空をかけ野原をかけて風はゆく
皆の心をつかまえながら
一匹のアリが、タンポポとひなたぼっこをしています。
「ボクは空になりたいな。」
「あら、わたしはモグラになりたいわ。」
なんて、おはなししながら。
そんな時、とつぜん、強い風がふきました。
すると、
「あーれー。」
アリはとばされてしまいました。
一匹のチョウチョが、チューリップのみつをすっています。
「今日もかわいいね、チューリップちゃん。」
「あなたの羽もすてきよ。」
なんて、おはなししながら。
そんな時、とつぜん、強い風とともにアリがとんできて、チョウチョの羽につかまりました。
そのいきおいで、
「あーれー。」
チョウチョはアリを羽にくっつけたまま、とばされてしまいました。
一匹のトカゲが、草むらを旅していました。
「オレはモモンガになりたいんだ。」
なんて、つぶやきながら。
そんな時とつぜん、強い風とともに、アリが羽につかまっているチョウチョがとんできて、トカゲのしっぽにつかまりました。
そのいきおいで、
「あーれー。」
トカゲは、アリが羽につかまっているチョウチョをしっぽにくっつけたまま、とばされてしまいました。
そんな感じで、ネズミは、アリが羽につかまっているチョウチョをしっぽにくっつけたトカゲにしっぽにつかまられて風に飛ばされ、キツネは、アリが羽につかまっているチョウチョをしっぽにくっつけたトカゲをしっぽにくっつけたネズミにしっぽにつかまられて、あたかもリボンのように、強い風にのってどこまでもとばされていきました。
さて、ここにゾウさんみたいにとっても大きな一頭のクマがいます。
川の中にすわって、大きな魚と、
「がおー、ボクはこんなに大きいんだぞう。友達になってくれたら、この石をあげるぞう。」
「ぴちゃんぴちょん。友達になんて、なってやらない。こっちの石のほうがきれいだもの。」
「がおー、いやだぞう。ボクと友達になってくださいだぞう。」
「ぴちゃんぴちょん。いやだもの。」
なんて、おはなししながら。
そんな時とつぜん、強い風とともに、アリが羽につかまっているチョウチョをしっぽにくっつけたトカゲをしっぽにくっつけたネズミにしっぽにつかまられて、キツネがとんできました。
そしてなぜか、先頭のキツネは、
「あーれー。」
とさけびながら、クマの耳につかまったのです。
クマはとてもびっくりして、おもわず、
「キャッ!」
と、かわいらしい叫び声をあげてしまいました。
そして、
『はずかしい!』
とまっかになって、もじもじとうつむいてしまいました。
『かっこいいボクがキャッ!だなんて。もう友達になってもらえない。』
て、ベソをかきながら。
でも、大きな魚は、
「あら💛」
と言いました。
クマの耳に、キツネたちがリボンのようにぶらさがっています。
大きな魚は、
『クマさんたらおしゃれさん。なんてかわいらしいの。いえ、むしろかっこいいわ。』
と思いました。
そして言ったのです。
「ぴちゃんぴちょん。クマさん、わたし、あなたと友達になってもいいわ。」
ちゃんちゃん♪
