ピピピピ…
ピピピピ…

うるさく鳴る目覚ましを乱暴に止め
目を開ける

「ん〜…何か…怠い…ゲホッ…」

咳も出るし鼻水も止まらない
頭もボーッとする

「ゲホッ…はぁ、一応熱測ろう…ズルッ」

ピピッと音が鳴り体温計を見ると
37.5℃あった。

「んー,まぁこれくらいの熱なら
大丈夫か…」

確か今日はダンスレッスンだけ
だったはずだし
それさえ乗り越えれば後は楽…。

でも、メンバーにはバレないように
しなきゃな…特に,ねるには


心配かけたくないし。








ガチャ

「おはよう〜…」

レッスン室のドアを開け来ている
メンバー達に挨拶をする

「おー!てち、おはよう!」

「ん、はよ、ぴっぴ」

「ん?何か鼻声じゃない?」

「あー、花粉だよ花粉。マスクしてても
やっぱキツイなー」

「でも、それにしては…」

「大丈夫だって!心配しすぎ!」

「それならいいんだけど…」

何か視線感じるけど気付かないふり
をして先生が来るまでイヤフォンをさし
音楽を聴きながら軽くストレッチをする。

ゲホッ…はぁ…ズルッ…」

周りにあまり聞こえないように
咳と鼻水を啜るがちゃんと咳ができない
のは結構キツイ。



そしてTAKAHIRO先生やアシスタント
の先生も着き早速レッスンを
始めるがうまく足に力が入らない


「平手⁇どうした?今日調子悪いな」

「すみません、気を付けます」

「まぁいい,ここら辺で一旦
休憩にしようか」


その言葉を合図に
皆自分の水筒やタオルを置いてある
場所に向かっていき
私も少し水を飲もうと歩き始めた
その時一瞬で景色が歪み
気付いたら倒れていた

皆が心配そうに声を掛けてくれてる中
私は意識を飛ばした

















今日のてちこ何か様子がおかしい…。
鼻声だし、マスクで隠れてあまり顔が
見えないけど心なしか少し辛そう。

愛佳と話してるけど無理矢理
笑っている感じがする。
あの鈍感な愛佳でさえも
不審がっているぐらいだから
きっとてちこは体調が優れないのだろう。

ジッと様子を見ていると
てちこはイヤフォンをさして
音楽を聴きストレッチを始めた
だけど…

うん。やっぱり何かおかしい!

「愛佳!」

「んー?どうした?ねる」

「てちこ今日どこか体調悪い気が
するっちゃん」

「あー、やっぱ⁇」

「愛佳が気付いてるってことだから
相当っさね」

「何か地味にdisられてる気がする」

そんな話をしているとレッスンが
始まりセンターで踊っている
てちこは足元がおぼつかず
さっきからミスばかりしている。

そんなてちこを見兼ねてか
先生が一旦休憩を入れた

バタンッ!と鈍い音がして
音のした方を見るとてちこが
倒れていた


「てち!」

「友梨奈!」

近くにいた愛佳と理佐が
てちこに駆け寄り理佐がてちこの
上半身を軽く持ち上げ支えた

「平手!」

TAKAHIRO先生が呼び掛けるも反応なし

「てちこ!」

息が荒く意識も朦朧としてる様子で
おでこを触るとすごい熱だった

「凄い、熱…」


「てち、そこまで無理してたのか」
愛佳もすごく心配そうにてちこの
手を握っている

オダナナがすぐにスタッフを
呼んできてくれて
てちこは担架で運ばれレッスン室
から居なくなった



「よし、気持ち入れ替えて
さっさと振り入れ終わらそう、
そして平手のとこに早く
行ってあげな」

TAKAHIRO先生がそう呼び掛け
皆力強く頷きレッスンを再開した





レッスンも終わり
寮組と寮組メンバーではないゆっかーと
梨加ちゃんが心配だからと言って
寮までわざわざ来てくれた。

何人かのメンバーでてちこの部屋に入る
鍵は事前にてちこから合鍵を
渡されていたからそれで入った。


「友梨奈…」

理佐が眉を下げて苦しそうにベットで
寝ているてちこに呼び掛ける

「てち、辛そう」

「マネージャーが言うには疲労と
ストレスからくる風邪だって
言っていたけど…点滴も打って
後は寝かせておけば大丈夫だって」

愛佳が言うとゆっかーが
てちこの病状を伝えた

「ストレス…疲労…」

小さく囁くとそれまでずっと黙っていた
梨加ちゃんがねるの頭を撫でてくれた


しばらく皆てちこの傍にいたけど
疲れているだろうし

「皆,今日はもう部屋戻って休んで?
てちこの看病はねるがするけん」

「でも…」

「理佐もせっかくゆっくり休める
日なんだからしっかり休んだ方がよかよ?
理佐まで倒れちゃったら元も子もないっさ」

「わかった…じゃあ今日はここら辺で
お邪魔するね。皆ももう出よう」

他のメンバーもうん。と頷いて
部屋を出た。

「それじゃ,ねるもゆっくり休んでね?」

「ありがとう、ゆっかー」

「また、明日」

「うん、またね!」

皆を玄関から見送りすぐ
てちこの眠るベットへと戻った

「はぁ…もう何でこうなるまで
無理してたんよ…てちこのバカ」

まぁ眠ってるてちこに言ってもな…。


取り敢えずおでこに貼ってある
熱冷まシートを貼り替えて
顔と首筋の汗を拭いてあげる
その間にも辛そうにてちこは唸っていた

「てちこ…早く元気出して…」

頬に軽く口付けし眠気が来たので
目を閉じた




















「ん…あれ…ここ」

あ、そっか…レッスンの途中で
倒れたんだっけ…。

「はぁ…コホッ」

ベッド脇を見るとねるが毛布も
掛けずに眠っていた

「もしかしてねるが看病してくれてたの?」

さっきよりは体も怠くないし
咳や鼻水もだいぶ治まっている

ねるに毛布を掛けてあげると
ねるがもぞもぞ動き

「ん〜…てちこ?…あれ!てちこ
起きとる!」

「うん、おはよう、ねる」

「もう大丈夫ね!?」

「うん、さっきよりだいぶマシだよ」

「もう!何であんな無理するとよ!!
皆も心配しとったけんね!」

「ご、ごめん…コホッ」

「まだ完治しとらんけんね、
ちゃんと寝とかんと!」

「う、うん」

「お粥作ってくるけん、
大人しく寝とくこと!!」

「は、はい…」

ねる…相当怒ってるな…。

まぁそうだよなぁ…迷惑掛けて
しまったんだし…。

結局足引っ張っちゃったか…。


「はぁーあ…」

「てちこー、お粥出来たけん
起きれる?」

「あ,うん」

「熱いけん気をつけて」

うー…ちょっとやっぱ
冷たい…。相当怒ってるな…。

「あのね,ねる…」

「何?」

「ごめんなさい、迷惑かけて…コホッ
でも、レッスン休むとそれも
皆に迷惑かけるかなって、
私が休んじゃうとフォーメーションとか
分かりにくくなるだろうし…。
まぁ言い訳に過ぎないんだけどね…
本当は皆に…コホッ,ねるに心配かけたく
ないってのが1番の理由なんだけど」

本当にごめん。と頭を下げる

「てちこのバカ…」

「ごめん…」

「倒れちゃったから本当に
心配したっちゃん!!」

「うん…」

「皆も心配でさっきまでてちこの
様子見ててくれてたっさ」

「そうだったんだ…」

「もう…無理しないで…ごめんね?」

「え?」

「無理させてたのねる達やけん,
無理矢理にでも休ませるべきだった」

「そんなこと…」

「ある!!…てちこ…もう
お願いだから、無理だけは
しないって約束して?」

「ねる…」

「はい。は?」

「は、はい!…コホッコホッ」

「もう…お粥…いい感じに
冷めとるけん、はい。あーん」

「あ、あーん…美味しい」

「よかった!」


その後もねるの看病のおかげで
次の日にはすっかり元気になった





「てちーーーーーーー!!」

「ゔっ…く、くるしっ!ぴっぴ
苦しい!」

「あ、ごめん」

収録待ちの楽屋に入るなり
ぴっぴから思いっきり抱きつかれた

「でも、本当に心配したんだからね!」

「うん、ねるから聞いたよありがとうね
ぴっぴ」

「友梨奈…今度無理したら許さないから」

「う、うん…さすが理佐様…」

「はっ⁇」

「すみません…」


メンバー達から沢山声掛けてもらって
私は何て良いグループに出会えたんだろう
って改めて実感させられた

ソファでふーちゃんと話してる
ねるのところに行き

「ん?てちこ?」

「ねる、昨日はありがとう」

そう言ってねるの口にキスを落とした



顔を真っ赤にしているねると
悲鳴や歓声をあげてるメンバー達を
他所に私はニヤリと1つ笑みをこぼした。

たまには甘えるのもアリだな…。




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葵さんリクエスト
ちゃんと書けてるか不安ですが
リクエストありがとうございました!