レシートがピンク色なのクッキーをあなたと買った時のやつとか
咲子さんは、日記を毎日書いています。いつもリビングで、寝る前に書いています。
でも、どうしたのでしょう？今日は何も書くことがありません。咲子さんは、テーブルで頬づえをつきました。
「どうしようかしら・・・。」
考えても何も浮かばないので、咲子さんは昔の日記帳を開いてみることにしました。
咲子さんは何年も前から日記を書いています。なので、日記帳はたくさんあります。そのたくさんある中から、一冊を取り出して見てみました。
ぱらぱら、ぱらぱら。
おや？
桜の花びらと、インクの取れかけたレシートが挟まれていました。
「なんだろう？」
レシートをよくよく見てみると、買ったのはクッキー。そしてその横に、にじみかけたハートのマーク。
「あ！」
咲子さんは思い出しました。
「駿太郎さんと初めてデートした時のレシートだわ！そうそう、二人で桜を見に行ったんだっけ・・・。なつかしい・・・。」
咲子さんは、桜の花びらを見ながら、レシートを両手で包みました。
その時リビングの扉が開いて、パジャマ姿のおじいさんが入ってきました。
「あー、いい湯だった。ばあさん、水を一杯出しておくれ。」
咲子さんは立ち上がり、コップに水を入れました。
「はい、どうぞ。駿太郎さん。」
水を受け取ったおじいさんは目を丸くしました。
「どうしたんだい？いきなり名前で呼ぶなんて。今日は何か良いことがあったのかい？咲子さん。」
咲子さんは、大きくうなずいて言いました。
「ええ！とっても良いことがあったのよ。」
「そうかい、良かったじゃないか！」
二人はふふふっと笑いあいました。
