なんじゃこっちゃの背くらべ | めむたんの絵本

めむたんの絵本

めむたんは、Amazonで絵本を電子出版しています。
タイトルは、「きみといっしょに」、「あのもんのなかに」等です。

絶賛発売中です!!

近況を聞かせておくれ雨粒よ
              空の向こうの藤は元気か
 
ある場所のある天気のいい日。
芽が出たばかりの小さな藤は、ひなたぼっこをしていました。
すると突然、藤の前にシュタッと棒が立ったのです。
棒の高さは、トラックの屋根くらい。
棒は、藤に言いました。
「ボクはこおんなに背が高いんだぞう。や~い、ちびすけ。」
負けず嫌いの藤は、ぷ~んとふくれて言いました。
「わたしを誰だと思っているの。わたしは藤よ。あなたなんか、追いこしてやる!」
その藤は負けず嫌いなだけでなく努力家でした。
だから毎日毎日背のびをして、とうとう棒を追いこしました。
追いこされた棒はくやしいのなんのって。
棒は、仲間に呼びかけました。
「おーい、みんな。助けてくれ!この生意気な藤をぎゃふんと言わせてやるんだ!」
仲間思いの他の棒たちは、
「おやすいごよう!」
と言って、次々に棒の上に乗って高さを増やしていきました。
そうして棒たちの高さは、三階建ての家の屋根くらいになりました。
負けず嫌いの藤は、またまたぷ~んとふくれて言いました。
「わたしを誰だと思っているの。わたしは藤よ。あなたなんか、追いこしてやる!」
そして毎日毎日背のびをして、棒たちを追いこしました。
でも今回は、ライバルである棒たちにからまって伸びたのです。
おっかしいなあ。
でも、深く考えない棒たちは、さらに仲間を呼びました。
棒たちの高さは、こんどは雲にとどくくらい。
藤も負けじと背のびをしました。
もちろん、棒たちにからまりながら。
そんなこんなで、棒たちと藤は競争しつづけ、とうとう地球を飛び出してしまいました。
宇宙に出たとき、棒たちと藤は、
「おや?」
と思いました。
でも深く考えないのが棒たちと藤の良いところ。
「まあ、いっか。」
とあんまり気にせず、相変わらずの背くらべ。
とうとう月まで行ってしまいました。
棒たちと藤は月にごっつんこ。
そこでようやく、
「あれ、やっぱりおかしいな。」
と思いました。
「おかしいね。頭の上に地面がある。」
「うん、おかしいね。息もちょっとくるしいよ。」
お互いに首をかしげていたら、ウサギがぴょんぴょんやってきました。
そして言ったのです。
「よくがんばりました。ここは月。地球と月をつないでくれてありがとう。」
素直な棒たちと藤は、とても喜びました。
「そっか。これでいいんだね。」
「良かったね。これから何して遊ぶ?」
なんて言いながら。
そして、からまったりからまられたりしながら、笑いあいました。
 
それから棒たちと藤はどうなったでしょうか?
仲良く遊んでいますよ。
地球と月をつないだままでね。
ちょっと腑に落ちないのはウサギのこと。
ウサギは、棒たちと藤の上を通って、地球と月を行ったり来たり。
いったいなんのためでしょうね?
でも棒たちと藤は、あまり気にしていません。
今日もいっしょに背くらべごっこをしています。
 
イメージ 1