
夏風に短い髪を揺らしながら
太陽みたいな笑顔を私に向けている
てちだった。
頬に雫が2つ伝う。
その時涼しい風が吹く中一瞬だけ
温かい風と共に懐かしい匂いが鼻を掠めた
すぐに目を開けて辺りを見渡す。
だけど誰も私の周りには居なくて。
もう一度墓に顔を戻す。
「てち…慰めてくれたの?」
「はは…そんな訳ないか」
帰ろうと立ち上がり
また来るね。
と声を掛けて歩き出す。
向かい側からある女性がやって来るのが
見えて軽くお辞儀をしてその人の横を
通った
「あの!」
後ろの女性から声を掛けられて
「私ですか?」
「はい、すみませんいきなり…
あなたは平手友梨奈さんの恋人の方
ですよね?」
「え、」
「私…あの時平手さんに助けて頂いた
中学生です。
あ、今はもう大学生ですけど…」
「あの時の………」
「はい、小林由依って言います。
一度貴方にお会いしたくて…
許されるとは思ってませんが
ずっと謝りたくて…私のせいで
平手さんは…」
その子は肩を震わせて俯いた
「…小林さんだっけ?
貴方のせいじゃないよ⁇
だから、過去に囚われないで…?
私も人のこと言えないけど…」
「でも…」
「それにその花…毎年供えてくれてたの
貴方だったんだ?」
「あ、はい…平手さんのご家族から
向日葵が好きだったと聞いて…」
「そっか…てちきっと喜んでるよ」
「あの!」
「ん?」
「私…勝手に平手さんのご家族から
今泉さんのことも聞いていたんです」
「え?」
「貴方がどれほど素晴らしい方なのかも、
平手さんと仲睦まじく写っている
今泉さんのお写真も拝見させて貰ったり。
ずっとお会いしたかったんですが…。
私から会いに行くのも気が引けて…
謝りたかったのも勿論ありますが
もう一つ理由があるんです。」
「理由…⁇」
「私に貴方をこれから支えさせて
頂けませんか?」
「はい?⁇」
「ごめんなさい!いきなり…
場違いだし、急だし…でも…私
本気です!これ、私の連絡先です。
気が向いたらでいいので連絡待ってます」
ペコっとお辞儀して足早にその場を去った
小林さん。
その後ろ姿が何故かてちと重なって。
1年後
「てち…今日はねゆいぽんと一緒に
来たよ!」
「平手さん…これからも平手さんの
代わりに私がずーみんを支えます!
見守って頂けると嬉しいです。」
「ふふ…何でそんなに堅いの」
「だ、だって…改めて来ると
ちょっと…」
「てちもきっと祝福してくれてるよ?
ね?てち」
すると去年と同じ温かい風とてちの
匂いが鼻と頬を掠め
それがゆいぽんにも伝わったのか
「そうだね。平手さん…ありがとう!」
これからはゆいぽんと一緒に
この先の人生を歩んで行くよ。
だから、てちも安心して見守ってね?
太陽のてちと向日葵の私。
太陽に恋している向日葵のように
私は上を向き続けるよ。
空高く上ってる太陽を見上げると
眩しく笑っているてちが見えた
気がした……。
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季節先取りで夏物を書かせて頂きました!
夏の花は向日葵だけじゃない
本当にこの歌好きで好きで!
切ない感じなのがまた良い!
平手さんを亡き者にしてしまい
平手さんファンの方々すみません!