空に溶けこむ鳥たちは
ある冬の日のことです。
雲の上では、空に溶けこむ鳥たちが、歌を歌っています。
びゅうびゅうびゅう
風が冷たいこんな日は
地面に降りて遊ぼうか
だってこんなに寒いから
きっとみんなは家の中
ぼくらは誰にも見えないよ
空に溶けこむ鳥だから
人間たちに見えないよ
ぼくらの名前はオソラノバード
歌は、まだまだ続きます。
さらに歌おうとしたとき、一羽のオソラノバードが声をあげました。
「ねえみんな、下を見てごらん。子どもたちが何かをしているよ」
「えー、何をしているの?」
「見たい見たい!」
他のオソラノバードたちは、歌うのをやめて、雲の上から見おろしてみました。
目に映ったのは、三人の子どもたち。
えっちらおっちら何かを運んでいます。
運んでいるのは、木の実や葉っぱのようです。
オソラノバードたちは、おしゃべりをします。
「何のために運んでいるのかな?」
「枯れ木の方に向かっているね」
「うん、そうみたいだね」
「だね」
枯れ木のところに着いた子どもたちは、今度は葉っぱや木の実を持って、背伸びをしています。
オソラノバードたちは、またおしゃべりをします。
「なんだか、枯れ木に葉っぱや実をあげたいみたいだね」
「そうだね」
「枝にくっつけようとしているね」
「うん。でも、くっつけられないみたいだね」
「だね」
オソラノバードたちは、顔を見合わせました。
「なんとかしてあげたいね」
「うん。がんばっているものね」
「ねえ、お手伝いしに行く?」
「行く?」
「うん!!」
オソラノバードたちは、大きく羽を広げて
「ツンタカタン!!」
と叫びました。
するとどうでしょう!
空に溶けこんで見えなかったオソラノバードたちが、はっきりと見えるようになったのです。
オソラノバードたちは、もう一度
「ツンタカタン!!」
と叫ぶと、勢いよく雲を飛び立ち、子どもたちのところへと降りていきました。
ぼくらの姿が見えるのは
がんばっている子どもだけ
一生けんめい考えて
がんばっている子どもだけ
と、さっきの歌の続きを歌いながら。
