またも久しぶりになってしまった小説のおはなし。


何度となく語った森博嗣さんの小説「女王の百年密室」「迷宮百年の睡魔」ですが、この百年シリーズは三部作だと言われていました。

で、ずっとタイトルに百年が付く新刊を探したりしていたのですが見当たらず、すべてのシリーズを繋げる核ともなるシリーズと聞いていたのでまだ出していないのかもなぁと思っていたら…



「赤目姫の潮解」



なんと、これがそうだったのか!!!!Σ(・ω・ノ)ノ

そう言われてみれば、確かに装丁が同じタイプのデザイン。

知ってすぐに購入し、読みました。

その感想を語ります(*ˊ˘ˋ*)。♪:*°



確かに百年シリーズだと感じる空気感や、これまでの2作を彷彿とさせる場面もある。
けれど、続き物…とはさらりと読むと思えない。そもそも、さらりと読める代物では全くないのだけれど 笑


ミチルとロイディのその後、とは違います。
…たぶん…。
うーん…ミチルを連想してしまう人がいたり、名前とか色々無意識の偶然とかではない意図的なものだろうなって表現も多いから、すべてにおいて断言出来ないんですよね森さんの描く世界は…。

深読みしないと解らないけど、深読みしすぎると空回ってしまったり。



今作ですが、まず…

これはミステリーなのか、何なのか。
ジャンル分けがすごく難しい。ファンタジーではないと思う。SFというとニュアンスが違う。殺人事件が起きてそれを推理して…というミステリーではないけど、もっと大規模な、広い視野でのミステリーというか…うーん……。


前2作は、現代から約100年後の未来が舞台である事から進歩した科学、ミチルの持ちものなどにSF要素も感じられたものの、やはりミステリーでした。
世界が未来都市となっていたとしても、物語の舞台はどちらも閉鎖されたレトロな街だったりしましたしね。
時代の条件が少し違うだけで、与えられたヒントから事件の真相を推理するというミステリーとしての読み方が可能だった。

物語の構造は、やっぱりミステリー。たぶんジャンルもミステリーに分類されていると思いますし。


そこだけで言うなら、今作もミステリーと言えなくもない。



読み終わった最初の感想は、理屈抜きに面白かった!!!!!!!
すごく物語に引き込まれたし、森さんファンなら特に満足だと思うし、初めましてな方は圧倒されてハマると思う。


…でも、理解出来ているのかどうかは解りません。


自分の中ではこういう事かな、と解釈しているものの、それはとても感覚的で言葉にして説明しきれないというか…。

森作品はどれも安易に理解出来ました!なんて言えないというか、軽々しく解ったなんて言って
「あなたは何を理解したの?理解とは何でしょう?」
とかあの人に真っ直ぐ返されたとしたら、胸張って応えられる自信はありません 笑



まずこの作品。

誰が主人公なのかさえ解らないのです。

むしろみんな主人公なような、みんな違うような…。


赤目姫は確かに物語の核に思えるけれど、その存在さえ曖昧な気もしますし。


物語の外側で、あるいは内側で、遥か高みから見つめているあの天才の気配は感じるけれど、かといって彼女の視点の物語とも言い切れない。



うん…。
やっぱり言葉で説明出来ません。感想文なのに 笑


作中の言葉を借りるなら

「“言葉”は無粋、低機能」

なるほどそうかもしれません。



前作までは、はっきり主人公の視点で書かれていて、私はその主人公ミチルとパートナーのロイディが大好きです。
だから、ふたりのその後の物語をとても楽しみにしていました。

そこでいうと、今作が続編といえるのかはやっぱり微妙なところ。

でも、全く無関係な別世界のお話とは思えません。


今作が前2作の続編というより、むしろ前2作が今作への布石…今作を読むための準備だったような気さえしました。



(以下、結構ネタバレに近いくらい内容に触れてます)





身体の保存、脳との分離、ウォーカロンの進化。

神とは? 人の尊厳とは? 生きているとは? 人間とは?


「女王の百年密室」や「迷宮百年の睡魔」の出来事は、「赤目姫の潮解」に至るまでの研究過程に過ぎない。

そして今作もまた、あの人の研究途中なのかもしれないと感じました。


「睡魔」のラストには確かにあの人のミチルへの情を感じた気がしたけれど、そのミチルへの視線はやはり研究対象のひとつとしての興味でもあった。


見守りたいからパトリシアを側につかせたのか、ただ観察したいからだったのか…。



どのみち今作は「睡魔」からさらに未来の話だろうと思うので、ミチルたちの“器”が今もあるのかは分からない。
けど、もしかしたら…….。



関係あるなしはとりあえず置いておいて、もし今作もラジオドラマ化する事があれば、やっぱり赤目姫は島本須美さん。
緑目王子は高山みなみさんでお願いします!✨


高低の声色を使い分け、少年と青年の顔を併せ持ち、常人にはとうてい付いていけないような頭脳の回転の速さで赤目姫と対等に会話出来るなんて、どう考えてもその声はみなみさんで決まりでしょう!(๑•̀ㅂ•́)و ̑̑✨



…ただ、あの話を音だけで表現する事が果たして可能なのか…

過去2作をドラマ化してその時点でそれが3部作と分かっていたわけですから、当然その最終章が出たとなればドラマ化!てなると思うのですが、発売から結構経ってやっていないという事は、これは無理だなと断念されたのかもしれませんね(^_^;



読んだ当時に描いたイメージ。

自分で描いておいてなんですが、イメージを再現しきれてはいない 笑