離してと言われるまでは我のもの
少し長めの爪をくすぐる
こよりちゃんが野原でお花をつんでいると、宇宙人がやってきました。
びっくりして目をまんまるにしているこよりちゃんに、宇宙人は言いました。
「!”#$%%&’.」(こんにちは、初めまして。ボク、迷子です。)
こよりちゃんは、お返事をしなければと思ったので、こう言いました。
「こんにちは。今お花をつんでいるの。」
宇宙人は、帰り道を教えてくれていると思ったので、こう言いました。
「(‘&%$#。」(ありがとう。連れて行ってください。)
こよりちゃんは、仲良くしなければと思ったので、こう言いました。
「いっしょに遊ぼう。」
その時、
グー。
宇宙人のお腹が鳴りました。
こよりちゃんは、また言いました。
「お腹がすいているの?」
グー。
宇宙人は、困った顔をしました。
「‘{}*+<>?_」(危険ブザーが鳴っている。ボクはあなたと結婚できません。)
「わたし、クッキーを持ってきたの。食べる?」
こよりちゃんはカバンからクッキーを出して、宇宙人に見せました。
グーグー。
「XDFH‘&%!;」(危険危険!どうしてボクは、こんなにモテるんだ!)
宇宙人はひざまずきました。
そして、クッキーを持つ、こよりちゃんの手を取って言いました。
「+*‘$%&」(許してください、おじょうさん、ボクは迷子なんです。結婚できません。)
手をにぎられたこよりちゃんはびっくりしました。
宇宙人の爪が長く伸びていたからです。
こよりちゃんは宇宙人の手をすばやくほどきました。
そしてすぐ、宇宙人の手を自分の手で包みました。
「爪がとても長いのね。わたしにちょうだい。」
それから、宇宙人の爪をこそこそこそばしながら言いました。
「ふふふ。わたし、爪を集めるのが好きなの。あなたの爪を、わたしにちょうだい。」
「CDRT&!”#$」(ああ、こんなにやさしいあなたを傷つけなければならないとは。)
宇宙人の目から、涙がポタポタと落ちました。
「そんなに泣かなくてもいいのよ。ふふふ。このクッキーには眠り薬が入っているの。眠っている間に全て終わらせてあげるから、おとなしくしなさい。」
「$%&‘=」(ああ、罪なボク。)
グーグーグーグー。
「クッキーをお食べ。ふふふ。ママにはないしょよ。ふふふふふふふ。」
「*」‘+P=~:」(許してください。)
出会ったときはとてもあどけなかったこよりちゃんの顔は、今ではオニヤンマのよう。
それに気づかないまま、宇宙人はさめざめと泣き続けます。
グーグーグーグー。
危険信号が鳴っているのに。
宇宙人はいつまでもいつまでも、こよりちゃんに手を握られて泣いていました。
