2016.4.21
会津八一の「学規」第3項に「学藝を以って性を養うへし」
とある。自己流に学問は読書、藝術は音楽として、性を養うは
生存と生活を充実させる在り方と受けとめている。
読書から学んだことは少なくない、無意識の内に自分の性格
につながっていると思える。中でも人間の勉強は殆んど読書か
ら学んだに違いない。
音楽からは何も学んでいないようで、読書では学べないこと
を明晰に受けとめている。それは言葉で表わせない生存と生活
につながる充実感や安心感である。
三十代の後半に悪性肝炎で5ヶ月の入院生活を経験したこと
を思い出す。ベッドから動かないように注意され、終日点滴を
受けながら本を読みヘッドフォンで音楽を聴いていた。
この時期にはクラシック音楽だけでなく、ジャズもよく聴い
ていた。本は未読の蔵書を殆んど読んでいた。ふりかえり何と
好ましい時間を過したものと思わずにいられない。
後年バッハに行き着いたのは、退院後も徹底して音楽を聴い
た時期があったからに違いない。今もバッハの音楽はある範囲
まで多くの音楽を聴かなければと思える。