コスモス | めむたんの絵本

めむたんの絵本

めむたんは、Amazonで絵本を電子出版しています。
タイトルは、「きみといっしょに」、「あのもんのなかに」等です。

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コスモスは空ゆく風にあこがれて
             右へ左へ手を振り揺れる
 
 
コスモスは空が大好きです。
空とお話しがしたいと思っています。
でも、コスモスは花ですから、どんなに頑張っても飛ぶことができません。
だから、空へ向かって飛ぶことのできる風がうらやましいなあ、と思っていました。
そのうらやましい気持ちは、いつしかあこがれへと変わりました。
コスモスは、毎日風に手をふります。
そして風に言うのです。
「風さん風さん、わたしのあこがれ。あなたのしっぽにわたしをのせて。」
風は答えます。
「それは無理だよ。君は重たすぎるもの。」
コスモスは、めげずに言います。
「じゃあ、やせるから、そうしたらのせてくれる?」
風は答えます。
「う~ん、どおかなぁ。」
 
コスモスは、ダイエットを決心しました。
太陽に当たらないように頭をたれ、水を吸い込まないように、土から根を何本か抜きました。
その努力は報われ、コスモスはやせました。
でも、コスモスの茎は細くなり、葉はしおれ、花びらは今にも散ってしまいそうです。
 
コスモスは風に言います。
「風さん風さん、わたしはやせたわ。あなたのしっぽにわたしをのせて。」
風は答えます。
「まだ無理だよ。君は重たすぎるもの。」
 
コスモスはため息とともに言いました。
「こんなにやせてもまだ重い。どこまでやせればいいの。」
コスモスは、茎が折れてしまいそうなくらい、がっくりと頭をたれました。
 
そんな時、小さな声が聞こえました。
「コスモスさんコスモスさん、わたしたちはあなたが大好きよ。」
コスモスが、たれていた頭をあげると、すぐそばに蝶の精たちがいました。
そしてまた言うのです。
「わたしたちはあなたが大好き。大好きなの。」
 
コスモスは、空を見あげました。
空はなんて高いんでしょう。
風はなんて冷たいんでしょう。
 
蝶の精たちはコスモスの周りを群れ飛び、
「あなたが大好き、あなたが大好き。」
とささやき続けます。
空を見あげるのを止めたコスモスは、蝶の精たちに微笑みました。
そして、
「ありがとう。」
と言いました。
 
 
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