チャンバラをしているみたい樫の木の
葉と葉ゆれおり風に吹かれて
公園に、一本の木が立っています。
樫の木です。
とっても背が高くて、葉っぱがたくさんついています。
その樫の木の真ん中には、葉っぱのヨウちゃんとコウちゃんがいます。
二人は、人間で言ったら５才くらい。
ヨウちゃんとコウちゃんの葉っぱは、まわりの葉っぱにくらべると小さくて、なんだか守られているみたい。
おまけに、風がないからでしょうか？
二人ともとってもおとなしくて、ちっとも動きません。
でも、本当におとなしいのかなあ？
だって、心の中ではこんなことを考えているよ。
ヨウちゃんの心の声。
『たいくつだなあ。風さんはまだかなあ。体がむずむずするよ。早くあそびた～い！』
コウちゃんの心の声。
『昨日はヨウちゃんに負けちゃったけど、今日はぜったい負けない。むずむずむずむず。風さん、早く来～い！』
びっくりした？
実は、この樫の木には、昔から守られている約束があるのです。
それは、風が吹いているときしか遊んじゃいけない、おしゃべりもしちゃいけないっていう約束。
これを破ると、周りの大人の葉っぱに怒られてしまうのです。
だれだって怒られるのはいやだもんね。
だから、本当はやんちゃなヨウちゃんとコウちゃんは、じーっとガマンなんです。
さわさわさわさわ。
風が吹いてきました！
やったー！
ヨウちゃんとコウちゃんは、ゆらゆら揺れて大喜び。
さっそく、遊びの相談。
「コウちゃん、何してあそぶ？」
「チャンバラ！今日はぜったい負けないぞ！とーう！」
「やったな！負けるもんか！」
「ボクだって！」
カンカン、ぺし！
「ふえ～ん、コウちゃんが打ったあ。」
「ヨウちゃんだって！」
「ゆるさないぞ！」
カンカン、カンカン、ぺし！
「うわ～ん、いたいよう。ヨウちゃんのバカァ。」
「ふえ～ん、ボクもいたいよう。」
うわ～ん、わんわん。
ふえ～ん、えんえん。
まわりにいる大人の葉っぱが、たまりかねて言います。
「あ～もう、うるさいなあ。仲良くできんのか。」
「だってぇ、ヨウちゃんがぁ。ひっく。」
「ふえ～ん、コウちゃんが悪いんだぁ。うっく。」
うんうん。
今日もいいお天気です。