映画「ファミリア」漂う閉塞感と、新しい家族の形 | 私の5 室は映画館・映画レビュー

私の5 室は映画館・映画レビュー

映画のあらすじと、受けた印象を綴っています。ネタバレする時はお知らせします。読んで下さるだけで励みになります。フォロー申請は慎重に!!出入りを繰り返したりビジネス目的での申請はご遠慮願います


    




劇場公開 2023年1月6日 121分

1/8(月)鑑賞


⚠ネタバレが気になる方へ

読む場合自己責任でお願いします



あらすじ



陶器職人の誠治(役所広司)は施設で育ち

親の愛を知らず、若い頃は暴れ者だった



そんな彼を救ったのは、妻と焼き物

妻を早くに亡くして独り山里で暮らす 



同じ施設育ちの佐藤浩市



息子・学(吉沢亮)は大学卒業後就職し

海外で活躍。今はアルジェリアに赴任中





赴任中に、難民出身で紛争孤児である

ナディアと結婚し彼女と一時帰国した



学(吉沢亮)は、結婚を機にアルジェリアのプラント開発の仕事を辞めて、陶工房を継ぎたいと宣言する、しかし誠治は反対する 





陶工房では満足な収入が得られず

代わりに妻が働きすぎて病死したからだ



誠治の住む隣町には、在日ブラジル人及びブラジル人の不法滞在者が住む団地がある





そこに住む在日ブラジル人青年マルコスは、半グレに追われたときに助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね焼き物に興味を持つ





そんなある日、アルジェリアに戻った、学とナディアを悲劇が襲う



実存した事を題材に…





愛知県瀬戸市の 窯棄の家に生まれた

いながき きよたか による脚本作品


いながきは、隣の市に在日ブラジル人が住む保見団地がある環境で育ちます



・愛知に暮らす陶器職人

・在日ブラジル人と、半グレ集団

・北アフリカテロ



これらは実存の題材と事件であり

ファミリアは、ここから構想した

オリジナルストーリーとの事です


 


感想



育った環境も、国籍も、全く違う女性と

家族になろうとする、神谷学(吉沢亮)

それを応援する父・神谷誠治(役所広司)



半グレ日本人と、在日ブラジル人の対立

在日ブラジル人の、生き辛さであり

この地域に漂う閉塞感が作品を覆いつくし



さらに学という希望が理不尽に奪われ

鑑賞中、暗澹とした気持ちになりました



この地域の対立の根深さは、

このあと、詳しく書きます



撮り方・作り方に言及すると

映像がざらっと荒いせいで、珍しく


吉沢亮が綺麗にみえなかった(*_*)


顔面の美しさで全てをカバーする、

そんな撮られ方は、ここでされてません


同時期に公開している、主演作品

ブラックナイトパレードとは別人


夢を持つことは、悪いことじゃない」


吉沢亮の、この台詞を聞くと

彼は声優でも名優だろうなと思いました



背景の深掘り


 


1990年、入管法改正で日系ブラジル人の無期限就労が可能になる


愛知県豊田市周辺の、自動車関連企業(トヨタの下請け)へ、出稼ぎが増加


派遣会社は通勤しやすく賃料の安い

保見団地の部屋を大量に確保


保見団地にら全住民(8千)の半数が

ブラジル人・日系南米人が占める

「小さなブラジル」が誕生


ごみ出し騒音トラブルからの軋轢で

日本の住民はブラジル人を、侵略者のように差別と偏見を持って接し始める


1999年、地元日本人若者と団地のブラジル人の殴り合いの喧嘩をきっかけに

「保見団地抗争」が勃発


翌日、鉄パイプや木刀で武装した日本人がブラジル人を探し出し報復


さらに数日後

保見団地に右翼の街宣車と数十台のバイクの暴走族が参上しヘイトスピーチ


すると翌日団地敷地内に停めていた

右翼団体の街宣車が放火され炎上


対立の背景には歴史がありました