本誌でも劇場でも、今年は黒い年になりそうでハラハラドキドキですが、そうなると過去アニメでも組織ものとかおさらいしたくなります。


中でもこのエピソード、超重要回にも関わらずアニメオリジナルストーリーなんですよね。

いや、元々は原作にあった『10億円強奪事件』ですが、アニメでは最終的に現れるはずのジンが誰おま展開で、広田雅美を名乗っていた宮野明美さんが死なずに終わったという(^-^;

初期アニメでは、ここまで長寿番組になると予測出来なかったからか組織話を避ける傾向にあって、ジンとウォッカの偽物さんが何度か登場したりと原作にあった組織話も組織とは関係ないエピソードに変えちゃっていたんですよね。

当初は1年くらいで終わる予定だったのかもしれませんね。
だから、長期戦になる組織エピソードはうやむやにして 笑


おかげで、コナン君がいつジンとウォッカのコードネームを入手したんだかもうやむやで、それを知ったエピソードが無いにも関わらずテキーラ回でコードネームに過剰反応してしまうという矛盾が生まれてしまった。

けれど、そこはもう押し切って「あいつらの名前はジンとウォッカだ!」と視聴者に植え付けて、いつ知ったのかとかその辺はどうにかごまかしている 笑

たいていのファンは原作も読んでいるから気にならなかったとしても、本当にアニメしか観ていなかった当時のリアルタイム視聴者さんはちょっと疑問に思ったかもしれませんね。


正直私も、自分がいつジンたちの名前を知ったのか謎です 笑
本格的にハマる前からコナン君が薬で小さくなっている事とかを常識的に知っていたように、黒ずくめの男の名前はジンとウォッカってなぜか知っていたような...。


まぁ、そこは置いといて。

もひとつ大きな矛盾というか、いや、ギリごまかし通そうと思えば(かなり無理あるけど)出来なくもないあのお話。


“広田雅美という偽名を使っていて、10億円を強奪し、その際手を組んでいた男が殺され自身も利用されていた本名宮野明美さん”

が2度登場しているという謎...笑


同一人物なのか、ものすごい偶然の全くの別人なのか、コナン君は以前から顔見知りっぽかったりもしてとてもあやふやですが...
さすがに初期の『10億円強奪事件』で捕まった人がその後半年以内に銀行で働き始めたというのは有り得ないので(^-^;


同姓同名なんて全国探せばわりといるし、広田雅美って偽名もよくありますよね!!うん!╭( ・ㅂ・)و グッ !



と、作品への突っ込みをしたかったわけではなくて。

そんな初期から考えると、今は本当に原作を大切に忠実にアニメ化してくれていて、これほど原作とアニメが良好な関係を築いている作品ってそうないと思います♡


そして、ここで言いたいのは結果として作品に不可欠なエピソードとなりオリジナルストーリーで再アニメ化となったこの『黒の組織 10億円強奪事件』もすごくおすすめのアニメオリジナル回だ!!!

て事なんです 笑



これまで何度か書き連ねてきたお気に入りのアニオリ回に含まれるエピソードでしたが、これについては原作ものとの中間的な位置だし、あまりに大切な回なのでこれだけで語りたいと思いまして。

...前置きがすでに相当長くなっちゃいましたが。



原作でも、それまでのお話とはどこか雰囲気の違う特別な回で、お札が舞うカラー扉のインパクトも相当なもの。
初期なので、原作でもシリアス回でありながら「父が雪山で~」とかお目目可愛い探偵さんの存在とか、コミカルシーンもありましたがやはり全体にとても緊張感ある、明らかにそれまでとは違う深刻な雰囲気がありました。


アニメでも、こちらの組織ものとなった回は事件の内容はオリジナル展開となりましたが、これはこれで全体的に黒い空気が良い!て思いました。
その初期特有のコミカルな要素がなく、はなから組織ものだってタイトルにも掲げているだけに本当に全体がシリアス。


重苦しい雰囲気がずっと漂っていて、通常回とは明らかに違う緊張感があります。



スケボーアクションもあり、明美さんからまさかの攻撃をくらう場面もあり...。



そう、明美さんに攻撃され、意識が朦朧としてしまい彼女を追うのが遅れてしまった。


原作との大きな違いはそこなんです。


ジンたちの元へゆく前の彼女と会って会話している。
「行っちゃダメだ...」て伝えている。
アニメでは間に合っていたんです。説得の機会があった。



でも、説得し切れなかた。


言いたい事はいっぱいあったはずなのに、何がなんでも引き留めたかったのに、かろうじて意識を保つのが精一杯で、なんとか絞り出した声も彼女の意志を変える事は出来なくて。

哀しげな微笑を見せて、行ってしまった。殺されるのをわかったうえで。


何とか立ち上がり発信器を取り付ける事には成功し、少し遅れて彼女を追うものの、辿り着いた時には彼女はすでに血を流していて......。



彼女の死を防ぐチャンスはあったのに。

助けられる機会はあったはずなのに。


あの場面があったからこそ余計に、ここに関しては原作以上に、コナン君の後悔は相当大きかったと思う。

コナン君には本来何の責任もないはずだけど、自分を責めるには十分すぎるくらいの出来事だったと思う。


だから、ここも原作以上に、後に哀ちゃんがコナン君を責めるシーンがつらかったです。

哀ちゃんも本気でコナン君のせいだなんて思っていないし、どこにもぶつけられなかった悲しさや悔しさを吐き出して、思いきり泣きたかっただけかもしれない。


そういう気持ちもきっとコナン君は理解していただろうけど、それでも、あの言葉は残酷だったと思います。


「どうしてお姉ちゃんを、助けてくれなかったの...?」



アニメ版『10億円強奪事件』は、明美さんが息を引き取るまでの描写も丁寧で、原作では見えなかったあの瞬間のコナン君の表情がはっきり描かれていた事も印象的でした。


一瞬の悲痛な表情、その瞬間の様々な感情をぎゅっと目を閉じて押し殺して、ただただ静かな声で警察へ連絡する。


呼び出し音が鳴り続ける中、ゆっくり引いていくカメラ。
やがて電話が繋がり、コナン君の声が悲しく響く。



「捜査一課の...目暮警部をお願いします......」



コナンとも新一とも言えない、弱々しい声を残して画面は暗転し、EDへ。



この演出も、とても心に残りました。



大切な重要なこの回を原作と大きく変えてしまった事には賛否あるかもしれないけれど、私はこのアニメ版がとても好きです。