秋の陽を全身に浴び布団たちはクスクスクスクス笑いあってる
クスクスクスクス、クスクスクスクス。
どこか近いところから笑い声が聞こえる。
クスクスクスクス、クスクスクスクス。
なんだろう?
私は読んでいた本を机に伏せて、辺りを見回した。
見えるのは、いつもと変わらない、なんのへんてつもない家具、扉。
クスクスクスクス、クスクスクスクス。
まだ笑っている。
「誰だあ!」
クスクスクスクス、クスクスクスクス。
叫んでみたけれど、笑い声は止まらない。
少しどきどきしてきた。
ふと、窓からベランダを見てみる。
そこにあるのは、二組の布団。
秋の陽を浴びて、なんだか楽しそう。
クスクスクスクス、クスクスクスクス。
なあんだ。
布団たちがおしゃべりして笑っていたんだ。