ynburrobell1985のブログ

ynburrobell1985のブログ

ブログの説明を入力します。

Amebaでブログを始めよう!
月のライン  8-2 ホテルの大きな窓ガラスを、キトは掃除していた。 日差しが肌に暖かい。 マリは捕まってしまったけど、キトには今、ナヤがいる。 毎日、午後には、畑の手入れをかねたデートだ。 キトはいつも以上に丁寧に、窓を磨いた。 そこから表を眺めると、ホテル入口へ続く、短い階段を、ゆっくりと上ってくる男を見つけた。 キトは急いでロビーへ向かった。 大きなドアが開き、男が入ってくる。 相変わらずの、黒いスーツに銀縁眼鏡。ラジだった。 「おかえり、ラジ」 キトは笑いかけながら迎え入れた。 「ただいま戻りました」 ラジの口元も笑っている。 ラジは本土と島を、行ったり来たりしている毎日だった。 マリと町長、そしてセドによる幻想花の流通をあばいたあと、本土で対策本部を立て、 警察官たちと一緒に、ノエル翌日の突入を計画していたのだ。 計画は念入りにと重ねられた結果、この島の評判を落とさないかわりに、 幻想花に関わっていた、全ての人たちの真相を隠す、という手段にいたったのだった。 幸い、町長を脅してデラの居場所を吐かせるという、当初の計画は無用だった。 町長は改心して、自ら居場所を教えたからだ。 しかし、いくら真相を隠してもらえたからといっても、罪は重い。 町長、マリ、セド、そしてロイの4人には、それなりの懲罰が与えられるだろう。 デラの組織を検挙したといって、ラジもすぐさま、警察から解放されることはなかった。 これからも正しい側の立場につき、二度とこのようなことを起こさないためにも、 島の警備を任命されたのだった。 午前中は本土の警察署。そして午後からは島の警備にと、 ラジはその身を使われることを、了承した。 島での主な活動拠点は、ホテル・モンフルールだった。 観光客のもっとも集う場所として、あてがわれた。 口に出しては言わないが、それを一番喜んでいたのは、キトだった。 落ち着いた大人のラジには、どんなことも相談できるし、 頭も良いので、的確なアドバイスもしてくれる。 ラジは手持ち無沙汰のように、両手をこすり合わせ、周囲を見回し、 そして手の平を広げて見せながら、キトに向かってこう言った。 「さて、お坊ちゃん。何か手伝うことはないですか?」 人気ブログランキング ☆ にほんブログ村 ☆ FC2 ブログランキング 言葉の波音 ...